お金のために働く人は、お金を稼げない【人間は~11】
億万長者になるには、20勝投手や3割バッター、アンドリュー・ロイド・ウェバーのような特殊な才能はいらない。最善を尽くすことができるもの、一番楽しめるものを探せばよいのである。必ずどこかにチャンスの芽は見つかるものだ。
私もチャンスを生かすことができたのだから、あなたにもできないはずがない。しかし、くれぐれも言っておこう。それは、すべてあなたの決断にかかっているのだ。
あなたの手に入れてきた報酬は、すべて今までの奉仕の量に正比例している。人生はだれもが持ちつ持たれつの関係で成り立っている。だから、できるだけ人に最大の貢献ができることを探す必要がある。常連のお客ばかりでなく、同業の人たちにも奉仕できることは何か、ぜひ考えてみてほしい。
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私は今でも、1960年代の反抗的学生が、バリケードの中から「自分のやりたいようにやるんだ」と叫んでいる姿を思い出す。その当時、私は教育こそ君たちの叫んでいることを実現するための手段なんだ、と言い返してやりたい気持ちだった。
優れた教育を受けたなら、それだけ「自分のやりたいこと」、自分の脳力とエネルギーをぶつけて最大の奉仕ができるものを発見できるチャンスが増えていくのだ。自分自身を啓発すること(たとえば「成功するための技術」を学ぶのもこれに含まれる)だけが、仕事の喜びや自己発見の喜びを見つけ出す手段なのであり、また最高の報酬を手に入れるカギを提供してくれるものなのである。
私は眠り、夢を見る
それは人生の喜び。
私は目覚め、物を見る
それは人生の務め。
私は自ら行動した、すると見よ!
務めは喜びそのものとなった。
ラビンドラナート・タゴール
これこそ究極の境地である。
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成功する人間なら次のように語るだろう。「以上が現在努力してめざしている願望(あるいは目標)です。しっかりした方法を利用しながら努力しています。今の願望を達成したなら、また新しい願望が生まれてくるでしょう。そしてまた、その願望に対しても同じ方法を利用して──むろん今よりもっと上手に──達成するつもりでいます」と。
こう口に出して言えるだろうか。もし言えないということであるなら、もっと自己分析をする必要がある。しかし、落胆してはいけない。大器晩成という言葉もあるではないか。確かに、モーツァルトは、8歳で人生の目標を見つけ、それ以来、次々と人々を感動させる作品を世に送り出していったし、アインシュタインはわずか26歳の若さで、物理学に革命を起こす発表をした。しかし、ゲーテが『ファウスト』を完成させたのは、80歳を過ぎてからなのである。
もしあなたが一大決心をしたなら、5年間は、今までになかった情熱を燃やし、どんな大きな願望、どんな大きな目標にもひるまず、立ち向かっていくこと。熱中してやっているとき、人に役立つ優れた仕事をしているとき、タゴールの詩ではないが「務め(義務)は喜びそのものとなる」のである。
人に奉仕するという意味がほんとうにわかっている人ならこう言うだろう。「大金を稼ぐためにこの仕事をやっているんだろ、と言いたいのですか。でも、この仕事は、金を払ってもらわなくてもやっていくでしょうね」
このような熱意は、必ず報われるものである。あなたが、ウォルト・ディズニー、ヘンリー・フォード、ライト兄弟、20勝投手、3割バッター、大ヒットミュージカルの作家になることもまんざら夢とはいえないのだ。
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『人間は自分が考えているような人間になる』
きこ書房