
不登校と中学受験(17)
再登校か、大学受験でリベンジか
もしお子さんが最難関中学に合格したとします。
その中学に通っている間に不登校になってしまった時、再登校を考えますか?あるいは別の道を探して大学受験でリベンジを考えますか?
これは少し違いました。
お母様、お父様は、再登校、学校復帰を望まれますか?あるいは、学校復帰をあきらめ、大学受験でのリベンジを望まれますか?どちらでしょうか。
あくまでご家族の希望です。
わかりやすく言えば、お子さんが関西なら、灘中、東大寺中、神戸女学院中などに合格して通い始めたけれども、不登校になってしまい、これはすぐに動けない、となったときに、再登校、学校復帰か、学校復帰をあきらめて、大学受験でのリベンジすることのどちらを、ご家族が希望されるか、ということです。
ご本人のことは別です。
ご家族が、です。
この時、多分、大半のご家族は学校復帰を強く望まれると思います。
これまでの多くのケースがそうでした。
では、学校復帰について、考えてみます。
学習がうまくついていけなかったという前提だけで考えます。
わかりやすくするために数学だけを取り上げてみます。
中1の夏休み明けから行けなかった場合、どこで復帰するのが可能かというと、中2の4月から復帰するのがギリギリだと思います。
まず、ご本人は不登校になって、すぐに勉強する、などということは不可能に近いです。
実際に少しずつ勉強が始められるとしても、それまでにかなりの時間がかかります。
8月の終わりの夏休み明けから行けないとして、どれだけ早くても、11月か12月くらいまでは、ほとんど何もできないことがほとんどです。12月でも早いくらいです。
12月から勉強を始めたとしても、すでに6月くらいからついていけなかったことが容易に想像できますから、6月の内容、代数では連立方程式くらいからわからなくなっているということです。
そのために、本当に理解できているかどうかわかりませんから、どうしても文字式の計算や一次方程式の確認から始めることになります。
学校が使っている教科書、教材等にもよりますが、学校側が中学数学の代数内容の文字式、方程式や関数を中1の3月までに全て終わってしまうとすると、中学校が10ヶ月をかけて授業を行った内容を、12月からの4ヶ月で追いつかないといけないのです。
不登校になり、精神的にもしんどくて、小6の受験直前の時のように、そんなにガンガン勉強することなんて、とてもできない状態の子どもが、たった4ヶ月で、難関中学校が10ヶ月をかけて進んだ内容を追いつけるか、というと、とてもじゃないが難しいということがお分かりいただけると思います。
まして、この後、勉強を始められるのが遅くなればなるほど、学校との学習の開きは、どんどん加速して開いていきます。
高校内容になってしまっては、追いつくのはかなり厳しくなることはおわかりいただけると思います。
どう頑張ったとしても、中2の夏休み明けまでに、学習が追いつかないと、難関中学で不登校になった場合、学校復帰はものすごく難しいのです。
それでも、ご家族は学校復帰を望まれるのです。
下手をするとご本人もです。
その結果、そこにこだわる時間が長ければ長いほど、大学受験で難関国立大学が遠ざかっていくのです。
ところが、もっと厄介なことは、ご本人もご家族も、学校復帰をあきらめ切る、完全に方向転換してしまう決断ができない限り、次には動けないし、実際に動いてもうまくいかないのです。
それくらい、難関中学で不登校になった場合、学校復帰は難しいのです。
だからこそ、中学受験の時の学校選択は、学校のレベルやブランドだけで選ばず、ものすごく慎重に考えないといけないのです。
谷 圭祐
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