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すごいリアル。映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」に惹き込まれた。

こんばんは。今日は映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」について書きます。

最近はNetflixでドラマや映画を観る機会も増え、前から気になっていた作品を、一気見したりしておりました。

「リップヴァンウィンクルの花嫁」は、「スワロウテイル」などの名作も多い、岩井俊二原作・監督作品。

「リップヴァンウィンクル」というのは、主人公・七海(黒木華さん)が出会う友人・真白(ましろ/Coccoさん)のSNSアカウント名のことです。

調べてみると、アメリカの作家が書いた短編小説の名前だそうで、「アメリカ版浦島太郎」とも言われているそうですよ。

その名の通り、主人公はものすごい勢いで変化する世の中から取り残されている、世間知らずな女の子。

SNSや代理出席(サクラ)、詐欺など…何者にでもなれてしまう現代社会で、どん底を味わいながらも、さまざまな人との出会いから成長していく姿に引き込まれます。

映画の中で、主人公の七海は、マッチングアプリで出会った男性と結婚し、SNSで知り合った何でも屋さん(綾野剛さん)を通じて、結婚式の代理出席サービスを利用する。両親は離婚しており、夫婦は形式だけ。

さまざまな手口に騙されまくった七海は・・・とにかく周囲から見放され、信用を失ってしまう。しかし、何でも屋さん経由で出会った、代理出席サービスのバイトで出会った先輩、真白さんという女性と一緒に暮らすことになると、知らなかった事実が浮き彫りになってくるという展開です。

観ていて思ったのは、「結局他人のことなんて知っているようで、何も分からないよな~」ということ。

それが家族や親友であっても、彼らがどのような過去を持ち、実際のところ何をしているのかなんて分からない。・・・というか触れてはいけない部分を誰しもが持っている。

でも、映画の中の七海を見ていると、「他人を深く知らないからこそ、人と繋がっていられるのかな~」とも思えてくるんですよね。
誰にも知られたくないバックグラウンドを持っているほど、他人と深い関係になることを恐れてしまう。他人に知られた時の結末が目に見えてしまう。

だから、形式上の友達、パートナーという存在を求めるのではないかとと思ったりします。真白さんがなぜ、同居人に七海を選んだのか。その理由も、七海を見ていると見えてくるような気がしてきます。

人と人との距離って、難しい。東京で人間関係を築くなかで、そう感じることもあります。

そして僕たちは他人を理解するために、その人の職業やSNS発信の内容を見ています。逆に僕たちも、自分を何かで固めている。

夫、妻、父親、母親、サラリーマン、○○株式会社、大学生、社長、マネージャー・・・など、人はいくつもの役を演じ分けている。
「肩書きなんて何でもいいんですよね」「みんな何かを演じてるんです」という綾野剛さんのセリフが秀逸でした。

結局、その人が何者なのかを知ることって、本当に必要なことなのか。
深いことは知らないからこそ、僕たちはさまざまなコミュニティで、ゆるい繋がりを持つことができるとも言えると思います。

以上が内容についてのざっくりとした感想ではありますが、
この作品の中で、岩井監督独自のものだなと思ったのが「会話」のシーン。

ビックリするほど会話がリアルで自然なんですよ。おそらく、カメラが回っていると感じさせない、岩井監督の手法なのでしょう。
「これ、本当に台本あるの?」と思っちゃうほど、日常を切り取って観察しているような気分にさせてくれます。色々な作品を見ますが、会話シーンに関しては圧倒的でした。

そして、もう一つだけ言っておきたいポイント。挿入曲が美しすぎます。
タイトルにもある「花嫁」を象徴するような、ウェディングにふさわしいクラシック楽曲。
「G線上のアリア」「主よ、人の望みの喜びよ」「歌の翼に」などなど、幸せを象徴する挿入曲とスロー再生シーンが絶妙に絡み合い、スクリーンの登場人物に感情移入してしまいます。

僕は映像に関しては素人ですが、映像作品として描写の美しさと、ストーリーの面白さを味わい、とにかく感動でした。

久々に映画について語りました。ネットフリックス等ではドラマでも配信されているので、興味のある方はぜひ観てみてはいかがでしょうか。




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ケースケ
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