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はじめてのパーソナルジムで大爆発。

札幌市内でパーソナルジムを経営しているという方を紹介された。ジムの運営について、集客などのアドバイスがほしいとのこと。

ジムには行ったことがないんだよなぁ、と思いながらも、その話を受けることにした私なのだが、ジムの運営者さんから「イトーさん、それならぜひ、うちのプログラムを受けに来てください! 費用はいただきません!」とLINEで言われた。


はい、受けます。



というわけで、ジムにて。


仕事着でジムを訪れた私を待っていたのは、トレーナー兼経営者さんの男性で、年齢は私より下らしい。

「はじめまして!」と元気に言ってくれた彼を見てみると、筋骨隆々ムキムキのマッチョマンだった。それはもう見事な。マッチョマンを通り越してメッチョメンと呼びたくなるような。


彼のプロフィールや現在の取り組み、これからの会社の展望などを聞き、力になれるかどうかを判断するのだが、話を聞き終わった私の頭の中には「それはGOODイイね!」という言葉が浮かんでいて、ありがたくもお仕事を受けさせていただくこととした。

「イトーさん、よければ今、トレーニングプログラムを受けませんか?」

はい、ぜひに。

ということで、着替えを渡された。
半袖シャツとハーフパンツに着替える。


なにもこの場で筋トレをする、というものではなく、まずは姿勢改善のストレッチメニューを私に施してくださるということだった。


小中高、そして社会人前半とサッカーに夢中になった私だから、身体に関するメカニズムというものはある程度承知している。

のだが、

「いやぁ、イトーさんの今の姿勢なら、このストレッチが終わった後は、身長が2センチは伸びますよ」

えっ。



姿勢改善メニューを施された。

首、背中、骨盤の順にバキバキなにかをやってもらう。元来、整体やマッサージに通うという文化がない私であるから、この体験は新鮮で、他に誰もいないジムの一室で、私の身体の中から時にバキバキ、時にポキリと音が鳴る。

う〜ん、悪くないねぇ。


トレーナーさんは、どうやら雑学が豊富なようで、大谷翔平くんの身体の使い方やメッシの身体の使い方がどれだけ理にかなっているかを説明しながら施術してくれる。

「大谷くんは骨盤の使い方がうまくてですね、フンっ!」

ポキ

「メッシは胸骨の使い方が抜群で、オリャっ!」

バキ

まるで私の身体があいづちを打つように音が鳴る。



「では、イトーさん、足の裏いってみましょう」

「足の裏ですか?」

「ええ、この足裏のアーチが重要なんです。見たところ、イトーさんは足裏のアーチが消えているように見えます。これでは自重を足裏で支えることができず、ふくらはぎが太くなってしまうんですよ」

理にかなった説明をしてくれる。足の裏の使い方には自信があった。なぜなら私は元サッカー部だ。サッカーといえば足だ。

高校時代の私は、親からもらった2本の足を駆使して、魔法のようなプレーを連発した。他校からも魔法使いマジシャンの異名で恐れられた男である。

私もすっかりその気になる。

「おお〜! ぜひ!」

台の上に私がうつ伏せに寝転がる。
で、トレーナーさんが足の裏をほぐしていく。

「じゃあ、いきますよ〜! どりゃっ!」










\ カッ! /


死ぬかと思った。

叫んだ。よくわかんないけど、足の裏をゴリゴリされるやつ。叫んだ、というか叫びまくった。死んだほうが楽な痛みってのがあるらしいが「これか」と思った。

札幌市内の謎の一室から、私の声がこだまする。

これは痛い。かつてない痛みだ。このトレーナーさんとは初対面だ。当然会話は敬語でおこなわれてきた。だが、これはあまりにも痛い。痛みを通り越して、もはや死にたい。


かつて魔法使いマジシャンと呼ばれた私の顔は、般若の面のような形相になる。


「痛いってーーーーーー!」


「あはは! イトーさん、やりがいあるなぁ!」


全然やめてくれなかった。

<あとがき>
ちなみに、施術後、本当に身長が2センチ伸びました。どうやらたしかな腕をもっていらっしゃるようです。これはやりがいがある仕事だぁ。にしても、自分でも気づかないうちに、姿勢というのはどんどん固まっていって、全身が岩のようになっているということに気づきました。今日も最後までありがとうございました。

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