中国行ったらぜひ食べたい現地のガチ中華ラーメンVol.3(東南地方編)
中国の地域や食材に触れながら中華ガチラーメンを紹介する3回目は河南省、河北省、江西省のラーメンを紹介します。
河南省の河南烩面
中国の東北地域に近づいてくと小麦粉、羊肉を使って料理が増えてきますが今回紹介する河南省のラーメン、河南烩麺はまさにこの両者を合わせた絶品ラーメンです。
河南省は北と南が混ざり合う中国の中間地域で、いにしえの王都洛陽があり、少林寺拳法で有名な少林寺も未だに健在です。
ちなみに、河南烩麺の「烩」という漢字は火が出会うと書きますが、色んな食材が混ざり合う料理を意味します。
河南烩麺は手製の極平麺
小麦粉に塩を加え、こねる。こねた油を塗り、さらにこねる。
こねる伸ばす作業を繰り返した後、ナンのように伸ばして保存しておく。
実際ラーメンを作る際、職人が手で伸ばし、幅広の平たい麺を鍋に入れて茹でる。
きしめんより噛み応えがあって、食べ応え抜群です。
河南烩麺の主役は羊肉
食材の主役はなんといっても羊肉です。スライス状、サイコロ状、肉厚のものあって、お店によって様々。
おすすめは肉厚のもの。噛むと羊の旨みが口の中で広がり、肉のジューシーさが味わえます。
当日仕入れた新鮮な羊肉を使っているお店が多いので、羊独特な臭みがほとんどありません。
羊肉の他に、春雨、海藻、豆腐麺、木耳、青梗菜、アクセントにクコの実を入れます。
麺なのに春雨?さらに豆腐麺?と思うかもしれませんが、よく煮込んだ羊肉のスープと食べるとめちゃくちゃ合うんです。
河南烩麺のスープは羊肉を長時間煮込んだもの
スープは羊のもも肉を軽く炒めて、水洗いした後に朝鮮人参、長ネギ、白芷(びゃくし)と一緒に5〜10時間、乳白色になるまでじっくり煮込みます。お店によってはさらに八角、花椒、フェンネル、草果、ナツメグなど薬膳寄りのスープを出すお店もあります。
北方は元々お肉をよく食べる文化のため、肉の臭みを中和するスパイスを要領よく使うことを心得ています。
羊の旨みと薬味が絶妙にマッチしたコクのあるスープです。
食べれるエリア
河南省内であればどこでも食べれますが、おすすめは洛陽や方城で、洛陽は観光客が多いのでクセがなく食べやすい。
南陽市方城は河南省でも烩麺がおいしいと有名で、政府から表彰された実績があります。
河北省の武漢熱干面
河南省の次はお隣の河北省のラーメンの紹介です。
その名も武漢熱干麺。
武漢という都市はコロナの影響で世界的に有名になりましたが、旨辛料理や熱干麺でも有名です。
熱干麺なんだか火傷しそうなほど熱い名前ですが、温度は食べやすい適度に温かいつゆなし麺です。
蔡林記という店のオーナーがおいしいラーメンを作りたい一心で、スープなしの麺に胡麻だれを入れたみたところ、おいしいと評判になり、人々が買い求めたことが熱干麺のはじまり。
热=熱々、干=スープなしで、混ぜそばのはじまりでもあります。
武漢熱干麺の麺は手間ひまかけておいしくする
麺は鹹水麺を使用しますが、スープがない熱干麺は麺の程よい食べ応えが重要です。
麺のおいしさを引き出すために早朝3時半から小麦粉をこね、茹でる際は茹ですぎないよう気をつけながら、茹でた後に冷ますという手間が必要な工程を続けている自家製麺のお店もあります。
武漢熱干麺の具材は特に「酸豆角」が有名
武漢の人は熱干麺を朝ご飯としても食べるため、消化がよくかつ食欲を増やす食材が多く、主に酸豆角、ザーサイ、大根・にんじん、砕いたピーナッツ、パクチー、青ネギがよく見かける具材です。
うち酸豆角は日本では珍しく、「豆角」は中国産インゲンで、これをお酢、砂糖、塩と生姜、唐辛子で漬けたものが酸豆角。
河南料理ではよく食べられてます。
ちなみに熱干麺の大根・にんじんもお酢で漬けた中国風漬物です。
スープはないが胡麻だれとスパイスがたっぷり
スープがない熱干麺ですが、混ぜそばのタレで使われるスパイスは豊富です。
ローリエ、八角、フェンネル、香果、草果、ナツメグ、陳皮、シナモン、生姜、花椒に砂糖、塩、お酢、中国醤油、鶏ガラを入れて煮込んだものをタレとします。
さらに香り立つ胡麻だれをたっぷりかけ、具材と一緒に熱いうちに混ぜる。
河南省は辛いものを好んで食べるので唐辛子ダレをさらに追加するのもアリです。
食べれるエリア
試すのなら河南省の武漢市、信陽市がおすすめです。
これらのエリアは1930年代から熱干麺が流行り、今では生活の一部になっているほどポピュラー。
武漢人は熱干麺をソウルフードと考えていて、
熱干麺は武漢人の人柄を熱=热情=情熱、干=干练=有能、面=面子=メンツを表現していると冗談で言います。
江西省の南昌拌粉(南昌混ぜビーフン)
最後は江西省の南昌拌粉を紹介します。
南昌は江西省の首都で、またの名を豫章(よしょう)と言い、三国志にも出てくる歴史ある街です。
また、江西省は青磁器で有名な景徳鎮もあります。
南昌拌粉の「拌粉」は混ぜビーフンを意味し、南昌人にとって1日3食でもビーフンを食べれるほど身近な食べ物です。
南昌拌粉はコシがあるビーフン
ビーフンを2分茹でた後、5分間鍋で寝かす。その後ビーフンを水で冷やすことで、ツルツルした味わいの中にもビーフンのコシが感じられ、食べ応えがあります。
赤唐辛子と青唐辛子を混ぜたタレ
私が思うに江西省は中国1位辛い食べ物が好きなエリアです。
朝ごはんとしても食べられている南昌拌粉にも生の唐辛子を2種類刻んで入れるほど唐辛子は1日の中で欠かせないスパイス。
生唐辛子を刻んだ後に塩、中国醤油、黒酢を入れ、最後に揚げた油を注ぎ、寝かした後南昌拌粉の混ぜダレは完成。
具材は香ばしく揚げたピーナッツ、干し大根、青ネギのみと非常にシンプル。
南昌拌粉はとにかく辛い。
唐辛子の量をやや辛にしても食べれば食べるほど汗が止まらなくなりますが、江西省出身の友達はその横で、白米を食べるように唐辛子ダレを追加した激辛南昌拌粉を食べてました。
スープは南昌の伝統料理「瓦罐汤」
激辛南昌拌粉は混ぜビーフンのため、スープはないのですが、江西省は昔から飲まれている瓦罐汤という中華スープがあります。
瓦罐は小さな壺、汤はスープを意味するので小さな壺で煮込んだ中華スープとなります。
味はスペアリブと冬瓜、地鶏と朝鮮人参、イカとアワビに海苔の海鮮ベースなど様々。
量は少ないため、1人で2~3種類のスープを注文する人もいます。
伝統的な作り方は大きな壺に小さな壺を並べて入れ、炭火で8時間じっくり加熱するという面白い方法で、お店の入り口に大きな壺をそこは間違いなく伝統的なスープ作りをしています。
食べれるエリア
南昌拌粉と瓦罐汤を味わうなら南昌市がおすすめです。ここに来れば両方食べれます。
南昌では朝からビーフンとスープを朝ごはんで提供でしているため、朝ガッツリ食べたい人は10元(約250円)でガチ中華ビーフンとスープが味わえます。
終わりに
河南省、河北省、江西省は日本ではあんまり馴染みがない場所で、初めて知る方も多いかもしれませんが、これらの省は中国では2線都市として認識されていて、これから経済発展すると見込まれている地域です。
今後、日本からも行く機会が増えると思います。
今回も最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。
次回は上海、江蘇省のガチラーメンを紹介します。