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中学2年生のときに楽しく書いたショートショートを成仏させたい。

中学2年生のとき、国語の教科書には星新一のショートショートが載っていた。分かりやすい文体と構成なのに「あっ」となるオチがあり、読んでてなんだか楽しい。

で、子ども心に私は思った。


(ぼ、ぼくも書いてみたい!)


いくつかオリジナルのショートショートを作って、友だちに読んでもらった。すると、その友だちは、

「俺も書く!」

と言って、しばらくお互いに見せあっこした。


ショートショートは、何個か作ったはずだが、内容を覚えているのはひとつだけ。


今日は、私が中学2年生のころに作ったショートショートに加筆してここに公開し、あのころ生み出した作品を世に解き放って、物語に登場する主人公を成仏させたいと思う。

内容は正直、中学2年生が書きそうなもの。
中学2年生が読んだら「ほぉー」となるかもしれない。

今は大人だから感覚が違うと思うけれども、過去の自分の創作物を、ここに閉じ込めておきたいと思ってしまったから仕方がない。


あたたかい目で。


では、いってみよう。


タイトル : 『新薬ハラヘラン』


ある町に男の子がいました。

中学生のその男の子は、同級生とくらべても体が大きく、お腹もぽっこりしていて、おせじにもかっこいい男の子ではありませんでした。


お母さんのおいしいご飯を
たくさん食べすぎていたのです。


ある日、男の子は同じクラスの女の子に恋をしました。クラスでいちばん、目がくりくりして可愛らしいその女の子は、ほかの男の子からもモッテモテ。

太った男の子は思いました。

(お腹がぽっこりしていては、あの子に好きだと告白することもできないなぁ)


男の子はダイエットをすることにしました。

朝早く起きてマラソンをして、腹筋と腕立ても一生懸命にやりました。でも痩せることはできませんでした。お母さんのご飯があまりにおいしかったからです。

せっかく運動しても、お母さんが作ってくれるご飯をモリモリ食べてしまっていたのです。


ある時、学校になぞの博士がきました。


博士は太った男の子を見て言いました。


「ワシが作った新薬をためしてみんかね?」


男の子は、

「どんな薬ですか」

と聞きました。

すると博士は言いました。

「新薬の名前は『ハラヘラン』じゃ。これを飲めば、お腹は空かなくなり、君のような男の子も、すぐに痩せることができるんじゃよ」


男の子は言いました。

「痩せられるなら、飲みたいです!」


博士は男の子にハラヘランを渡しました。
ハラヘランは小さなカプセルでした。


男の子はハラヘランを飲みました。


夜になってお母さんがおいしいご飯を作ります。でも、不思議なことに男の子はお腹が空いていませんでした。


「ハラヘランのおかげさ!」


ハラヘランの効果はテキメン! 朝もお昼も夜もご飯を食べなくてもいいのです! 男の子のぽっこりしたお腹もちょっとずつへこんでいきました。


男の子は、もっと痩せて、好きな女の子がかっこいいと思ってくれるまで、ハラヘランを飲み続けようと決心しました。






それから3週間後、





男の子は餓死してしまいました。


(おしまい)



ひぇーーーーーーっ!!!

いや、まさかの餓死なんかい!

せっかく生み出した主人公を餓死させんなよ!

愛情を持て!!!


中2がめっちゃ考えそう。


〈あとがき〉
珠玉の餓死オチです。大人になると先が読めるような気がするのですが、当時これを書いて友だちに見せたところ「オチが斬新だね」と褒められた記憶があります。いつか私の子どもがこれを読んだ時「え、どういう中学生だったん?」と思われるかもしれません。このnoteに過去の私を閉じ込めます。今日も最後までありがとうございました。

▶︎いつか生まれる自分の子どもに読ませたいから


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