なんか変な人は好き|ひとり散歩
あなたの周りになんか変な人はいますか?
例えばリミッターが振りきれてやり過ぎちゃう人とか、リスクを忘れて突っ走る人。あとは、これしかできない、と一つのことをやり通すような人とか。
わたしはどちらかというと、変な人に振り回される側の人間です。(人間誰しも普遍的に変な部分はあるんですが)変な人って大概、行動基準もズレているから、こちらの予想の斜め上を行く行動で予定外の事態を引き起こしますよね。
まあでも、変=自分の普通と違う→関わると新しい世界が広がる、みたいな側面もあるわけで、別に悪いこととは限らないんですが。
だって、こちらが思う変は、あちらにとって普通であって、当然悪気は無いわけですし。
そんな、突拍子もないことで日々わたしを振り回し、それでいて憎めない、あなたのことを思い出しながら、この記事を書いています。
初夏みたいに暖かかった春の日の夕方、銀座周辺を散歩しました。今回の目的地は、クリエイションギャラリー G8にて開催中の、『仲條正義名作展』
様々なデザインを手掛けたすごい人らしいが、すごすぎて説明の語彙が足りなかったので、引用しておきますね。
クリエイションギャラリー G8、初めて行きましたが入場無料なのにそこそこの広さ、真っ白い空間に作品が堂々と飾られていて、見ごたえがありました。
あるあるで画期的
色鮮やかで力強い作品が多く、なんと言うか
平成!って感じ。
いや、この方は平成より以前からご活躍されていたんですが、作品のデザインや色使いに、ああこの作風は、あの頃よく見たやつだ〜と思いました。
「知っている感じ」に出会うと、急に身近に思えて、世界に入り込みやすくなります。実際、資生堂パーラーや東京現代美術館など有名なロゴを手掛けられているので、本当に知っている作品もたくさんありました。
全体的に生命力とメッセージ性の強いデザイン。
彼の作品はアバンギャルドと評されていて、(前衛的・先進的みたいな意味)、作風としてはそれまでにない新しいものだったんですね。
それが現代のわたしからすると、「当時よく見たやつ」という感想になるということは、この方が切り開いた風潮は画期的で求心力があって、真似をした人がたくさんいて(有名なデザインはたいていパクられるよね)それがスタンダードになっていったということでしょうか。
時代を引っ張ってきたデザイナーの一人なんですね。
最近デザインと比べると
ところで、じゃあ最近のデザインてどんな感じ?と聞かれたら、わたしのイメージとしてはつるんとした、スマートなイメージです。
マイルドな色味とシンプルなイラスト。左下のイラストのお姉さんみたいな、スタバでMacBook開いてそうなイメージ(偏見)
熱血とか生命力というよりは、効率とかバランスとかいう言葉で形容されそうな感じです。知らんけど(個人の見解です)
ちょうど数日前に、”企業ロゴがどんどんシンプルになってきている”という記事を見かけました。
以前はレタリング(デザイン性のある文字)が主流だったのが、昨今はサンセリフ(飾りのないつるんとしたフォント)に変更した企業が非常に多いらしいです。
こうして比較すると、かなりシンプル化してますね!やはり最近は、スマホを始めデジタルで目にする機会が激増しているので、ロゴもシンプルにして、小さい画面で見た時の視認性(目にした情報の意図を瞬時に理解させる)を高めたいんだとか。デザインも同じようにシンプル傾向にあるんでしょうね。時代ですね。
仲篠正義さんの話に戻ります。
ここまで考えてたら、やっとステートメントの意味が腑に落ちた気がします。
冒頭のキャプションにある通り、彼は、
“完成された美を疑い、自分を疑い、壊すところから新しい表現に向かって挑み続けた”
そういう人なんですね。
今と前とどっちがいいとか悪いとかではなく、
(デザインの目的を全うするためには)世の中に合わせて変えていく必要があるし、今ある当たり前を壊さないと新しいものは生まれない。
デザインに限らずですが、変わっていくものだという認識で、変化に柔軟でいたいと、改めて思いました。
▼記事はこれかな(元記事は英語ですが
わたしが読んだのは誰かの解説ツイートでした)
何のためにデザインする?
作品に関するインタビューの抜粋が、各エリアごとにキャプションとして置かれています。
感性やアイデアについても語っているので、読みながらデザインを見るのが面白い。語り口から空気が伝わってきて、作者に解説してもらっているような気分になります。この方、なんとなく自由人なイメージ。
普段、デザインは完成したものを見て、おしゃれとか可愛いとかイケてるとかフィーリング的な感想しか持たないけど(そしてすぐ忘れる)、制作過程や意図が分かると興味が加速します。
わたしはデザインもアートも特に詳しくはないので、作者の考えやパーソナリティを補助線にして、自分の理解を補っていくイメージ。
アートとデザインの間で揺れ動いていた時のインタビューが印象的でした。
仕事となると好きよりニーズを優先する場面がほとんどですよね。言うまでもなく。
制作意図とオーディエンスの受け取り方について考えていたら、数年前に一緒に働いていたデザイナーのAさんの言葉を思い出しました。
『商品やパッケージのデザインは世界観を徹底する。ブランドイメージを作ってお客さんに刷り込んで、ふとした時に(似た配色やデザインを見た時など)思い出してくれると、それはデザイナー冥利につきる』
意訳ですが、こんな風なことを言ってました。
例えばお菓子のパッケージデザインなら、「売れる」ことを目的に、「買いたい」と思わせる、「可愛い・好き」と思わせるための要素を徹底して入れる。目的の邪魔になる自分の好みや感情はバサバサと捨てていきます。
これはマーケティングとか誘導的な面もあって、賛否あるかも知らないですが、デザインてやっぱりアート(芸術)より戦略的なものなんだなと再認識。
ところでこのAさん、仲篠正義さんより少し下の世代の方ですが、やっぱり彩度高めの、生命力があるデザインを得意としていました。そしてまあまあクセが強くて(デザイナーあるあるか?)、仕事を依頼するのに骨が折れる場面も多々ありました。
それこそ今どきっぽいシンプルにしたいわたしと、彩度高めのカラフルにしたいAさんとでぶつかり合うこともしょっちゅう。
だけど、今となっては何をどのようにぶつかったのか、細かいことは忘れてしまって、思い出すのは笑わせてくれた小話とか、水分はコーラZEROしか飲まないこととか、色に対する異常なこだわりとか(カラーコードで指示しないと怒るとか)、クセ強エピソードばかり。
めんどくせえなと思うこともたくさんあったけど、その人はその人で必死にやっていたことは確かで、あなたのなんか変な部分は好きでしたよと、展示に重ねて思い出したのでした。元気にしてますか?
何やら壁が喋っておる、、と思ったら、
仲篠さんの語録でした。なんとなく人柄が伝わってくる言葉です。
ギャラリーの側には小さな図書館があって、デザイン関連の本を自由に閲覧できます。
展示の意図に沿ってるかはわかりませんが、暖かい春の夕方の空気も相まって、ポップな気分で鑑賞できました。
仲篠正義展は3/30(木)まで開催しています。
銀座周辺を散歩しながら立ち寄るのもおすすめです!
思い出に浸っていたら長くなってしまった、、最後まで読んでくれてありがとうございます。
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