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不登校からの卒業(2)

3人の先生との出会い

私が不登校の子ども達の悩みを聞き、共に考えていくようになった頃、私に影響を与えた3人の方がいらっしゃいました。

一人は前回もお話しした、精神科医の吉田脩二先生。もう一人は吉田先生とのご縁をつないで下さった老舗の大検予備校の塾長O先生、そして、この春にお亡くなりになった、小さな塾から通信制高校・大学までをお作りになられたM先生。

この3人の先生との出会いがなければ、不登校の子ども達と30年にわたり、共に学んでこなかったことは間違いないと思います。

この3人の先生の影響は本当に大きいです。

今の私は、すべて、この3人の先生と、子ども達から学んだことがベースになっています。

この先生方の共通点は、3人ともが不登校からの「回復」と「克服」とかはおっしゃらず、子ども達が「笑顔になる」「元気になる」とおっしゃっていた点です。

吉田先生は長い間、「生徒の心を考える教師の会」をされていました。学校の先生方に「学校の病理」を説かれていたのです。

学校が変わるためには、教師が変わらなければならないと、子どもが元気になるために、どうしたらいいかを学校の先生方と共に考えていらっしゃいました。

O先生もM先生には、たくさんの教え子や、優秀なスタッフの方々がいらっしゃいました。どちらも通信制高校を作り、大きなグループに成長して活動をされていました。

O先生の方は事情があり通信制高校も無くなってしまいましたが、M先生の方は本当に大きなグループになり、教育の世界でたいへん貢献されています。残念ながら、M先生は今年の春、逝去されましたが、残された功績はたいへん大きなものがあると思います。

忘れられないのは、初めてM先生とお会いした時に「子どもが笑顔になれる学校がない。だから学校を作ったんだ!」と私に語ってくださいました。これには本当に感動しました。

私は、外部からM先生がお作りになられた通信制高校を応援させていただいておりましたから、10周年の記念に感謝状まで頂戴いたしました。本当にすばらしい先生でした。

O先生は「不適応は能力」とはっきりとおっしゃり、学校に行かない子ども達にこそ、大きな可能性があるといつもおっしゃっていました。

このことも私には、ものすごい衝撃でした。こんなことを言う方がいるんだと、びっくりしたことは今も記憶にはっきりと残っています。

O先生は「元気が一番」と、学校に行くとか行かないとかではなく、いつも「元気が一番」なんだとおっしゃっていました。

今、思い返せば、3人の先生方は、3人とも同じことをおっしゃっていました。

「学校に戻りたかったら戻ったらいい、でも、学校復帰したらいいのではない。学校に戻っても、元気がなくては何もできない。学校に行くか行かないかではない。子どもが心身ともに元気かどうかが一番大切なんだ!」と。

不登校から「回復する」、不登校を「克服する」というのは、動き出すだけではなく、「心身ともに元気になる」ことだと私は考えています。

だからこそ、「回復する」「克服する」のではなく、「元気になる」「笑顔になる」ことだと、子ども達にもご家族にもお伝えしています。

特に「心が元気になる」ことは、ものすごく大切なことだと思っています。心が元気なら、体も元気になっていきます。


この心が元気になることが、子ども達にとっては、実はたいへん難しいのです。



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