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中国行ったらぜひ食べたい現地のガチ中華ラーメンVol.2(西南地方編)

中国で中華を食べるのもいいけど、ぜひ試して欲しいのは現地のラーメン、いわゆるガチラーメンです。
2回目は中国の西南部である四川省、重慶市、雲南省のエリアを中心に中国のご当地ラーメンを紹介します。


四川省の担担面

四川省の担々麺

はじめに四川省の代表ラーメンである「担担面」についてご紹介。
日本でも担々麺を食べたことがあると思いますが、元々は四川省が発祥で、名前の由来はラーメンの食材や道具を「担ぎ」ながら路面で販売していたからでした。

中国の「担子」

中国語でこの販売方法または行為を「担子」(担ぐ者)と呼び、彼らが麺を販売していたから、略されて担々麺となったのでした。

担々麺の麺は中国でよく使われる鹹水麺

麺はひき肉とタレが良く絡む小麦粉と鹹水(かんすい)を混ぜた鹹水麺が主です。細麺ストレートのものが多い。

ひき肉の旨みと「芽菜」の甘みが引き立つ担々麺の具材

担々麺の大事な具材は挽肉です。中国の調味料である八角を油で炒め、下味を付けた後に豚ひき肉を投入。

本場の担々麺のひき肉

豚ひき肉を中火で炒め、水分を飛ばしながら、中国酒を入れ、香ばしい匂いが出てきたら、醤油と「芽菜」を追加して完成。
なぜ炒めたひき肉を具材にしたのか。実は販売方法に理由があるのです。
当時、中華鍋や食材を担ぎながら販売していたので、肉が生のままだと傷んでしまう可能性がありました。
火を通した方が食材が長持ちし、しかも香ばしい匂いに人々が集まってくるので、ならひき肉を炒めて売ってしまおうというのがスタートでした。
もう一つ、四川の担々麺に欠かせない具材が「芽菜」と呼ばれるからし菜の野菜です。
担々麺ではこのからし菜をサトウキビ砂糖と一緒に漬け込んだものを使用します。

四川省のからし菜サトウキビ漬け

ひき肉と一緒に炒める際、からし菜は油を吸い込み、同時に甘みもひき肉に溶け込んでいくので、まろやかな風味になります。

本場の担々麺は実はスープがない

日本の担々麺と大きな違いは、本場の担々麺はスープがないこと。
これも上の理由と同じで、最初は担ぎながら販売していたのでスープを予め作れなかったのです。
その代わり、麺と具材を混ぜて食べる担々麺のタレは非常に豊富です。
お店や地域によって多少差はありますが、基本的には中国醤油(甘め)、黒酢(量多め)、胡麻だれ、出汁スープ(少々)、花椒、豚の背脂、ラー油(中国版)を混ぜたものが多いです。
担々麺を食べる前に、麺にタレを要領よく混ぜ、具材と一緒に食べるのが中国風の担々麺です。
スープがなくても、胡麻だれやひき肉の香ばしさを感じられ、からし菜の甘み、黒酢やラー油の味が口の中に広がり、豊かな味わいが楽しめます。

食べれるエリア

本場の担々麺を食べるのならやはり四川省です。
特に四川省の成都は火鍋も有名で、火鍋の最後に担々麺を出してくれるレストランもあるので、両方とも食べておきたい方にはおすすめです。

重慶市の重庆小面

重庆小面

次にご紹介するのは重慶市の「重庆小面」です。
重慶小麺はこのご当地ラーメンの総称で、具材によってラーメンの名前が泡椒麺、牛肉面、肥肠面などに変わるだけで元のスープや麺は同じです。
ベーシックな重慶小麺はひき肉、大豆、野菜を載せたものが多く、このラーメンの見た目が日本の担々麺に似ています。
ただし、スープのもとが違うのでご注意を。
重慶小麺はなんといっても辛さが命です。

ここでも食べられている鹹水麺

重慶小麺の麺も小麦粉と鹹水(かんすい)を混ぜた鹹水麺を使います。
鹹水麺は中国でかなりポピュラーな麺です。

重慶小麺の具材はシンプル

具材はシンプル。ひき肉、大豆、ピーナッツ、青梗菜です。
大豆は12時間寝かした後にじっくり煮込んだもの。
ひき肉も油で炒めますが、担々麺と違い、強火で水分を飛ばす必要がなく、甜面酱、オイスターソース、鶏ガラ、水などを追加して一緒に炒めますので担々麺より味が濃いめです。
ピーナッツは殻を剥いたものを入れただけのものが多い。

重慶市の唐辛子を使用したスープ

重慶小麺のスープの素は唐辛子で出来ています。
なのでスープ色は赤く、いかにも辛そうな雰囲気が漂っています。
実は重慶は唐辛子の名産地であり、特に石柱辣椒と朝天紅が有名です。

重慶市石柱土家族自治県の特産品石柱唐辛子

その唐辛子を油で炒めた後に砕き、粉にし、さらに煮た油と配合したのが重慶小麺のスープの素です。
日本でも四川料理は辛いというイメージを持っていますが、隣の重慶や貴州も辛さでは負けません。
四川・重慶の辛さは「麻辣(マーラー)」という痺れる辛さですが、貴州は酸っぱ辛いのが有名。

各省の辛さランキングを示す中国マップ

さらに重慶よりも辛い地域が江西省と湖南省で、後日チャンスがあれば記事で紹介します。
この唐辛子と豚骨、鶏肉、もやし、海藻、キノコ類、生姜をじっくり煮込んだスープと合わせるのが重慶小麺のスープです。
辛さだけではなく、出汁の旨みもちゃんと出るようにしています。
香ばしさのために仕上がりに白胡麻をたっぷり。

食べれるエリア

重慶市であればどこでも食べれます
また四川省や貴州省の屋台でも食べれたりしますので近くまで行ったらぜひ試してみてください。
1杯6元〜8元(120~180円)で食べられます。

雲南省の云南过桥米线(ビーフン)

雲南過橋ビーフン

中国語続きで読みづらいかもしれませんが、直訳すると云南过桥米线=雲南過橋ビーフンとなります。
过桥 = 過橋= 橋を渡る という意味です。
三つ目の紹介は雲南省のビーフン、特に有名な過橋ビーフンを紹介します。
名前の由来は清王朝時代、雲南省蒙自市内の湖に浮かぶ小島で政府の試験勉強に勤しんだ夫のために、妻が少しでも夫の支えになるよう毎日橋を渡って食事を運んだエピソードから来ています。

雲南ビーフンの麺は丸くてツルツルして食べやすい

米线というのは中国語でお米で作られたビーフンという意味で、雲南省だけではなく中国全土で見かける言葉です。
中でも雲南省のビーフンは特に有名で、私が知る限り雲南省内だけで10種類以上のビーフン料理が存在していて、しかも各民族の特色に沿っていて味付けも違う。
雲南ビーフンの形状は丸くて細いものがメインでツルツルしているのが特徴。味が濃いスープと一緒に食べても小ざっぱりした感覚があります。

雲南過橋ビーフンの具材は20種類以上

雲南過橋ビーフンの食材は「生」と「熟」の2種類に分けられます。
「生」は白身魚、白菜、鶏胸肉、雲南省のきのこ、豚ハム、うずらの卵。
「熟」は鶏もも肉、茹でた鶏肉、香酥(揚げ肉)。
さらに、豆腐麺、生姜、ニラ、菊の花も加えます。
場所によってはもやし、木耳、カシューナッツ、ネギも入れますので食材は20種類以上とかなり多い。

具材豊かな雲南過橋ビーフン

食べる際は熱々な鶏出汁スープにビーフン、「生」食材、「熟」食材と残りの生姜などの材料を順番に入れて軽く混ぜてからいただきます。
食材が「生」と「熟」に分けられて順番に入れていく理由は、妻が夫に新鮮な食材と出来たてのビーフンを食べてほしいと願い、後入れにしたそうです。
鶏の風味と、雲南のきのこ、生姜、菊の花びらなどの薬味の味わいが混ざり合い、食欲がそそられます。

雲南鶏をたっぷり味わえる鶏出汁スープ

雲南省は地鶏の名産地でもあり、その雲南鶏の旨み脂が黄金色に変わるよう4時間以上煮込みます。脂があってもしつこくない、ほのかの甘みを感じられる。

雲南省で有名なブランド地鶏:武定鶏

また、名前由来のエピソードに戻りますが、最初に妻が料理を島まで持っていくとどうしても冷めてしまうという悩みがあった。
ある日偶然にも鶏出汁スープの脂が熱を保てることを発見。
そのスープを作って、具材は後から追加すれば美味しく食べれると思いつき、それを食べてもらったところ、すごく美味しいと喜ばれた出来事から雲南過橋ビーフンのスープの素が鶏出汁になったと言われています。
雲南過橋ビーフンは美味しいだけではなく、食材とスープともに夫婦の愛情エピソードで成り立っており、話のネタとしても面白いため、中国国内では非物質文化遺産として認定されています。

食べれるエリア

雲南省の昆明市なら間違いなく本場の雲南過橋ビーフンを味わえます
雲南省は25の少数民族がいて、場所によっては民族独特の食材と味付けがある雲南ビーフンを楽しめるので新しい発見もあります。

終わりに

西南編は麻辣や薬味が効いた中華ラーメンが多く、南方地方とは別世界のラーメンに出会います。
水や風土が全然違うのでスープの素も様々。
日本から行くには距離も時間もかかりますが、それだけ行く価値はあると思います。
次回は、東南地域の中華ガチラーメンを紹介します。


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Ken Sonehara
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