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誰かに勧めたいな。小説『強運の持ち主』を読みました。
小説「そして、バトンは渡された」の作者さんの作品です。
良い本に出合ったら、その作者の別の作品を読むことがあります。他にどんな作品を書いているのかなって、思ってしまうからです。
最近は少し忙しかったので、読みやすそうな短編集を選んでみました。占いの話はキャラクターの個性がでて面白いですね。感想を綴ります。
あらすじ
元OLが営業の仕事で鍛えた話術を活かし、ルイーズ吉田という名前の占い師に転身。ショッピングセンターの片隅で、悩みを抱える人の背中を押す。父と母のどちらを選ぶべき?という小学生男子や、占いが何度外れても訪れる女子高生、物事のおしまいが見えるという青年…。じんわり優しく温かい著者の世界が詰まった一冊。
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占い師はカウンセラー?
占い師を生業にする主人公が登場します。
もちろん、占いの道具で占うこともあります。が、お話を読むと占い師のイメージが変わってきました。神秘的なイメージを大事にして、商売するようなビジネス感が出てきたり、身につけているアイテムや予想をもとに占い結果を伝えたり…。
意味のあるカードの束から選んで、出たカードの意味をただ伝えるだけではなかったのです。ある意味、演出が聞いていて、相手が納得するように話していて、カウンセラーのような職業でした。
ちょっと背中を押してあげることに、意味を見出していて、
余韻がちゃんとありました。
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占いを夫に相談
主人公にはゆるい夫がいます。
あれやこれや悩む主人公とは対照的に悩まないタイプの夫です。この夫との会話が癒されます。たまには、事件が起こらない平穏な小説を読むのもよいですね。メンタル関係なく、読めます。
夫はこだわらず、おおらかです。主人公はズボラながら、いろんなことを気にかけます。この2人の会話に、悩みの本質が見え隠れしています。
他の人からみると、個人の悩みは取るに足らないもの ということです。主人公が気にしていることでも、夫はあまり関心をよせません。
この対比は、主人公ー相談者だと別の様相をみせます。
深刻に悩んでいる相談者と受け止めつつ簡単に解決策をいってしまう主人公の対比です。だからこそ、主人公の「配慮」で捉え方が変わっていく様子を面白く読むことができました。
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悪い人が出てこない小説で、こんなに満足感のある作品も稀です
短編で読みやすいこともあるので、誰かに勧めたくなる作品でした。
最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。