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シンプルで合理的、そして平等がベースにある、フィンランドのサービスデザイン

フィンランドを旅していて感じたことの1つが、サービス利用する時の体験価値を感じられるサービスが多いことです。今回はサービスデザインの視点からフィンランドをレポーティングしたいと思います。


空港を歩いていて感じたシンプルさと合理性のデザイン

ヘルシンキ・ヴァンター空港を歩いていて感じたのは、看板やサイネージの少なさと、ユーザーが迷うだろう、あるべきところに必ず看板がある配置の的確さです。私も外国人の立場で空港を歩きましたが、言葉の分からない外国人だと特にシンプルさは大切で、もしかしたら日本の空港は配慮の気持ちから情報が多すぎるかもとも思いました。

デザインに限ったことではありませんが、情報やモノを追加するよりも、削ぎ落すことの方がより設計が必要になってくるので、その点はサービスデザインが浸透しているフィンランドらしさを空港から感じました。

ヴァンター空港のチェックインカウンター、空間に余白がある
FINNERはほぼ全て自動チェックイン
羽田空港のチェックインカウンター(出典:アジアトラベルノート)

切符を買う体験のシンプルさは観光客の経済効果の視点でも大切

ヘルシンキの交通は、長距離列車、地下鉄、トラム(路面電車)まで全て一律ゾーン制で、何を利用しても料金はどのゾーンを利用するかで決まります。(例えば、空港からヘルシンキ市内まではABCの利用)
切符は駅の券売機でも買えますが、HSL(ヘルシンキ交通局)が提供するアプリからも購入でき、アプリのUIもとてもシンプルで外国人から見てもとても操作が簡単でした。

HSLアプリの画面

日本に初めて来た海外の知人から、日本で切符を買う体験がいかに難関か聞いていたので、観光客がハードルなく観光地を回れるか=観光客の経済効果を高められるかの視点でもこれは価値だと思いました。日本だと電車だけでも目的地に対して路線が複数あり、さらにそれぞれ料金が違い路線図を見ながら、切符を路線毎に買う必要があるので、海外から来た旅行者からすると、移動は一苦労だと想像します。
関連記事:駅の券売機で戸惑う外国人 意外に難しい「基本動作」とは

ちなみにフィンランドは改札がなく抜き打ちで来る検閲員が来た時に切符を持ってないと罰金80ユーロを支払うという仕組みです。改札がないため、IC機能を利用する必要がないからこその仕組みという観点もありますが、改札で全てスクリーニングするのではなく、抜き打ちチェックで高い罰金を払う仕組みも運営コストが少なくとても合理的のように感じました。

サードプレイスであり、機会提供の場でもある図書館

フィンランドと日本で空間設計や場の使い方の違いを大きく感じるのが図書館です。ヘルシンキには2019年にPublic Library of the Yearにも選ばれたOodi図書館があります。

Oodi図書館の外観:街に溶け込むゆるやかなカーブのデザイン


Oodi図書館の建物は3階建てで1階は主にイベント用スペース・会議用スペース・シネマ・カフェスペースが入っています。2階には楽器の演奏や写真の撮影・現像などが可能な複数のスタジオが用意されているほか、3Dスキャナー・レーザーカッター・ヒートプレス機・ミシン・刺繍機などが置かれた作業スペースなどが用意されています。3階は普通の図書館と同じような設備を有しており、約10万冊の蔵書が自由に楽しめるほか、雑誌・映画・楽譜・ゲームの貸し出しも行われています。託児スペースもあり、お母さんたちの憩いの場にもなってました。

1階にあるチェスボードでチェスを楽しむ市民の人たち
子供が遊ぶスペースもあり開放的な空間
利用者は思い思いの場所で時間を過ごしたり話したりしている

日本では図書館=静かに本を読む場所という印象が強いですが、フィンランドでは、図書館はサードプレイスであり社会的に弱い立場にある人に対して無料で機会を提供する場でもあります。楽器や3Dプリンタがあるのも、経済的理由で購入できない人が、それが理由で自分の道を諦めることがないよう、機会平等の観点からサービス提供をしている背景もあるようです。

今回はサービスデザインの視点からレポーティングをしました!
最後までご覧頂きありがとうございます。

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