「ちょっと、知ってる」が読書を楽しくする。
私は、マンガ、小説、ビジネス書、新書、技術書など、幅広く本を読みます。(読書レビューは過去の投稿をご覧ください。)
読書をしていると、「おっ!」って思う瞬間があります。好きな瞬間です。
たぶん、読書が好きな理由は、の一つになっているので、そのことをお話します。
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「おっ!」って思う瞬間は、「知らないと思っていることの中に、知っていること・ものを発見した瞬間」です。
例えば、『天地明察』(江戸時代初期に、日本独自の暦をつくった渋川春海を主人公とする歴史小説)を読んでいるとします。当時、高校生であった私は、「おっ!」と思う瞬間がありました。高校の日本史の授業で出てきた人物が小説の中で、登場した瞬間でした。
その人物は、徳川光圀・関孝和・保科正之・山崎闇斎などでした。その人物も日本史上の功績をあげ、高校の日本史の教科書に記述があります。
ポイントなのは、関孝和などが登場するとは知らなかった点です。主人公・渋川春海も、貞享暦をつくった人物として教科書に載っています。しかし、主人公として知っていましたし、最初のシーンで出てきても取り立てて大きな感動はありませんでした。
しかし、ライバル的存在として、関孝和が出てきたときは、「おっ!」って感じました。そう感じた理由は2つあると思います。
①関孝和が登場することを知らなかったこと
②教科書で事前に知っていた人であったこと
「おっ!」と感情が動いた瞬間には、「知っている知識と結びついた」ことが感動を大きくしました。だから、名前を聞いたことがあるくらいのレベルでも、「ちょっと、知っている」ことに出合うと、「おっ!」ってなるし、この現象が読書を楽しくしています。
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そして、読書を進めると、「ちょっと、知っている」の周りを知りたくなります。
「関孝和って、どんなキャラクターとして描かれるんだろう?」
「実際の関孝和って、なにがすごいんだろう?」
どんどん、ページをめくっていきますね。
また、読書後には、別の感動があります。「『天地明察』がおもしろかった!」結果として、①「結末まで読んで、主人公が暦をつくる物語を楽しめた」②「授業の知識と小説の内容が一部リンクして、驚きがあった」となります。そして何より、③「ちょっと、知ってる」の範囲がさらに広がりました。
このように、読書をすると、「ちょっと、知っている」の範囲が広がり、その範囲を足掛かりとして、さらに新しい感動を生む構造になっています。「知っている→つながった!→さらに、知りたい→(別の本で)知っている→つながった!……」とループしてるのです。
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ただ、このループは、自分の中だけで完結しています。
誰とも感動をシェアしておらず、本と遭遇しただけで終わっています。これはもったいないと思うんです!!
誰かが紹介していたから、知った本ってあります。事実、私はSNSやnoteで誰かのおすすめ小説を発見して、読んだこともあります。自分の中だけで完結するループをやめて、ちょっとでも外に感動を伝えられたら、伝わることもあると思います。「読書感想文」というタグをつけて、noteに本のレビューを投稿する理由にもなっています。
以前から、投稿はしていましたが、最近、noteに投稿する理由を明確にすることができました。感動のシェアってとっても、いいなって。
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「ちょっと、知っている」が読書を楽しくするというテーマで綴ってみたのですが、せっかくなので、本を紹介させてください!!!
ちょっと、知っていそうで、全然知らない話の本です。
きっと、楽しめると思います。
①『岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。』
「任天堂・ニンテンドーDS・wii」という言葉を知っている・遊んだことがあるという人は読みましょう。
ニンテンドーDSやwiiを開発していたときの任天堂の社長のことばをまとめた本です。開発の裏側、ゲーム開発にかける情熱、技術書としても歩みなど、知っているゲーム機の裏側を知って心が動くと思います。
②『PIXAR <ピクサー> 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金』
「PIXAR・トイストーリー・新規株式公開」など一つでも知っている言葉があったら読みましょう。
財政責任者として、PIXARを支えた人物の話です。赤字企業だったスタジオが、ヒット作を連発し、世界一のアニメーション企業になった足跡を垣間見れる作品です。経営側と製作者の溝・資金確保など映画作品を生み出す企業としてみると、知らないことが多く、苦労の上の作品であることがわかります。
以上です!「ちょっと、知っていること」と結びつきそうで、少し難しいかもしれない本ですが、とても良書です。
最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。