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雄大なアララト山を臨み
早朝に宿を出発したのはお目当てのものを見るため。
アルメニアに来てもう5日も経っていました。
エレバンは首都でありアルメニア最大の都市ながら、規模はとても小さく、観光地も限られているため、徐々に見るものもなくなってきていました。
宿にこもって作業を進めても良かったけれど、どうしても見たいものがあったことを思い出します。
いつものように7時前に目が覚め、窓の外を見ると雲ひとつない快晴。今日こそ行くぞと決め、まだみんなが寝静まっているゲストハウスを抜け出し、地下鉄に乗って市の中心部に向かいました。
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朝のエレバン中心部はとても静かでした。車はほとんど走ってなく、道行く人もまばらでした。今日は日曜日だったので、いつも以上に静かだったのでしょう。
鳥のさえずりや木の葉が揺れる音を聞きながら、木漏れ日が降り注ぐ緑のカーテンを通り抜け、お目当ての場所に向かって足を早めます。
目的地の名は「カスカーダ」。エレバン市内でも特に有名な観光スポットで、山の斜面に作られた展望台には、少し奇妙な建造物があちこちにあります。
頂上からは市内が一望でき、周囲には飲食店やカフェが多くあるため、エレバンを訪れた観光客が必ず訪れる場所として知られます。
山の斜面ではあるものの、内部にエスカレーターがあるため、階段を登る必要はありません。アルメニアの財閥の寄付によって運営されているようで、中にはモダンな造形物が展示されていました。
上まで登り、外に出るも頂上へはまだ階段があったので、最後は自分の力でいちばん上まで登りきりました。
朝日に照らされて少し体が汗ばんできたけれど、心地よい風が体を駆け抜け、ちょうど良い気持ちよさがありました。
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そして振り返ります。
目の前に雄大なアララト山が見えました。
うっすらモヤがかかっていたけれど、確かにそこに山はそびえ立っていました。
目下の市街地の遥か先に鎮座する明峰は、アルメニア人の誇りと名高い山です。旧約聖書のノアの方舟伝説で、大洪水が起きた後、方舟がたどり着いた場所として知られています。
世界で初めてキリスト教を国教化した国である敬虔なキリスト教徒の多いアルメニアの人達はここから見えるアララト山に思いを馳せています。
現に、カスカーダの斜面から明峰へ祈りを捧げている人も見られました。
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排気ガスなどによって空が霞み、夏の日中は市内からアララト山を見ることは出来ません。
だから、見るためには朝のまだ空気が澄んだ時間に行く必要があります。
この雄大な山を見て、心が落ち着くような神聖な気持ちになったし、内から湧き出るように元気になれました。
現在はトルコ領となっているアララト山ですが、エレバン市内にはこの山をモチーフとした企業名やアート、お土産などがたくさんありました。
アルメニアという国を語る上で、アララト山という存在は絶対に欠かせない、深く根付いた要素となっています。
こうして国民に寄り添ったひとつの体験が出来るのも、旅の醍醐味だと思ったし、アルメニアという日本から遠く離れた国でこのような気持ちになれたことを嬉しく思います。
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サムネイルの撮影場所はカスカーダ頂上