「時代」が生む「縁」
例年は受験対策の節目となる1月31日の夜に記事を投稿しておりますが、今年はかなり個人的なことにも触れる内容となるため、少し早めの投稿をしておこうと思います。
受験に対する心構えに関しては、昨年までに投稿した以下の記事をご参考にしていただけますと幸いです。
ここからが本題。
この一年は仕事の上で新たな動きを増やし、新たな出会いを増やそうと心に決めていた。
昨年3月に投稿した以下の記事でもその決意を綴っている。
次の動きの準備が整った7月、まさに動き出そうとしたタイミングで父が急逝した。
悲しむ間もなく、長男である私にはいろいろとやるべきことが生じてきた。
無理をすれば新たな仕事の動きをスタートすることもできたとは思うが、教育という仕事は「継続」が何よりも重要であるという私なりのポリシーがあるので、無理をせず新たな動きは先送りすることとなった。
またこの一年は父だけでなく、私の人生の中で大きな存在である人が数多くこの世を去った。
自分がちゃんと生きていられることが不思議に思えたり、生きていること自体が有難いことだとあらためて実感することも多かった。
この一年は人生の中でも一際悲しいことの多い一年であったことは間違いない。しかしそれでも冷静に振り返れば、仕事上では例年通りかけがえのない出会いがあった一年でもあった。
そしてその出会いは、「時代」が作ってくれたものである。
古くから中学受験という制度があり、近年それが過熱する文化が生まれ、さらにはオンライン指導を可能とするテクノロジーが発達し、コロナ禍においてそのような指導が重宝されるようになった。
家庭教師時代も含めて、様々な人との出会いは、まさに「時代」が生んでくれた縁である。
「この仕事をやっていて本当に良かった」と思うことは常々とまでは言わないが、他の仕事をしていた場合の人生よりは圧倒的に多いはずだと断言できる。
11年前には心身の疲弊がピークに達していた中、なんとかその年の受験対策の最後の授業を終え、倒れ込むように帰宅した瞬間、「(中学受験の指導は)もうやらない……もうやらない……」と、ひとりつぶやいた夜もあった。
それでもそんな夜があったことが嘘のように、今日もまた何かの縁で巡り合った中学受験生を指導している。
生徒を成長させるのはもちろん、頑張っている姿を見守り、辛いときには後ろから支え、迷っているときには選択肢を与えながら背中を押し、何かに押しつぶされそうであればその重荷を軽くする。
そしてそれぞれにとってのより良いペースで歩み続けられるように導いていく。
私が思う受験の指導者とはそういう仕事。しかし一般的にはそうは思われていない仕事でもある。
私がどんな想いでこの仕事を続けてきたのか、フィールドは違えど同じく教育の指導者であった亡き父にも、私のそのような想いが伝わっていたらと願うばかりだ。
伝わっていようがいまいが、私の生き様を見守っていてくれればとも思う。
この一年に限らず、受験を経験した方々も受験を通して様々な出会いがあったはずです。
特にお子さんにとってその出会いは様々な学びや成長につながったことでしょうし、親御さんにとってもそれはかけがえのない「縁」であると言えます。
後で振り返ったときに、その「縁」も含めて受験というものがそれぞれの人生の中で大きな宝物となるよう願っております。
少なくとも長年受験に携わってきた私には、それぞれの生徒やご家庭との思い出、まさに宝物と言って差し支えないようなものが数多くあり、それが私の人生をより豊かなものにしてくれています。
私自身、この一年はいろいろなものを失いました。そんな哀しみの中でもまたいろいろなものを得られました。
失ったものと得たものを天秤にかけることはできません。失ったものを得たもので埋め合わせることもできません。
しかし失ったものの良き思い出は、心に刻まれてこれからも残り続けます。
その上で新たな良き出会いがあるわけです。
そう考えると、人生は良いことが積み重なっていくようにも思えてきます。
「人生は続く」
受験生もそう、親御さんもそう。良いことも悪いことも、いったん全てを受け止めてそれぞれの道を歩んでいきましょう。
その道の先で、その「時代」が作ってくれた「縁」が、それぞれの人生を豊かにしてくれるはずです。
私自身もここからまた出会いの多くなる季節を迎えます。
お互いの人生がより豊かになるような、良い縁に恵まれることを期待しております。
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