ことわざを考えた人って誰なの?
芥川龍之介は、ことわざを考えてはないとは思うんだけど、それにしたって、ことわざってなんでこんなに楽しいの? なんだか使いたくなるマジカルなセンテンスたち。
「いやいや、それはまさしく鬼に金棒、イチローにバット、イトーダーキにnoteですな」
「鬼に金棒、イチローにバット、〇〇に〇〇」の構文は、会話の中で使うと、ほぼ間違いなくウケる。オススメ。
と、いうのは余談で。
先日、未知の新型ウイルスに夫婦共々感染して、本当に困った。しかも私の場合、この直前、お酒に飲まれて泥酔し、妻と「お酒を一生飲まない」という条約まで結んでしまった。踏んだり蹴ったりである。この状況にぴったりなことわざは?
「泣きっ面に蜂」
で、妻と「いやぁ、この状況ってまさに泣きっ面に蜂だよねぇ」と伝えたところ「ほんとにそう」と返してきたので、ふと思ったことがあり妻に言った。
「ねぇ、泣きっ面に蜂って、めっちゃかわいそうじゃね? えーんって泣いてるところに蜂が来て、プスリって状況なわけでしょ?」
「たしかに」
「考えたやつ、だれなん?」
「誰だろうね」
「え、だって、想像してみてよ」
みなさんも想像してほしい。
◾️泣きっ面に蜂劇場、開幕!
道を歩いている小学校低学年の男の子。田舎の農道。学校帰りの夕方。友だちにいじめられて、1人でトボトボ帰ってる。さみしいなぁ、と思いながら。
そしたら道に落ちてた石につまずいて、転んじゃった。ヒザをすりむく。血がタラリ。いじめられてて辛い。その状況でコケた。痛い。自然と泣けてくる。痛いのなんのと悔しいの。
シクシクと1人で泣く。
そしたらどこからともなく聴こえてくる。
…ブーーーーン。
顔に止まる。ハチが。ピトッと。
男の子は、うわっ! と思って手で振り払う。
けどハチは逃げるどころか襲ってくる。
…ブン、ブブーーーーン。
で、また男の子の顔に止まる。うわっ! と驚く間もなく、ハチは男の子のおでこめがけてお尻を向ける。
プスっ。
こ、こんな状況ある?
「え、かわいそすぎない?」
「たしかに、かわいそう」
「誰なんだよ、このことわざ作ったやつ」
「誰なんだろうね、刺されたのかな」
「刺されたんだろうなぁ」
そう考えると、このことわざを考えた人ってのは、人生のスイもアマイも知ってる、示唆に富んだ大人物なんだろうなぁ、とか思いながら、私と妻は療養生活を送ったのでありました。
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