【難航する需給調整😵】政策転換をめぐる闘いに直面している日米欧の中央銀行🏦:日経新聞解説🌟 2023/08/21
日本経済新聞の記事で
注目したい内容がありましたので
記事にしたいと思います💖
長いですが、目次をご活用いただきまして
どうぞ最後までご覧ください!
中央銀行さらなる難所 政策転換、後手に注意を 元日銀調査統計局長 関根敏隆氏(複眼)
記事に対するコメント📝
米国の物価上昇率は米連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%に近づき、多くの前進を遂げたように思います
しかしながら、頑固なまでに粘着的なインフレ圧力は残っています
目標達成までの「ラストワンマイル」は長く、険しいものになることに異論はないでしょう
米国の景気後退は、最終的に
回避できるかもしれません
しかし、今後半年以内に銀行の破綻や統合が
起きる可能性や信用収縮が想定以上に強まる
シナリオが発生するリスクは高まっているとのことです
多くのエコノミストは景気後退がより早く始まると予測し結果的に間違ってきたが量的引き締めの効果があまり出ていなかったためです
米国は、経済全体の需給の不均衡を解消する
プロセスとして、浅めの景気後退を経験すると考察されています
ここで懸念すべきは、過去の景気循環と同じように、失業率の上昇など経済が弱くなるとすぐに金融政策や財政政策で景気を支えることです
インフレが目標値を上回っている状況なのに、緩和方向に政策運営の舵を切ると、物価の安定を取り戻せなくなるリスクがあります
FRBがこの経済情勢をどこまで忍耐強く
見守るのかということが大切なように思います
また、欧州の状況は米国と異なることも
確認していくことにしましょう
域内総生産(GDP)の水準は(コロナ禍前の)2019年を少し上回る程度で、民需は下回ったままなようです😅
つまり、実体経済が弱いのにインフレ圧力が
あるというあまりよろしくない状況に直面しているように思います
ここで懸念されることは欧州の生産能力が
構造的に打撃を受けている可能性があるということです
すなわち、インフレ率を戻すための引締め的な金融政策は、実体経済の需要をさらに弱める必要があるということになります💦
加えて、難しいことに労働市場は過熱している状況にあるようです
労働が逼迫するなかGDPが伸び悩むのは従業員1人当たりの生産性の低下を示すでしょう
たしかに労働者側の交渉力は高まっているが
一時的で、まだ過剰ではないように思います
名目賃金が5%ほど上昇してもインフレ率を
下回ったままであるということは
実質賃金の低下を示しますので、家計の生活は逼迫してしまいます
今後、日米欧が「低インフレ・低金利」だが「ゼロインフレ・ゼロ金利」を回避する方向で足踏みをそろえる未来は待っているのでしょうか?
3極の眼前にはなお濃い霧が立ちこめ、確かな将来像を描く手掛かりに欠けている状況です😵
動学的総需要-総供給モデルによる解説
なぜ、インフレ抑制(=物価を安定させること)と国民所得(国内総生産)の増大を同時に達成できないのでしょうか?🤔
この問いを思い浮かべた方も当然いらっしゃると思います
金融政策当局も「物価の安定」と「国民所得の増大」を目標に活動しているわけですから、ここには何か問題点がありそうですよね📝
結論から述べると、インフレ抑制と国民所得(国内総生産)の増大にはトレードオフの関係があるのです
この関係を、動学的な総需要-総供給モデルとテイラールールを使って簡単に考えていきましょう
このモデルは、①動学的IS 曲線
②フィリップス曲線、 ③金融政策ルール
④フィッシャー方程式(事前の実質利子率の関係)、⑤適応的期待から構成されるものです
モデルの説明:記号の定義
登場する記号(モデルの内生変数、外生変数、パラメーター)は、以下の通りです👍
$$
Endogenous variables\\
GDP(GNI) = Y_t \\
Inflation rate = π_t \\
Expected Inflation rate = _t{π^e}_{t+1}・・・①\\
Real Interest rate = r_t \\
Nominal Interest rate = i_t
$$
Yt はt期(今期)の実質国内総生産(GDP)ないしは実質国内総所得(GNI)です
πtは今期のインフレ率,①は t 期に形成された t+1期の 期待インフレ率
r は実質利子率、iは名目利子率を表します
これら5つの変数がモデルの内生変数です
$$
Exogenous variables\\
National rate of GDP_t = \bar{Y_t}・・・①\\
Target of Inflation rate = {π_t}^*・・・②\\
Demand shock = ε_t \\
Supply shock = ν_t
$$
上から順に、補足いたしますと
①は、t期(今期)の GDP の自然水準
②は、中央銀行のインフレ目標値
ε は需要ショック,ν は供給ショックを表します
これら4つの変数はモデルの外生変数です
なお、需要ショックと供給ショックは
平均ゼロの確率変数と仮定します☺️
$$
Parameters : (α, ρ, Φ, θ_π, θ_Y) >0\\
notice [θ_π + θ_Y=1.0]
$$
α :総需要が実質利子率に反応する度合い
ρ :自然利子率
Φ :インフレ率が GDP に反応する度合い
θπ :中央銀行が名目利子率をインフレ率に反応させる度合い
θY :名目利子率を GDP に反応させる度合い
を表します
なお、これらのパラメーターはすべて正の値としましょう
補足すると、需要ショック (ε)は、総需要に影響を与える外生的な諸要因を表す確率変数です
例えば、将来の経済状態に関する
人びとの期待が改善すると、投資支出や
消費支出が増えて総需要は増加するので
ε は正の値をとるのです👍
モデルの構築:5つの関係式
マンキューの動学的な総需要 - 総供給モデルは、1次式で表現した IS 曲線、フィリップス曲線、金融政策ルール(テイラー・ルール)およびフィッシャー方程式、適応的期待の5つの関係式から構成されます
これらを順に解説していくことにしましょう
動学的財市場均衡曲線
$$
Dynamic IS equation \\
≡ Y_t = \bar{Y_t} - α(r_t -ρ)+ ε_t ・・・(1)
$$
(1)式は、財・サー ビスの総需要と総供給が均衡する状態を示す「IS 曲線」です
実質利子率と財・サービスの総需要
それゆえ GDPとの間には負の関係があることがわかりますね🙄
実質利子率が上昇すると、投資支出や消費支出が抑制されて総需要は減少する関係を示しています📝
またパラメーターより、総需要の実質利子率感応度 (α)が大きいほど、GDP は実質利子率の変化に対して大きく反応します
また、GDPの自然水準が高まると
その分だけ GDPは拡大することになるのです
フィリップス曲線
$$
Phillips curve ≡\\ π_t = _{t-1} {π_t}^e + Φ( Yt - Yt ) + ν_t ・・・(2)
$$
(2)式は、「フィリップス曲線」を表します
インフレ率は、前期に形成された
今期の期待インフレ率、GDP ギャップ
および外生的な供給ショックによって
決まるとされていますね👍
このように、過去のインフレ期待が現実のインフレ率に反映されるとする点は
フリードマン(M. Friedman)が自然失業率仮説を説明するために用いた「期待で調整されたフィリップス曲線」と同じ であり
(2)式は「新古典派型フィリップス曲線」と呼ばれるものに該当します
※詳細は各自学習いただけますと幸いです🙏
供給ショックについては、インフレ率に影響を与える外生的な諸要因を表す確率変数でしたね
例えば、国際的な石油価格の高騰や凶作による農産物価格の高騰が発生すると
多くの企業が生産コストの上昇に見舞われ
物価は上昇しますので、νは正の値となります(ネガティブなショック)
反対に、著しい技術進歩や国際的な石油価格の低下が起こると、多くの企業の生産コストは
下がるため、物価は下落します
よって、ν は負の値をとるのです
(ポジティブなショック)
金融政策運営の基礎:「テーラー・ルール」🌈
以下に記述することが
今回の投稿のキーポイントになります🔑
この政策運営の基礎を理解することで、なぜ政策金利の変動が経済に影響を与えるのか
ひいては「インフレの安定化」と「国民所得の増大」を同時に達成することが不可能である
理由が見えてくるかもしれませんね📝
$$
"Taylor Rule" for Monetary Policies\\
FF rate ≒ i_t = π_t + ρ+ \\θ_π(π_t - {π_t}^*)+θ_Y(Y_t -\bar{Y_t})・・・(3)
$$
(3)式は、名目利子率に関する金融政策ルールを表します
これは、中央銀行が 設定する名目利子率 の目標値は、インフレ率 、自然利子率(ρ)
インフレ率 の目標値からの乖離、および GDP ギャップ に基づいて決定されるとするものです
この関係式は、一般に「テーラー・ルール」と呼ばれています💖
金融政策ルールのパラメーター(θπ,θY) はともに正の値でありましたから
インフレ率が目標値を上回る場合 やGDPが
自然水準を上回る場合 には、中央銀行は
金融引き締めを図ろうとするため
名目利子率を引き上げるのです📝
$$
(π_t - {π_t}^*) >0 or (Y_t -\bar{Y_t})>0 \\
Monetary Tightening ⇒ Δi_t >0
$$
反対に、インフレ率が目標値を下回る場合や GDP が自然水準を下回る場合には
中央銀行は金融緩和をはかり、名目利子率を引き下げる政策を実施します
$$
(π_t - {π_t}^*) < 0 or (Y_t -\bar{Y_t}) < 0 \\
Monetary Easing ⇒ Δi_t <0
$$
また、パラメーターの値にも注目しましょう
中央銀行が名目利子率をインフレ率に反応させる度合い(θπ)の値が大きいほど
中央銀行はインフレ率の目標値からの乖離に大きく反応します
また、反対に名目利子率を GDP に反応させる度合い(θY)の値が大きいほどGDPの自然水準からの乖離に大きく反応するのです
要するに、このパラメーターθπとθYは
インフレに対してより敏感に対応するか
国民総所得(総生産)に対してより敏感に対応するかを表していることに他ならないのです
よって、中央銀行の政策運営者の意向によってこのパラメーターの値が決定されインフレを抑制するべきか
それとも国民総所得を増加させるのか、
という政策運営のトレードオフが発生します✨
テイラー・ルールの大切なポイント
テイラー・ルールを理解する上で
大切なポイントは、以下となります
金融政策ルールのパラメーター
(θπ)が1よりも大きな値を取る
ということです📝
$$
θ_π >1
$$
フィッシャー方程式
$$
r_t = i_t - _t{π_{t+1}}^e …(4)
$$
(4)式は、名目利子率と実質利子率の関係を表す「フィッシャー方程式」に該当します
フィッシャー方程式によると「名目利子率は実質利子率と期待インフ レ率の和」ですから
実質利子率は、名目利子率から期待インフレ率を差し引いた値として表されるのです
テイラー・ルールの大切なポイントより
1%のインフレ上昇は、それ以上の名目利子率の上昇を引き起こします
よって、インフレが実質利子率の上昇に繋がるという点を必ず抑えておいてください
だからこそ、2%インフレ目標などが設定される理由も整合性があるように思いますし、実質的な経済の実力を現す利子率が高まることで
経済成長に発展するというメカニズムが説明できるのです
適応的期待の関係式
$$
_t { π_{t+1}}^e = π_t …(5)
$$
(5)式は、人びとの抱くインフレ期待は「適応的期待」(adaptive expecta- tion)によって形成されることを示します
ここでは議論の単純化のために
「人びとは過去の観察値に基づいて
インフレ期待を形成する」と仮定しましょう
すなわち、人びとは、t + 1 期(次期)の物価は
t 期(今期)のインフレ率と同じ割合で上昇すると予想するので
t期に形成された t+1期の期待インフレ率
t 期のインフレ率に等しいのです
以上の仮定はどの期にも当てはまるから,(5)式の表記を1期分だけ後にずらせば
以下の関係も逐次的に成立します
$$
_{t_1} {π_t } ^e = π_{t-1} … (5)’
$$
つまり、t-1期(前期)に形成されたt期
(今期)の期待インフレ率は
t-1期のインフレ率に等しくなるのです👏🏻
以上の(1)〜(5)の関係式より
動学的総需要-総供給モデル
(Dynamic AD-AS model)の均衡点が導出されるのですが、、
これ以上の解説は控えようと思います🙏🏻
総論:グローバル経済動向と政策金利
現在のアメリカ経済は
新型コロナウイルスによるネガティブな
需要ショックからの景気回復段階
並びに、ロシア-ウクライナ間の紛争や
米中貿易摩擦などの問題によって
ネガティブな供給ショックに直面していることが想定されます🤔
よって、財価格が上がり、物価高騰による
記録的なインフレーションを経験しています
この経済現象に対して
Taylor Rule に基づく金融政策ルールによれば
現在のインフレ率が、政策運営当局のインフレ目標値を上回っていますから
金融引き締め政策の一環として
「名目利子率≒政策金利(FF金利)を引き上げることになるのです😊
本日の解説は、以上とします📝
なぜ、インフレーションが起こると、政策金利が上がるのか
なぜ、金利の動向が注目されるのか
というメカニズムを基礎的な理論からご理解いただけたのではないでしょうか?
ぜひ、これらの知見をベースとして
実際の世の中の経済動向に当てはめて考えていくという応用を効かせて
経済の仕組みを基礎的モデルから
ご理解されることを推奨いたします💗
一緒に毎日インプットする習慣を身につけて、アウトプットの機会をたくさん創出できるように取り組んでいきましょう
マガジンのご紹介🔔
こちらに24卒としての私の就職活動体験記をまとめたマガジンをご紹介させていただきます👍
様々な観点から就職活動について考察していますので、ご一読いただけますと幸いです
改めて、就職活動は
本当に「ご縁」だと感じました🍀
だからこそ、ご縁を大切に
そして、選んだ道を正解にできるよう
これからも努力していきたいなと思います🔥
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます📚
こちらのマガジンにて
エッセンシャル経済学理論集、ならびに
【国際経済学🌏】の基礎理論をまとめています
今後、さらにコンテンツを拡充できるように努めて参ります
最後までご愛読いただき誠に有難うございます!
あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏
この投稿をみてくださった方が
ほんの小さな事でも学びがあった!
考え方の引き出しが増えた!
読書から学べることが多い!
などなど、プラスの収穫があったのであれば
大変嬉しく思いますし、投稿作成の冥利に尽きます!!
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