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魅惑のチキン南蛮

初めて宮崎に行ったのは、小学生の時。そこで、名物チキン南蛮と出会う。

なんだこの、こってりボリューミーな代物は!と食べ盛りの私は感激する。分厚い衣をつけてカリッと揚げた鶏もも肉は、この量をひとりで食べていいの?というハッピーボリューム。それをトンカツみたいに細長く切り、上からこってりソースの代名詞、タルタルソースがのしかかる。しかも、ただのタルタルソースではない。甘酸っぱい醤油のようなものも組み合わさっている。甘酢とタルタルって、何でこんなにも合うんだろう。全人類が真似してほしいと、当時の私は思った。この甘酸っぱさがたまらなくおいしいよね。

宮崎には、ホームステイで行った。だから、現地の人がおいしいお店に連れて行ってくれる。今思えば、贅沢だよなぁ。観光客が素通りする穴場なお店を現地の人たちは知っている。すっかりチキン南蛮のトリコになった私は、3日間ともチキン南蛮を食べた。しかも、全部違うお店で。どれもおいしかったなぁ。

正直タルタルソースが苦手で、エビフライも好きじゃなかったんだけど、チキン南蛮のタルタルソースはおいしくて、私の中でタルタルソース革命が起きた。

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ヘルシーなものが食べたいと思って入った日替わり定食のお店。そこで出てきたチキン南蛮を頬張っていたら、自然と当時の記憶がよみがえった。

チキン南蛮って、ただでさえ脂質の高いもも肉を油で揚げて脂質を追加させているのに、さらに脂質爆弾のタルタルソースを重ね合わせた、ダイエッターの天敵だよね。これを超えるギルティグルメは存在するのだろうか。


昨日食べたチキン南蛮は、今日このお店を選んでよかったと思える幸せな味がした。


「これを食べて太ったとしても、絶対に後悔しない」と確信できるものと出会うために、私は生きているのかもしれないなぁ。チキン南蛮を食べながら、そんなことを思う。


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吉野千明
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