不登校からの卒業(23)
今、中学校では問題行動が増えている?
~不登校を見つめる(6)~
不登校を見つめるとして、「学校とは何か」を考えてきています。
そんなか、学校の状態が良くないために、いじめや学力不振、学年途中での先生の交代による混乱など、私のところにはいくつも、学校の状態が良くないことによるご相談をいただいています。
特に、状態がよくない中学校が多くなっているように思います。
これは、偶然、私のところにご相談があるケースがそうだというだけで、全国的にそうなっているのかどうかはわかりません。
ただ、学校の先生方は、今、かなり追い詰められているように思います。
子ども達やご家族のことをお願いしている精神科や心療内科、メンタルクリニックの先生方も、声をそろえて、元々、受診される方にも多いところに、最近、受診が増えているのが「学校の先生」だとおっしゃっているのです。
中学3年生の担任が、学年途中で交代するなど、学校として混乱が続いている中学校もあるのです。
では、なぜ、このようなことが起こっているかということですが、原因は様々なのです。
ただ、大きな問題になっているのが、子ども達の行動です。
例えば、
・他人を平気で言葉や暴力で傷つける
・先生が怒ることを、バカにしたり、茶化したりする
・学校のものを壊す
など、このようなことが多々あるのです。
この対応に振り回されていることが、大きな原因のように私は思っています。
たとえば、他人に暴言を吐き続ける子どもがいます。
この子どもを注意すると、先生の言葉尻をとらえて、揚げ足を取ったり、揶揄したりするのです。
また、このようなこともありました。
学校で起こっていることを見て、しんどくなって不登校になった女の子から聞いた話です。
子ども達が数人で、一人の子どもを蹴ったり、叩いたりしている現場に、先生方が踏み込んで、止めに入ったのですが、当然、やめさせるために、一人の子どもを蹴っている子どもを羽交い絞めにして引き離したのです。
そうしたら、それを、一緒に蹴ったり叩いたりしていた子ども達が、「先生が暴力をふるった」とわざと大騒ぎをするのです。
止めさせるためには、言葉で注意していたのでは、やられている子どもは大けがを負ってしまいます。
先生方が体を張って止めるしかないのに、それを、こう言われては、先生方もやっていられない気持ちになるのです。
こうして完全に大人をなめたような行動をとるのです。
モンスターピアレンツという言葉がありますが、この子ども達のご家族を呼び出して、ご家族にはなすと、その子ども以上に先生に対して、厳しい言葉を投げつけられることがあるのです。
ご家族の「自分の子どもが悪くもないのに、なんでそのようなことをいわれなければならないのか!」という怒りを買うというのです。
ですから、ご家族の中にも、こういう方がいるために、指導しきれないことが多々起こっているのです。
これでは、学校としての機能が全くはたらかないのは当然なのです。
これは、学校の先生方の問題だけではないのです。
経済格差があるからではありません。
経済的に厳しいご家庭の子どもが問題行動を起こしているわけでもないのです。
私立中学、高校に行けば、大丈夫かというと、表立っては何もないのですが、より陰湿になるだけのことです。
多くの学校が何らかの問題を抱え、先生方がご苦労されているのは、我が国の経済、教育、すべてがどこかで歯車が狂ってきているからだと言わざるを得ません。
それは、以前もお話ししましたが、学校は「子ども達の社会」であり、まさに「社会の縮図」であるからなのです。
このような学校に対して、「不登校になる」ことは、ある意味で自分の身を守ることを本能的に知っていることであり、素晴らしい能力であるとも言えるのです。
不登校になることは、私には十分に理解できることなのです。