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はじめの一歩
はじめの一歩が一番怖い。
桜舞う都会の交差点、
密かに拳をギュッと握りしめ、精一杯の勇気でその一歩を踏み出した貴方を、私は心から尊敬します。
その一歩が踏み出せたら、もう大丈夫。
優しい風が貴方を導いてくれるから。
はじめの一歩を踏み止まってしまった貴方。
不安怪獣が頭と心を支配して息が苦しい。
肩を落とし乗った車両に、
同世代の会話が眩しく見える。
無くした物を数える。
貴方の中の賢すぎる評論家が、
貴方をダメな奴だと攻めたてる。
涙が溢れる。
でも、大丈夫。
その経験は貴方の血肉となり、同じように迷う誰かの救いの道しるべとなる。
不器用だけど少し優しくなった貴方は、
次はきっともっと大きな一歩が踏み出せる。
強く握りしめた拳をそっと開くと、
そこには見過ごしていた貴方だけの小さな星が輝いた。
風待栞