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業績評価の重要性と、従業員の積極的な参加のための7つの秘訣

突然ですが、皆様の企業での人事効果は、従業員の皆様からどのような反応を受けていますか?

残念なことに多くの企業において、年1回の人事考課は評判が悪いことが多いものです。
多くの従業員は不安が募って偏った見方をし、管理職は不要な書類の山に埋もれて時間を浪費していると感じています。

しかしこうした思い込みは、年次評価のプランが不適切で、効果的な運用がなされていなかったり、個人・チーム・組織の各レベルで評価がもたらす多くの利点を見落としていたりするだけに過ぎません。
そして、従業員が従来の人事考課を面倒だと思うようになると、参加率が下がり、有意義で建設的なフィードバックに支障をきたす可能性があります。

そこで本記事では、業績評価の汚名を返上し、従業員の支持を得る方法を知るため、業績評価について徹底的に解説します!

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そもそも業績評価とは?

人事チームは、業績評価と継続的なフィードバックという2つの貴重なツールを活用し、人材育成の方法を改善する必要があります。

そんな中、業績評価は業績管理の最も一般的なアプローチであり、ほとんどの従業員は、ほぼすべての職務において自分たちの業績が評価されることを知っています。

また業績評価は、設定された目標に対する従業員の進捗を評価し、報酬や昇進を決定するためのベンチマークとして機能します。
評価の頻度は組織によって異なり、目標の更新サイクル・社内の流動性・従業員数・その他のビジネス特性など、多くの要因に左右されます。

ここからは、そんな業績評価の利点・欠点や従業員の積極的な参加を促すための7つの秘訣を解説します。

業績評価の3つの利点

まずは業績評価の利点についてです。

利点①|構造

業績評価においては、従業員のパフォーマンスを正確に評価するために、具体的なベンチマークが重要な要素になります。

データを使って、従業員が職務能力と目標をどれだけ効果的に達成しているか、または達成していないかを判断することで、業績評価は評価プロセスに必要な構造を提供してくれます。

このような客観的なアプローチを取ることは、業績トップの従業員とサポートが必要な者とを識別するためにも有効です。
また、報酬や昇進など、従業員に影響を与える決定の根拠となる重要な要因を文書化することで、間接的に企業に貢献します。

利点②|プランニング

定期的な業績評価は、昇進やキャリアアップを目指す従業員にとって、進歩の指標となります。
特に、年次業績評価だけが業績管理プロセスとして行われている企業では、その傾向が顕著です。

従業員は、自分の努力が報われ、プロフェッショナルとして正しい方向に進んでいるかどうかを知りたいと思っています。
人事考課は、上司と直属の部下が、これまでの成果と今後の期待(キャリアアップの機会も含む)を共有する機会でもあるのです。

利点③|偏見への抵抗

業績評価は、偏見に対抗し、職場の多様性・公平性・包括性(DE&I)を推進するための貴重なツールです。

標準化された評価基準がない場合、管理職は従業員を評価する際に「直感」に頼ることが多く、これは報酬や昇進に関する重要な判断に悪影響を及ぼす可能性があります。
実際、正式な人事考課のプロセスがない組織では、女性や有色人種に対する偏見が強まる可能性が高いという調査結果も出ています。

業績評価においては、業績管理プロセスが公平で公正であることを保証することで、このような事態を防ぐことができます。

業績評価の3つの欠点

業績評価は、ほぼすべての企業にとって必要なツールであるにもかかわらず、ストレスがたまる、時間がかかるといった不満も聞かれるのではないでしょうか。

78%の従業員が、所属する組織の業績評価プロセスに不満があると回答しています。
ここでは、業績評価を必ずしも単独で、あるいは年に一度だけ行うべきでない理由をいくつか紹介します。

欠点①|一か八かの側面

業績評価には大きな意味があるため、多くの従業員にとって不安の種となっています。

業績評価は、給与・雇用の安定・人間関係・職場に対する信頼など、従業員が働く上で重要となる多くの面に直結しています。
360度評価では、従業員は同僚からフィードバックを受けることができますが、業績評価は上司1人だけで行われることがほとんどです。

このため、管理職と従業員の双方が、憤りや不快感ではなく、進歩につながる健全で前向きなやりとりにしなければならないという、大きなプレッシャーを感じています。

欠点②|不正確な内容

管理職と従業員が1年分の仕事を振り返るとき、避けられない問題があります。
毎年行われる人事考課の際に記憶を頼りにしていると、業績の全体像を見るための重要な細部を見逃すことになりかねないという点です。

データ駆動型の目標は、従業員の特定の側面の進歩を追跡するのに適しています。
しかし管理職は、リーダーシップやコミュニケーションなど、組織に付加価値を与える定量化できない資質も考慮する必要があります。

また、直近の出来事が印象に残ってしまい、評価期間全体の評価が正しくなされない傾向があるため、75%の従業員が年次考課を不公平と考えています。
定期的に評価を行うことで、このような過去の出来事に対するバイアスを排除することができます。

欠点③|アジリティの欠如

会社・チーム・従業員の目標により、組織全体で行われる業績評価の方向性が決定されます。
しかし、目標は流動的であり、多くの企業、特に急成長している企業では、状況の変化やビジネスニーズによって、常に目標の更新が繰り返されています。

そのため、業績管理により俊敏なアプローチを導入する必要があるかどうかを検討する必要があります。

従業員の業績評価への積極的な参加のための7つの秘訣

ここまで、業績評価の概要や利点・欠点など基礎的な部分を解説してきました。
ここからは、管理職と従業員の両方が業績評価プロセスに参加し完了させるための、7つのヒントを紹介します。

秘訣①|なぜ評価が重要なのかを従業員に伝える

なぜ人事考課が重要なのかを理解していない従業員が、人事考課に参加することは期待できません。
人事部主導で評価を義務化するのではなく、CEOをはじめとする最高責任者レベルの経営幹部の協力を得て、全社会議や小規模の部門会議で、従業員評価の重要性を説いてもらうとよいでしょう。

指導者の立場からは、この評価と業務に関する話し合いにおいては、年間を通じて上司との継続的なフィードバックミーティングで言及されていないようなサプライズを含んではならないことを従業員に思い出させる必要があります。
むしろ人事考課は、従業員の過去1年間の仕事ぶりを評価し、キャリアパスや成長の機会について話し合う機会でもあるのです。

そうすることで、一般的に人事考課が引き起こす不安を和らげることができます。
また、人事考課は従業員にとって有益であり、組織内でのキャリアアップに役立つようにプランニングされていることを、従業員に思い起こさせることも可能です。

秘訣②|評価のスケジュールを設定し、期限を明確に伝える

従業員が評価プロセスに真剣に取り組むためには、参加への推奨と明確な期限がある業務評価のタイムラインを作成し、従業員がいつまでに何を期待されているかを正確に把握できるようにする必要があります。

モバイルコマースプラットフォームButtonの元人事担当副社長Stephanie Mardell氏は、6週間の業績評価スケジュールを作成し、自己評価・同僚評価・上方評価・上司評価・評価対話それぞれの時間帯を指定するようにしました。

このMardell氏の方式に基づき、参加率を高めるために組織で実施できる年次業績評価のスケジュールの例を以下に示します。

1週目:従業員にタイムラインを説明し、参加への推奨と業務の評価方法を共有する。また、新入社員で評価できない場合や、契約社員やパートタイマーが参加できない場合など、参加資格の条件も伝える。最後に、従業員に自己評価をしてもらう。

2週目: パフォーマンス・マネジメント・システムの使用方法について、チームにトレーニングを行う。360度評価を実施する場合は、従業員と管理職に同僚評価担当者のリストを確認させ、その中から選ばれた人たちに同僚評価を実施してもらう。

第3~4週: 管理職に対して、評価の完了、昇進推薦(該当する場合)の提出、および直属の部下との業績評価に関する面談の日程を指示する。

5~6週目: 管理職に直属の部下との面談を実施させ、フィードバックと従業員評価を共有する。

このように、定期的に参加率のアップデートを行うことで、従業員のモチベーションを高め、結果を出すことを促すことができるのです。

秘訣③|プロセスに関する従業員への教育

従業員は評価プロセスに参加する前に、必要な情報をどこにどのように記入すればよいかを知っておく必要があります。

パフォーマンスマネジメントシステムを使用している場合は、同僚評価と自己評価をどこに記入するか、また時期が来たら総合評価とフィードバックをどこで見ることができるかを従業員に示す必要があります。

従業員が必要なツールの使い方を知らなければ、それがパフォーマンスマネジメントシステムであれ、Excelのスプレッドシートであれ、結果として従業員の参加率は低下してしまうでしょう。

また、従業員が自分でプロセスを進めることができるように、オンラインのリソースやドキュメントを提供することも重要です。

秘訣④|業績評価の適切な書き方について例を示す

人事考課は、これまで書いたことのない人にとっては敷居の高いものです。

そこで、品質保証の自動化ソフトウェア会社Rainforest QAの元人事部長であるLauren Yeeは、よくある質問と自己評価、同僚評価、上司評価を含む360度評価の書き方のコツを文書にして従業員に提供することで、プロセスを容易にしようと試みました。

Yee氏のお気に入りのポイントをいくつか紹介します。
本題に早く入ること、シンプルに書くこと、そしてサプライズをしないことです。
Rainforest QAの業績評価の最良の事例の中でも特にお勧めのものをご紹介します。

・具体的に:
曖昧な評価では、従業員は実用的なフィードバックは得られません。逆に、業績評価のコメントをより効果的にするには、従業員が貢献したプロジェクト・指標・成果などの具体例を強調します。こうすることで、評価の客観性が保たれ、従業員は貢献度が認められ、評価されていることがわかり、フィードバックの文脈を理解しやすくなります。

・メモを参照する:
管理職にとって1年は長い時間であり、過去12カ月間の従業員の貢献度や、従業員と共有したすべてのフィードバックを完璧に思い出せるとは限りません。過去に行った一対一の面談や、1年を通して直属の部下と共有したフィードバックや賞賛を再確認し、彼らの業績の全体像を把握しましょう。こうすることで、時系列バイアスを避け、評価の段階で従業員の業績の重要な部分を省いてしまうことがないようにします。

・将来を見据える:
フィードバックの大部分は、従業員が今後数カ月でどのように向上できるかに焦点を当てましょう。以下は、管理職が従業員評価と業績に関する対話を正しい方向に導くために考慮すべき質問です。・この部下が今やっていることで、将来も続けていくべきことは何か?・この部下が今やっていることで、将来も続けるべきではないことは何か?・この部下が今やっていないことで、始めた方がいいことは何か?

これらの質問は、管理職が直属の部下に具体的で詳細なフィードバックを提供し、彼らがプロとして成長し、より良いチームメンバーになる後押しをすることができます。

またこうした質問は、同僚評価を書く際にも指標として役に立ちます。

秘訣⑤|管理職一人当たりの従業員の比率を低くする

人事考課は主に管理職が行うものですから、このプロセスが彼らにどれだけの負担を強いているかに留意する必要があります。
1〜4人の従業員であれば、同僚評価を収集し、自己評価に目を通し、自分自身の業績評価を書くことは、それほど大きな負担にはなりません。

しかし、チームの規模が大きい場合、10人・15人、あるいはそれ以上の従業員に対して同じプロセスを指揮することを管理職に求めるのは現実的ではありません。
これは、管理職の日常的な責任に影響を与える可能性さえあります。

管理職の一人一人に対する評価が手薄になると、フィードバックや評価の質に悪影響を及ぼし、直属の部下の個人的・職業的成長に十分に投資することができなくなることはいうまでもありません。

管理職一人当たりの従業員の比率を低く保つことで、評価に関連する管理業務を軽減することになります。
この結果、すべての従業員が、評価のプロセスと従業員の専門的能力の開発に時間と労力を割くことができる上司から、心のこもった個別評価を受けることができるようになるのです。

秘訣⑥|様々なリマインダーを使い、ゴールへの後押しをする

単に人事考課を行うだけでなく、従業員もフルタイムで仕事をしているため、人事考課の集大成である面談がどんどん後回しになってしまう危険性があることを忘れないでください。

このような面談を最優先させるためには、フォローアップの方法を工夫し、忙しい人たちを煩わせずに評価を終わらせるよう促す繊細な技術が必要になります。

また、Slackやメールだけでなく、ミーティングで従業員にリマインドすることで、いつ評価を完了させる必要があるのかを全員が把握できるようにすることもできます。
また、多くの人材管理システムには、アプリ内やメールでのリマインダーを自動化する機能があり、チームメンバーが分担の期限を知ることができるようになっています。

秘訣⑦|対話を続ける

業務評価が完了したからと言って、まだ高い参加率に満足することはできません。
従業員と会社がこのプロセスを最大限に活用するためには、評価への意欲を維持し、管理職が定期的に直属の部下に仕事上の成長・目標・キャリア願望について確認するよう奨励する必要があります。

人事考課は従業員の業績について確認するための良い機会ですが、管理職はチームメンバーと継続的にコーチングに関する対話をする必要があります。

まとめ

業績評価への高い参加率は、目指すべき価値ある目標ではありますが、収集されたフィードバックの質や、従業員と管理職が行っている業績に関する対話の質を示す指標ではありません。

85%の従業員が、真に有意義でインパクトのある上司とのキャリア開発に関する面談に参加した場合も、(単にチェックボックスにチェックを入れただけの評価への参加率が100%の場合と比べて)やはり大成功と言えるでしょう。

ですから、高い参加率を目指すことは有用な指標ですが、同時に、建設的なフィードバックの与え方、チームのコーチング、従業員の将来への投資の仕方について、管理職のトレーニングに力を入れるようにしてください。
そうすれば、100%の参加率を達成するよりもずっと良い結果が得られるはずです。

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