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いろんな詩

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詩のまとめ
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#眠れない夜に

たまに死にたがり、書き散らす

たまに死にたがり、書き散らす

一般的にはそれほど悲惨でもない境遇の私はそれでも死にたがりだ。
子供の頃は何とか大人の言うことを聞き、それでやれば出来るのかと言えば、中の下とか下の中とか下の下とか。聞き分けの良い子供は大抵不幸だ。少しとか大変とか、加減はそれぞれだが、聞き分けを住み着かせた宿主は後でえらい目に合う、と思うけれどもそんなものは人それぞれなので、えらい目の加減も知るものか。
何とか普通になろうと目立たずやろうと、群衆

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とある旅

とある旅

   私は星の一つであるかのような振りをする。しかし常に漂い大気にあるわけで、生き物に干渉せずにおきたいけれど、ついちょっかいを出してしまって、幸福や不幸にも関与した。生まれながらの幸福、不幸になった故の幸福、その対岸も然り。
   今日はつい海岸線の裾をヒラリとめくってしまい、そのために生き物が死んでしまった。罪滅ぼしとしてめくった場所に、救急進化パックを投与しておいたけれど、果たして吉と出るか

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欲望

欲望

鳴きたい鳴きたいかき鳴らされて
とんぼがえりで猫と寝たい
やりたいやりたい衝動は
コーラゼロとポテチの過食
吐きたい吐きたいさすられながら
骨に戻って暮らしたい

骸骨になって歩きたい
骸骨ってね骨が素敵
骸骨でもね
髪もまつ毛もふさふさで
目玉もお肌もツヤツヤで
こんな素敵な骸骨は
前代未聞と賞賛されて
おっと
聞き捨てならねぇな
お前なんぞ茶飯事
骨を見ろよと
骨自慢の行列だ
死者まで自慢した

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写真

写真

   私の写真を撮りまくる男と付き合ったことがあった。なぜそんなに撮る必要があるのか。彼はデジタルの時代となってこれほど幸せなことは無いと語る。写真を撮りながら。
フィルムの時はフィルム代も現像代も大変でねと。それもそうだなと撮られながら思う。
グラビアのカメラマンになりたかったんだよ。

   撮っていない時は撮った私の写真を寄越したり、眺めていたりする。彼はどんな顔のものでも寄越した。食べてい

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かけら

かけら

   かけらというのは、手にしないうちが美しい。
手をすり抜けた瞬間に、きらめきながら流し目を寄越し、行先を目で追うと何故かすぐさま見失ってしまい、こちらは再び到来するのかしないのか、わからないけれど待つしかないのである。

   運良くかけらを手にしたこともある。信じられない思いと嬉しさに、手応えを感じた手を開くと、弱々しく輝きを失ったかけらがそこにある。きらめきを奪ってしまったのはこの私だ。も

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ポジティブネガティブ

ポジティブネガティブ

ポジティブネガティブ
韻を踏みやがって
このやろう
ティブティブティブティブ
うるせーよ
ポジ子は明るく元気な子
ネガ夫はニヒルなクールガイ
ダブル不倫で駆け落ち消えて
それ以来
ティブ(元ポジ)とティブ(元ネガ)は大喧嘩
星座になるほどうるさくやって
なんか銀河のどえらい人に
仲裁されて両成敗
ティブ(元ポジ)とティブ(元ネガ)は
銀河を恨み
共通の敵は二人を少し近づけた
両成敗の刑罰は
名前を

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戻らないもの

戻らないもの

世の中戻らないものだらけ。秒以下前の私には、今となっては戻れない。戻れないのに傷だけは、リセットしないもんだから、過去をずっしりおんぶして、這いつくばってほふくする。うつ伏せお空も見にくくて、さぁゴロンと仰向けに。雲の形の当てっこや、乗ってけそうな風つかまえて、

突風バビューンと連れてかれ、そこはなんにもない真っ白け。浮世と冥土の狭間かな。光がないから影がない。影がないから闇もない。目にも刺さら

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ループする人

ループする人

おかしいな
さっきトイレに行ったのに
またしても
行きたくなっている
でもしたいものは
仕方がない
とトイレに行く
キッチンで立って
スイカを切る用意
朝はフルーツを食べるのだ
猫が
何かありますかと
足元にやって来る
君はもう食べたでしょ
朝ごはん貰ってる音
聞いてたよ
さて
トイレに行ったっけ
朝一番には
必ず行くんだ
行ってない気がする
行きたくなってきた
じゃあ
とトイレに行く
キッチンに

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唇

私の唇
よくむける
若い頃から
むけむけだ
ピンキリ
リップも
なんのその
ワセリンベッタリ
なんのその
天ぷら食べる
なんのその
やっぱりむけて
むけ続け
そこから
ぐわっと
ひっくり返し
生まれ変わって
みてみたら
ぐでんぐでんの
愚連隊
つれづれ日記の
おねいさん
ふてぶてしい顔
マヌルネコ
笛笛吹け吹け
音楽隊
ゆけゆけフレフレ
アスリート
ぶれぶれ写真は
アーティスティック
韻を踏め踏め

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ねばの時

ねばの時

ねばならぬが降臨した時
あらゆる事が
輝きだした
輝きは影を生み出し
ねばならぬのみに
影を落とし
ねばならぬが
どのような表情をしようと
輝きの眩しさに気を取られ
ねばならぬも気を取られ
ねばならぬは
ねばならぬことを
忘れつつある
薄れつつある
ねばならぬは
わはよつめ
となった
さらに薄れ
つよのノ×
となった
ノノノ、、
、、、

ねばならぬは
消滅した
降臨してから
消滅まで
五分ほどで

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そばに

そばに

背の高い
あなたのそばに
猫の間合いで
忍び寄り
いつの間にやらと
気づかれて
意識されて
好かれたい
あなたは私を気に入って
目端でチラつくようになる
不意に会い
あなたが言葉を飲み込んで
はき出せないのを
思い出すのが
大好きで
お気に入りは
幾度使っても
擦り切れず
私を満足させている
もし私が魔女ならば
未来永劫
忍び寄り
代々
あなたのそばに
と魔法陣

私の詩、晩夏の夜風

私の詩、晩夏の夜風

あなたに披露する私の詩。どんな詩でもイラつかせるらしく、すっかり自信を無くすけど、詩なんて不幸であればあるほどいいらしい。

生ぬるく不幸な私は、生ぬるい詩を綴る。それでも史上一番愉快な気になって、詩を舞ってみる。下手くそな舞でも救いがあり、私はやめられない。

誰もいない海、誰もいない道、誰もいない部屋。それらは私を思い切り甘やかす。そこへ真綿売りがやって来て、あなたが定期購入を申し込んだと言う

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立て膝

立て膝

落ち着くの、立膝が。なんでかな。
身体が曲がったねじれ体。
右が好き。左に猫がよじ登る。
ネジレテテ
倒レチャウ
重シハイカガ
いいのいいの、ねじれてて。美しい螺旋を目指すもの。
アアアレダ
ネジリ花
ねじり花! よく知ってるね。小さい頃好きだった。懐かしい。
ボクモ
懐カシイ
え君、ペットショップに居たよね。
知ッテルヨ
ネジリ花
猫ハ全テヲ
知ッテルノサ
若イ頃
螺旋ヒゲニ
憧レタモンダ
身体

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長寿

長寿

全部見守るのなんて
やなこった
一人で残るなんて
やなこった
ぎくしゃくと
穴掘った
私を
笑ってる
藁縒った
穴の蓋を
笑ってる
お前は
不運なのに
つまらんね
足掻いたら
褒美でもやったのに
もったいないね
と美しき神々は
笠に着た
お前は誰だ
偽神め
お前の穴も
掘ってやろうか
なんだその笠
ああお前は
やられすぎて
穴だらけ
おお神よ
こうやって
見透かしてるんですね
穴の向こうに
走馬灯

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