夏らしいことを始めた瞬間、人生が変わり始めた【Ep.2/全4回】
全4回にわたってお送りする
私が体験したある夏の1日のエピソード。
本日はEp.2を書こうと思う。
▶︎Ep.1がまだの方はこちら
週末の土曜日9時くらいに、札幌駅北口のドトールに来た。友だちの「夏らしいことはしたか?」のひと言が頭に残ってる。何か夏らしいことをするんだな、それなら写真も撮るだろうから何かアイテムを持っていこう、と思って、私はなぜかドラゴンボールの3巻を持って行った。天下一武道会が始まる巻だ。
ドトールに行くと、友だちのユウヘイがもういて「お、きたきた。あと2人くるから」と言う。私が「誰が来るの?」と聞くと「来てのお楽しみだ」と言う。
2人でドトールのコーヒーを飲みながら待っていると、遅れて男性が入ってきた。ここではコウスケてしておこう。コウスケもまた私の高校の同級生。卒業後もたまに会ってはいたが、例えばビールを飲みながら裸で一緒に踊るような、そういう関係ではない。一見すると寡黙な男だけど、頭がよく実はお話が好きな男である。彼もまた私が心から尊敬する友人の1人だ。
高校時代、私はサッカー部で、コウスケも、今回の発端となったユウヘイも同じ高校のサッカー部だ。気まずさは一切ない。
「夏らしいことするんだって?」
男3人でニヤニヤしている。
土曜日の朝9時に札幌駅に集まって夏らしいことをする、って言われたらワクワクが止まらないのは誰だってそうだ。
3人で待っていると、女性が入ってきた。「お、きたきた」と友だちが言う。私とコウスケは初対面だ。色白、ボブカットで少し茶髪、黄色いTシャツにブルーのショートパンツでやってきたその子は、名前を「タマちん」と言った。
「タマちんは、俺がバイト時代に知り合ってさ、夏らしいことしたいなぁと思った時に浮かんだから誘ったんだよ」
「よろしくお願いします!多分3人より一歳歳下で、いま大学4年生です」
タマちんは快活な女の子って感じだった。
タマちんとはこの日と、また別の日にみんなで会ったっきりで以降8年近く会っていない。聞くところによると、子どもが出来て、一児の母になったが離婚したらしい。もう少しで再婚するとかしないとかという話を先日聞いた。元気ならいい。
高校のサッカー部の同級生3人と、初対面のタマちん。この4人で夏らしいことをするらしい。4人のうち2人が新社会人。私とタマちんが大学生だ。全員が特に人見知りをするわけでもないので、普通にドトールで会話をしていた。すると、ここでユウヘイが言う。
「よし、夏らしいことですが、みなさん」
「おっ」
「美瑛町の青い池に今から向かいます」
「あ、青い池か!あの!!!」
今でこそ、美瑛町の青い池と言えば、北海道観光の定番スポットである。2013年当時といえば、青い池がにわかに注目され始めて、ヒマな大学生を中心に黎明期の観光スポットになっていた。
札幌から車で約3時間という場所柄、ドライブデートなどにもちょうどいい。この4人とも、この当時は美瑛の青い池には行ったことがなかった。
「しかも、青い池には公共機関のみで行く!」
「おお〜〜〜!!!!」
なんという斬新なアイデアだ!
みんな青い池に行く時は大抵が車で行くんだ。と、いうか車でないと不可能だ。今でこそ美瑛駅から観光バスなどが出ているが、当時はまだそんなものもなかった。不可能かどうかはここでは関係ない。要は「夏らしいか否か」が争点になっている。北海道の夏。天気もいい。とても夏らしいじゃないか!
「いいか、青い池、青い池とみんな言うけれど、俺たちは見たことがない。だから今回のテーマは!」
…ゴクリ
「青い池は本当に青いのか!これを俺たちで確かめに行く!公共機関のみで!!!」
おおおおおお!
なんとも夏らしい!!!
そうと決まれば行動だ。
明日は、公共機関のみで果たして美瑛町の青い池にたどり着けるのか?をお届けしようと思う。
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