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連載「菌活ボーイがゆく」㉘キムチパワー
こうじの魅力にはまった猫サラリーミャンの菌活実践記です。
「育て上げた醤油こうじを食べてしまうのが心苦しくて」の心境で菌との触れ合いの日々を送る。
さっちー師匠ににゃんだかんだ巻き込まれながら“菌友”づくりに励む。
文/菌活ボーイ
イラスト/ちぐ
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体調不良の僕の家に、さっちー師匠がお見舞いを持ってやってきた。
透明なガラス瓶の中に、漬けたばかりの手作りキムチ。
「目玉焼きや焼きのりと一緒に、ご飯に載せれば立派な丼」
1人暮らしの僕に勧める。
「それは菌活ライフと言えるのでしょうか」
「キムチは発酵食品。余裕でセーフにゃ~」
キジトラ流菌道は無差別級フリースタイルなのだ。
棚に置いたキムチの瓶は、印象派の絵のように美しかった。
赤、白、緑。
野菜の断面が混沌と溶け合う。
これまで僕は、キムチを容器の真上からしか見たことがなかった。
横からの眺めは新鮮で、立派なアート作品だった。
「食べたら、元気出そう」
そう言う僕に、さっちー師匠もうなずいた。
「キムチの乳酸菌も生きてるにゃ」
みんな生きてる。
生きているから、うれしいんだ。
僕の師匠はたまに、いいことを言う。
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(続く)