戻らないもの
世の中戻らないものだらけ。秒以下前の私には、今となっては戻れない。戻れないのに傷だけは、リセットしないもんだから、過去をずっしりおんぶして、這いつくばってほふくする。うつ伏せお空も見にくくて、さぁゴロンと仰向けに。雲の形の当てっこや、乗ってけそうな風つかまえて、
突風バビューンと連れてかれ、そこはなんにもない真っ白け。浮世と冥土の狭間かな。光がないから影がない。影がないから闇もない。目にも刺さらぬ真っ白は、私を隅々まで精査して、ゴミ扱いでぺいっと捨てる。ご丁寧に白紙にくるませ、クシャッと丸めてゴミ箱へ。
この場所は元いた世界ととても近い。底はゴミ箱の底なんだ。それより下には行けないよ。そこが元よりましなのか。
少し待てば埋め立て地
そこではなんでも叶うんだ
皆そう言ってゴミ箱で、クシャクシャペチャペチャ喋ってる。
夢埋め立てた埋立地。夢の地層が何層も、ギュウギュウギュウギュウ、カチンコチン。その上に明け放たれた私達。コロコロ転がる私達。混ざり合う私達。美味しい夢夢混ぜたって、混ぜすぎちゃったら多分まずい。
そんな時の救世主、それはカレー粉
あなたは言ってた。
そしたら美味しく戻る
って。
えすごーい世の中戻せるものあったんだ
カレー粉バンザイ
カレー食べよう
一皿秒でなくなって、しょんぼりするけどおかわりすればもう一回。夢埋め立て地で食べ放題。王子さまより激辛を。
ああやっと生きる目的ができたのに、だんだんとカチンコチンになってゆく。なんでも叶うは違ってた。夢と叶うはつながらない。夢をみるのが幸せなんだ。
とある一つのゴミの夢。