続『スタンフォードが中高生に教えていること』〜レッテルの脅威とは |読書ノート
あなたは堅実に育ったから、いろいろと安心ね。
ある日、とある人からかけられたこの一言が、なぜかずっとモヤモヤして残った。
そのモヤモヤの正体が、先日読んでいた本の一節によって判明したのである。納得感、スッキリ感。
今日は、言葉がけとマインドセットと教育のお話です。
「チャレンジする姿勢を削ぐ言葉がけ」には2種類ある
その本とは、noteの読書感想文でも書いた『スタンフォードが中高生に教えていること』です。
スタンフォードオンラインハイスクールの教育において大切にしていることの中に、「学びにチャレンジする姿勢を育てる」と言うことがあります。
子供がチャレンジを怖がる最大の理由と言うのは、失敗や間違いをしてしまったときに誰かに軽んじられると言う経験が挙げられます。
逆に言うと、失敗や学びをよしとする文化やマインドセットを育むということが教育の上では大切になるそうです。
それを達成する方法論の中に、
適切な言葉がけというテーマ
が書かれていました。
具体的には、子供が間違えたときにどんな言葉がけをするかということについてルールを決めているようなのです。本の一説を引用します。
子どもが間違えた時の声かけのコツ
以上、子どもが間違えた時の声かけのコツとして注意する点を箇条書きでまとめておきます。
A.間違いは最高の学習の機会であることを伝える。 B.ネガティブなステレオタイプを使わない。
C.ネガティブな主観を表さない。どこが間違えか客観的に示す。
D.問題が子どもの学習進度にフィットしているかどうか考える。
E.再挑戦の際には、やり方の方向性をアドバイス。 F.チャレンジしたことをほめたたえる。」
(『スタンフォードが中高生に教えていること (SB新書)』(星 友啓 著)より)
このように、ネガティブな表現についてとてもシビアに守るべきことを決めるとこに強く共感しました。
私もこの点については、普段からかなり意識して守っていたことが多かったので、ほっと安心しています。
しかし、この本の中にはもう一つ私が考えもしなかった言葉がけへの注意の点が挙げられていたのです!
その注意点とは、
ポジティブな視点でのレッテルを貼る事
ポジティブなレッテル貼りの脅威
例えば、こんな例です。
あなたはお父さんに似て勉強がよくできるわね!
女の子だから、国語が得意みたいだね、すごいね!
どういうことなのでしょう。
ポジティブならばむしろいいのでは?とわたしは疑問を持ちました。
なぜこのような表現が、チャレンジを遅れてしまうのか、また引用してみます。
「自分がすでに与えられた、変えることができない属性に対するポジティブな期待は、必要以上のプレッシャーになりかねません。
今後国語ができなかったり、勉強が得意でなくなってしまった場合に、女性であることやお父さんの子どもであることをどのように感じるでしょうか。
「女なのに国語ができないなんて」
「お父さんの子なのに」
変えられない自分の生まれ持った属性を肯定するために、大きなプレッシャーを感じながら国語や勉強に向き合っていかねばならず悪影響が出かねません。
子どもを優しくサポートするかのようなポジティブなステレオタイプも、看過し難い危険性をはらんでいることを肝に銘じておきましょう。」
(『スタンフォードが中高生に教えていること (SB新書)』(星 友啓 著)より)
お気づきでしょうか。
実はこの一説こそが、私が冒頭であげていたモヤモヤした言葉が、なぜモヤモヤしたのかと言う答えを導き出していたのです。
「あなたは堅実に育ったから、あんしんね」
という言葉には、
堅実に育ったはずの私が、そうではないわたしになってはいけないのではないかというプレッシャーを生み出します。
似たようなモヤモヤ言葉の経験として、
「お父さんに似て優しく育った」なんてものもありましたね。優しくない自分を感じたとき、それを許すことができない、自己受容できない要素になってしまうのです。
このような、一見するとプラスなレッテルに強く反応する理由は、これなんだと思いました。
どちらも、もちろん褒めているというか、プラスの意味で伝えています。だからモヤモヤする気持ちにピンとこない自分もいただけれど、理由が明確になったのです。
実は、自分もやっちゃいがちだった
みなさんはいかがですか?
意外とこういうフレーズで褒め言葉だと思って子供にかけていたり、大切な他者にかけていたりすることってありませんか?
ここまで分析して気づいたのは、他人からやられているだけではなく、私も結構やってたかもということです。
「へえ意外とーーなんだ!」とか、褒める気持ちで言っちゃうんだけど、自分に置き換えるとモヤモヤすることがわかりました。
代えられないポジションに何かレッテルを貼ると言うことにも注意を向けて会話を進めていければと新たに学びを深めたのでした。
🖋あとがき
ここまで記事を読んでくださった方、ありがとうございました😊
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