フランス語翻訳練習 リルケ『果樹園』34
ライナー・マリア・リルケ(Rainer Maria Rilke, 1875年12月4日-1926年12月29日)は、オーストリアのドイツ語詩人です。
フランス語の勉強と合わせて、晩年のフランス語の詩を紹介できれば幸いです。
解説によると、34はマルセル・プルーストに影響を受けでできた詩との事です。また、Leben 生(生活、人生)とKunst 芸術の対比について語っているのではないかとも解釈されています。
Rilke, Vergers, 34
Combien de ports pourtant, et dans ces ports
combien de portes, t'accueillant peut-être,
combien de fenêtres
d'où l'on voit ta vie et ton effort.
Combien de grains ailés de l'avenir
qui, transportés au gré de la tempête,
un tendre jour de fête
verront leur floraison t'appartenir.
Combien de vies qui toujours se répondent;
et par l'essor que prend ta propre vie
en étant de ce monde,
quel gros néant à jamais compromis.
リルケ、果樹園、34
だがなんとたくさんの(救いの)港が、そしてその中には
なんとたくさんの、おそらくお前を受け入れる門が、
なんとたくさんの窓が、
そこから人がお前の生と努力を見るところの。
なんとたくさんの未来と共なる翼の付いた実が、
その実は、嵐の意のままに運ばれて、
柔らかい祝日に、
己の開花がお前のものとなるのを見るだろう。
なんとたくさんの常に答え合う生が、
そしてこの世にありながら
お前自身の生がする跳躍により
なんと大きな無が常に危険に晒されていることか。
本文は、左ページがフランス語原文、右ページが複数の研究者によるドイツ語訳(散文訳)です。併記します。
Und doch, wie viele Häfen, und in diesen Häfen wie viele Türen, die dich vielleicht aufnehmen. Wie viele Fenster, von wo man dein Leben sieht und dein Bemühen.
Wie viele Samen, geflügelt mit Zukunft, die, von der Willkür des Sturmes getragen, an einem milden Festtag sehen werden, wie ihr Blühen dir gehört.
Wie viele Leben, die einander immerfort antworten; und durch den Aufschwung, den dein eigenes Leben nimmt, während es zu dieser Welt gehört, welch riesiges Nichts, für immer gefährdet.
(Rainer Maria Rilke Werke, Kommentierte Ausgabe in vier Bänden, Supplementband, Insel Verlag, S.48f.)
参照した日本語訳
河出書房新社、リルケ全集、第5巻、詩集Ⅴ、果樹園、白井健三郎、吉田加南子訳
34
しかしどれほどの数の港が そしてそれらの港のうちの
どれほどの数の家の扉が おまえを迎え入れるのだろうか
おまえの生 そしておまえのいそしむさまを見ている窓が
どれほどあるだろうか
翼を持つ未来のどれほどの種子が
嵐の意のままにはこばれながら
祝祭の甘美な日に
咲きひらく花々がおまえのものとなるのを見るだろうか
どれほどの数の生がまだなお応えあっていることか
そしておまえの生がこの世にありながら
舞いあがるその飛翔によって
どれほど大きな虚無に消えない傷がつけられることか