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デンマーク・コペンハーゲンのサステナビリティを支える、ロラン島との関係

Feel Sustenabilityをテーマに、未来へのヒントとなるような取り組みを紹介していきます。

今回はデンマークの首都コペンハーゲンのサステナブル戦略支える、地方都市ロラン島の関係性ついてレポーティングしたいと思います。


ロラン島とコペンハーゲンの地理

デンマークはヨーロッパ大陸に続くユトランド半島と407の島々から構成されてます。首都コペンハーゲンはその中でも大きな島、シェラン島の中にあり、ロラン島はそこから電車や車で2時間半程郊外に位置します。

首都コペンハーゲンの郊外に位置するロラン島(写真出典:Pinterest)

ロラン島はかつては造船業で栄えた地域でしたが、現在は小麦畑の中に風力発電機が立ち並ぶ景色を見ることができる、のどかな地域です。

風力発電機は国や自治体が管理するものと農家が畑の閑散期を補う収入源として
個人で管理されているものがある


残念ながら一昨年達成期限の延長が宣言されたものの、デンマークの首都コペンハーゲンは元々2025年までのカーボンニュートラル達成を宣言しており、EUが全ての都市のカーボンニュートラル達成を2050年に設定している中、カーボンニュートラルのフロントランナーとされる都市です。そのフロントランナーであるコペンハーゲンのグリーン電力を支えるのが、ロラン島の風力発電です。供給率800-1000%といわれるロラン島の風力発電エネルギーの多くは、首都コペンハーゲンに供給されています。

コペンハーゲンは2025 年に初のカーボンニュートラル首都になることを目指している
(出典:CNCA


藁とゴミを焼却し、電力と熱を供給するコジェネレーション施設

ロラン島には風力発電の他、ゴミのリサイクル施設もありゴミは40項目以上に分別され、高いリサイクル率を維持しています。

リサイクルセンターはドライブスルー形式で
利用者が車でゴミを持ち込み分別する
デンマークは医療や教育は無料だが、ゴミ回収は有料で年間の廃棄料に応じ支払いをする(写真出典:Refa)

リサイクルセンターを運営するRefaはコジェネレーション施設も運営しており、リサイクルされなかった焼却ゴミと、牧草地で収穫される藁を燃やし電力と熱エネルギーを、ロラン島とコペンハーゲンに供給しています。

施設は自動化が徹底されておりNGOが運営している
デンマークはエアコンではなく温水や冷水で温度調節する暖房が主流で
温冷水の配管はコペンハーゲンのほぼ100%のエリアをカバーしている

資源を補い合い成長を助け合う協定と数々のプロジェクト

ロラン島とコペンハーゲンはお互いに資源を優先的に補い合うための協定を結んでおり、資源を補い合い共に成長するためのプロジェクトが進んでいます。

<ロラン島→コペンハーゲンに提供される資源>

  • 食料(有機野菜を中心にした農作物)

  • エネルギー(風力発電、コジェネレーション等のクリーンエネルギー)

  • 飲料水

  • 労働力

<コペンハーゲン→ロラン島に提供される資源>

  • 研究施設、それに伴う知識と雇用

  • お金(エネルギー、飲料水など資源提供に伴う対価として)

<共同プロジェクトの例>

  • ロラン島のグリーンエネルギーを活用したコペンハーゲン市内の施設や公共交通機関のエネルギー供給を改善し、持続可能な都市開発を推進

  • コペンハーゲンの研究施設とロラン島の労働力を結びつけ、共同研究プロジェクトを推進することで、両地域のイノベーションと経済成長を促進

  • ロラン島のオーガニックな農作物を活用したレストランをコペンハーゲンにオープンし、地元の農業の振興と健康食品の普及を目指す


お互いのビジョンを達成するためのフラットで戦略的な関係

畑が広がるのどかなロラン島の風景

日本でも国が推進したい特定の事業に関して、地方自治体や民間企業に補助金を支出する制度はありますが、ロラン島とコペンハーゲンの関係性は地方自治体同士の協定という点と、お金のやり取りはあるものの、あくまで資源に対する対価という位置付けのため、よりフラットな関係という印象を個人的には持ちました。
カーボンニュートラルという大きなビジョンを世界に先駆け達成したいコペンハーゲンと、造船業が衰退し経済を立て直すために新しいきっかけが必要だったロラン島の戦略的な提携関係です。

今回はコペンハーゲンのサステナブル戦略を支える、ロラン島との関係性についてレポーティングしました。最後までご覧頂きありがとうございます!

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