【本レビュー】『切手デザイナーの仕事』を読みました
なかなか興味深い本を読みました。
日本に8人しかしない「切手デザイナー」さんを取材して、仕事ぶりや人柄などをまとめた本を読みました。
切手の絵をデザインする人がいて、専門の職業があることまで考えたことがなかったので、自分の知っていることが広がりました。切手やデザインに関係ない人でも、「仕事」をする人であれば共感できる部分も多そうです。
知らなかったことだらけ
切手制作は「発行年の約2年前に、各省庁から切手の題材となる記念行事の推薦・提案を受けて社内検討」されるところから始まるようです。
その後、有識者や内部検討の末、切手制作が決定されて、実際に制作に取り掛かるようです。
外部の有識者のチェックが厳しいらしいです。
これは全然想像できなかったです。
美しさやかわいさの前に、正確性があって切手ができあがるようです。引用部分はうさぎの切手の制作過程が記載された部分です。読み進めると、星座や石垣まで外部の専門家のチェックが入っていて、正確性がだいぶ担保されているようです。
そして、外部のチェックを受けてもなお、デザイナーの個性が表現されているところがすごく好印象でした。
また、指摘箇所を直す流れも仕事スタイルが出ているようです。絵をどう仕上げるかの記載も多いですが、仕事の進め方や信念なども記載されていて、自分もまねできそうなテクニックもありました。
見えない仕事があるって気づけたこと
切手をデザインしている人がいるって、考えたことはありませんでした。
普段使う頻度は少ないけど、切手はなじみのあるものです。
生活に溶け込んでいるごく小さいものでも、誰かの仕事の結果であって、巡り巡って、自分の元にたどり着いています。
その「誰か」の仕事が本になっているってすごく素敵なことだと思いました。だって、普通は成果物以上のものは触れられないからです。
制約がある中で工夫して解決している姿、切手とは直接関係なさそうな知識を駆使して、正確にデザインする姿など、仕事に対する情熱を感じられた一冊でした。
知らないことを知るって、楽しいなと思えた読書体験でした。
最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。