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はいはいまた論理ね、頼り過ぎよ?

えー、本稿ではビジネスパーソンが大好きな「論理(ロジック)」について議論をしようと思います。

大学や大学院、企業といった、ちゃんとした意見が求められる場では、論理性が最も重要な指標の1つとして場に君臨しています。論理(筋)が通っていない人の意見は雑に扱われ、果てはその人自身の評価を貶めてしまうでしょう。

文章を書くこと以外にも、企画書の作成、データ分析の構図を作ること、マーケティングの内容を考えること、説明を行うことなど、あらゆる所で論理性は必要とされます。それを極地まで追い求めた職種が、おそらくコンサルタントを初めとした頭脳労働者に当たります。

しかし、論理は万能なのでしょうか。あらゆるビジネス課題を解決し、会社に幸福をもたらしてくれるのが論理なのでしょうか。

論理は説明のためにあって、ビジネスの成功を保証するものではない。

論理とは、人を説得するための道具に過ぎません。論理性が担保されたからと言って、事業の成功が約束されたわけではありません。その理由は、丁寧に組み立てられた論理が、ビジネスの成功をもたらす要因と、直接結びついているとは限らないからです。つまり、論理と成功要因の間に、因果関係が存在しない場合がある、ということです。この場合には当然、ビジネスが成功するとは限りません。

それにも関わらず、ビジネスの場では論理が「未来を予測する」ために頻繁に使われています。例えば、経営戦略を策定するときに、この事業をやれば消費者はこう反応して、その結果売上はこうなる、といった具合です。つまり、その事業の根底にあるのが論理になっているわけです。

この因果関係を確定できない場合には、論理は全くの役立たずになるばかりか、事業の足を引っ張ることになるでしょう。論理に溺れた結果、論理が事業をつぶすことになるのです。

したがって、論理が必要かどうかは、その論理が事業の成功要因と密に結びついているか(=因果関係があるかどうか)、という視点が重要になります。この結びつきを証明してくれるものは、経営者の経験知や、過去のデータになるはずです。これらはすべて、事業の再現性を担保してくれます。一度起こったことはもう一度起こるという論理に基づいて、事業を展開することが出来るはずです。

まあ、因果関係が正しいことを証明するのもまた論理であり、なんとも言えない皮肉さが存在していますが。

大企業ならOK、ベンチャーだと論理はいらないかもしれない

おそらく、事業の規模が大きい大企業ならば、論理によって未来を予測することが可能になるでしょう。事業の売上を予測して、論理の予測力の範囲内で事業を行うのです。こういった意味では、新卒採用や転職市場で論理性が重要視される理由が分かります。論理性が高い人を雇って、自社の成功パターンを再現、あるいは新規事業に転用するためですね。

近年では、データ分析によってこの論理性をパワーアップさせることが可能になりました。人の思考とデータの予測力を掛け合わせることで、未来を確実に予測しようという訳です。大企業ならば、過去に豊富なデータが存在していますから、こういった未来予測で事業を運営することが楽になるかもしれません。

しかし、ベンチャー企業ではこの議論が成り立ちません。経営者の経験は存在するでしょうが、過去のデータがないからです。

さて、この場合には、事業の成功を左右するのはどんな要因でしょうか。筆者は、これを「運」だと考えています。この「運」には、ビジネス環境の潮流や経営者のコミュニケーション形態、消費者のマインドといった、無数の要因が含まれています。それらの総合体が「運」として事業の成功に関わるのです。

つまり、事業の規模が小さくなればなるほど、論理の重要性は低下し、論理で説明できる未来のレンジが狭まっていくことになります。一流コンサルティング会社出身の経営者が必ずしも成功できないのは、こういった要因に理由を求めるのが適切ではないでしょうか。

ただし、本稿は論理の力を貶しているわけではありません。大企業の部分で述べたように、ある程度は論理でカバーできる未来が存在するからです。本稿の主張は、論理はあくまでも説明のために存在するのであり、ビジネスに成功をもたらす万能薬ではない、ということです。論理を過信しすぎるな、というと分かりやすいかもしれません。

論理が万能ではないなら、何を鍛えればいいのか

論理を鍛えても確実に成功できるとは限りません。であれば、何を鍛えれば良いのでしょうか。

本稿では、この問いに対する答えを「経験」としておきます。大企業とベンチャー企業において、論理が使えるかどうかを分けた境界線は何だったでしょうか。それは、経営者の経験知や過去のデータだったはずです。既に述べたように、これらは再現性をある程度保証してくれます。つまり、次に起こる未来が確定しやすくなるということです。

経営者は10回に1回成功できるため、年収を高めるにはコスパの良い職業だと言われます。これはまさにその通りで、何度も失敗するパターンを経験しているからこそ、新たな事業で落とし穴に引っかからずに成功することが出来るのです。

つまり、ビジネスで成功したければ経験を積む必要があります。論理がどうこうとか言うのは一旦置いておき、取り合えずは再現力をため込んでいくのです。若ければ若いほど、この再現力を蓄積することが出来るため、若いうちに茨の道を通っておくと、将来はビッグになれるかもしれませんね。以上、考察記事でした。

思いついたことをふらっと書き留めていきます。