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#ポエム
(詩)おやすみのかたまり
寝息のかなでる子守唄の
やさしい矛盾をひきうけて
夜は虹色のうすい膜をひろげ
ふくれあがり息をする
ほら眠る子の頬をなでて
ほら泣く人の涙をぬぐい
木立の象のように街をゆくよ
おやすみのかたまりは
瞳をとじた孤独な鼓動も
無風無音のためいきも
もつれた脳波のハミングも
ぜんぶぜんぶかきまぜて
きまぐれな真夜中の対流
ささくれをなでつけて
しまわれた街はゆるまってゆく
おやすみのかたまりに
ビル
(詩)おちこみ しみこみ
わすれかけた言葉が
おちこみ
しみこみ
いつかひょっこり
顔を出し
ひねくれた希望が
おちこみ
しみこみ
ぐるりとまわって
まっすぐに
かんがえなしの蛮勇も
おちこみ
しみこみ
散らした花びらは
点描点睛
真夜中のざわざわと
おちこみ
しみこみ
夢のほとりで
ほとぼって
無駄につんだ日々に
おちこみ
しみこみ
あの熱たちは
くすぶって
忸怩のかたまりめ
おちこみ
しみこみ
心のうちに
は
(詩)奇跡のなかのきみ
わたしを呼んだ奇跡のなかに
思いがけずきみがいて
Y字路でわかれてそれぞれ
泣き顔困り顔で
道を急いだはずなのに
ひとつところで落合うなんて
互いにそれが幸いだと
なかなか思えなかった
あの日々が
なつかしくて
きみのいないここまでも
考えられないけど
そりの合わない日がないのも
考えられなかった
でも歯車が噛み合うように
きみが出るとわたしは引っ込み
わたしが突っ張ればきみは引く
プラマイゼロ