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lazy_planet
エッセイ)贈り物に気持ちを込めて
10年程前、私はフットサルチームに所属していた。下は大学生から上は30代中盤のおじさん迄、幅広い年齢層で構成されたチームで私もそのおじさんの1人だった。それでもチームの仲が良くて誰かの誕生日が来ればお金を出し合ってチームからプレゼントを送ったりしていた。
1番若かったD君の誕生日には、ちょっと派手なゲームシャツをあげた。
その当時はブログを今のグループラインの様に使って連絡網等を回していた。誕生日プレゼントを貰ったD君はお礼の記事をそのブログにあげた。若いのにきちんとお礼が言えてしっかりしているし可愛い後輩だった。
ブログの内容は言葉だけかと思ったら、可愛いいDの彼女に我々が渡したプレゼントのシャツだけを着せた写真も一緒にあげていた。
おじさん達はプレゼントを貰ったD君よりも喜んだ。そして、1人のおじさんが言った。
『そう言えばDのシューズ結構、傷んでたよな。あいつ学生でお金ないやろうし俺らからプレゼントしてやらない?』
その話に私を含めたおじさん2人は即座に意図を汲み取り理解した。その時の3人の意思疎通はフットサル中ではあり得ない程に統一されていた。アイコンタクトさえ必要としない程に…。
シャツをあげたからシャツだけの写真。
じゃぁ靴なら…。
翌週の練習日に新しいシューズをD君にあげた。そして、D君は例の如くお礼記事を上げた。
…そこに夢はなかった。
…もとい写真はなかった。
…あの頃は30過ぎていたとはいえ、私もまだまだ若かったなぁ…。シューズだと家の中では履かないだろうし流石に外で写真を撮るわけにはいかないだろうからなぁ。
…ソックスにしとけば良かった。
終わり