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不登校からの卒業(1)
「不登校を克服する」とは?
30年以上の間、不登校子ども達と向き合い、共に悩み、歩んできました。本当に多くの子ども達が元気になっていってくれました。
最近の不登校の子どもの中にも、以前の子どもと同じように感じている子どももいますが、発達障害など以前は少なかった不登校のケースも増えてきました。
そんな中、「不登校を克服する」ということがよく言われるようになったようにも思います。
でも、「不登校を克服する」という言葉を、私は今まで不登校で出会ってきた子ども達に使ったことがありません。
「元気になる」「笑顔になる」とはいつも言っています。「元気が一番」ともよく言っています。だけれども、「克服する」とは一度も使ったことがありません。
講演・ラジオ出演などでも一度も「克服」と言ったことがないのです。
なぜか。
「克服」は「困難に打ち勝つ」という意味です。
「不登校を克服する」ということは、「不登校という困難な問題に打ち勝つ」という意味で使われるのですが、そもそも「不登校は問題なのか?」ということになります。
「学校に行かない」ということが問題である、ということは、不登校になっている子どももそのご家族も感じていることだと思います。
「不登校は問題なのか?(1)〜(11)」でお話しした通り、子どもにも大人にも辛い現実であることは間違いありません。
法律的に、そして、親や学校の先生など大人の感情的には「問題」です。
子どもにとっては、みんなと同じことができない、社会に出ていけない、親に心配をかけている、ということで「問題」だと感じています。
しかし、法律的なことを除けば、あとは「学校に行かない」ことを認めてしまえば「問題」ではないのです。社会に出ていく必要はありますが、「学校に行かない」ことを本人も家族も学校の先生もみんなが認めてしまえば、実は法律的にも問題ではなくなるのです。
だから、私は、不登校の子どもの話を聞き始めた30年以上前から、「問題ではない」と思っているので、「克服」しなければならない問題・課題はない、だから「克服」という言葉を使わないのです。
以前にもお話ししましたが、不登校の子どもと寄り添い始めた頃に、以前は奈良と大阪で「こころのクリニック」をされていた精神科医の吉田脩二先生に
「人は言葉で物事を考える。だから、悩める子ども達と話すときは、本当に言葉を大切にして欲しい。」
とわざわざお時間を作ってくださり、まだまだ本当に駆け出しの私にお話ししてくださいました。
それ以来、言葉の使い方、あるいは言葉にならない言葉、そういうものを大切に30年間、不登校の子ども達とすごしてきました。
「克服」しなければならない「問題」はなく、「今の自分でいい」「今に生きる」そして「元気になる」「笑顔になる」ことを目標にして欲しいと、不登校の子ども達と、そのご家族に伝えてきたのです。
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