ライナー・マリア・リルケ オルフォイスへのソネット1-19


『オルフォイスへのソネット』(Die Sonette an Orpheus)は1922年に書かれた55篇の連作詩です。ギリシャ神話の吟遊詩人のオルペウスがモチーフです。早逝した踊り子ヴェーラ・アウカマ・クノープの墓碑として書かれました。

XIX
Wandelt sich rasch auch die Welt
wie Wolkengestalten,
alles Vollendete fällt
heim zum Uralten.

Über dem Wandel und Gang,
weiter und freier,
währt noch dein Vor-Gesang,
Gott mit der Leier.

Nicht sind die Leiden erkannt,
nicht ist die Liebe gelernt,
und was im Tod uns entfernt,

ist nicht entschleiert.
Einzig das Lied überm Land
heiligt und feiert.

19
世界は雲の姿のように
素早く変わるが、
全きものは皆
太古のものだ。

変化と推移を越え、
いっそう遥か自由に、
なおお前のかつての歌は生き続ける、
竪琴を携えた神よ。

苦しみは知られていない、
愛は学ばれていない、
そして死において私達を遠ざけるものは

露わにされていない。
地に広がる歌のみが
崇め、讃える。

詩作は一段落、といった所です。どれも満足しています。
父の死からしばらくして考えが変わりました。
これからのnoteはリルケその他の紹介が多くなります。
受験生の時に英文標準問題精講という英語の読解参考書をやったのですが、その中のバートランド・ラッセルの文章からかなり影響を受けました。人生は川のようなものだ。初めは激しく個性的だが、次第に緩やかになり、最後は広大な海と一つになる、という感じです。
初めは個性的で私的な詩人として創作し、後に全的で公的な文献研究という営みに没頭しよう、そのように考えが変わりました。
翻訳文体にはそれほど気を使っていません。また特にアカデミックでもありません。皆さんにリルケをご紹介させて頂けるだけで満足です。
自分の最高傑作、まどかと天人を毎日暗唱していましたが、飽きてきました。川の人生から海のそれへと移行しつつあります。とても良いことです。

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