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【イベントレポート】「萩原朔太郎と詩の未来」

こんにちは!『三田文學』編集部員Aです。
本日は、先日noteでも告知していた、“大回顧展「萩原朔太郎大全2022」記念シンポジウム「萩原朔太郎と詩の未来」”の当日の様子についてのご報告です。

今年は萩原朔太郎没後80年に当たり、朔太郎大全実行委員会を中心として、全国52か所の文学館や美術館、大学等で様々な企画展が開催されています。その「朔太郎イヤー」を盛り上げるイベントの一つとして、慶應義塾大学アート・センターさんと共同で、三田文学会として開催させていただきました!

当日の流れは下記の通りです。
・慶應義塾大学塾長:伊藤公平氏のビデオメッセージ
・朔太郎大全実行委員会委員長:松浦寿輝(ひさき)氏の基調講演
・吉増剛造氏・三浦雅士(まさし)氏・マーサ・ナカムラ氏・松浦寿輝氏によるシンポジウム(司会:朝吹亮二氏)

松浦寿輝氏

松浦氏の基調講演では、「朔太郎と時間」というテーマでのお話がなされました。人間の中にはいろんな時間が流れている。日常生活の時間、歴史の中・社会の中の時間、そして朔太郎のような文学者にとっては、文学者としての自分の時間だけでなく作品自体にも時間が流れている。複数の「時間」というのがどう関係しているのか……そして、その「時間」というのは、流れているばかりではなく時には止まってしまったり。

——「暦の亡魂」という詩では、「暦」や「あうむ(=オウム)時計」というモチーフが出てくるが、オウム時計は最初から壊れている。「時計」という詩では、「古風な柱時計」や「錆びたぜんまい」、そして「じぼ・あん・じやん!」という音が特徴的。「時計を見る狂人」には一日中ずっと時計を見ている老人が登場したり、「Time is life」という言葉——

左:吉増剛造氏、右:三浦雅士氏
左:朝吹亮二氏(司会)、右:マーサ・ナカムラ氏

シンポジウムでは西脇順三郎と朔太郎の詩の比較など、時には白熱した様子でさまざまな側面からの討論がなされ、その特異さが浮かび上がりました。

今秋、朔太郎が全国を席巻中!

「萩原朔太郎大全2022」公式サイト内の最初のプレスリリース(6月8日)内では、下記のような文言があります。

分野を越えてこれほど多くの施設がそれぞれ独自の角度で同時期に朔太郎を展観する試みは、これまでに例がありません。本企画は全国的なネットワークで朔太郎を「共有する」ことの意義を感得する貴重な機会であり、また「言葉」の新しいあり方を創出するきっかけとなることでしょう。 

企画概要より抜粋

また、「月に吠える」という楽曲を手掛けたことがある、若者に人気のバンドユニット・ヨルシカのn-buna(ナブナ)さん、漫画『月に吠えらんねえ』作者の清家雪子さんからの企画への応援メッセージが寄せられているなど、世代やジャンルを超え、現代でも多くの人に注目されていることが分かります。
(しかもこちらのお二人は、「朔太郎イヤー」だから注目した、というわけではなく、特に清家さんについては朔太郎作品を主人公にした漫画を描き始めて、なんと10年近くが経っているんです!)

『三田文學』2022冬季号(152号)は年明け発売予定です!

せっかくの「朔太郎イヤー」、萩原朔太郎を知っていた方もこの記事で初めて知ったという方も、この機会に触れてみませんか?

この日の登壇者の方々の詳しいお話内容については、年明け発売予定の冬季号(152号)でご紹介予定です。ぜひお手に取っていただければ幸いです!

そして……

次回のnoteでは、この次に告知があった、平野啓一郎氏と中川ヨウ氏の「音楽と分人」のイベントの開催報告を載せる予定です。(詳細内容については4月発売の『三田文學』春季号・153号に掲載予定)

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
次回もぜひ、お楽しみに!

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