傷つきやすい子どもたちへ『はみだしっ子』~読書感想文#6
『はみだしっ子』は「花とゆめ」で1975年から1981年まで連載された、三原順の漫画です。
家族と一緒にいるのがつらいときに読む本
主人公は、親に捨てられたり、家出をしたりして出会った4人の少年。
家は必ずしも安全な場所でも心地良い場所でもないということを知っている
グレアム、アンジー、サーニンとマックスが、いろんな人に出会いながら成長していく物語です。
家族といても孤独なとき、人ごみの中で自分だけが異質なもののように感じてしまうとき、この4人が「おいで!」と言ってくれます。
三原順が生きていてくれたら、もっともっと続きを読みたかった。
イン・ア・ボックス
イン・ア・ボトル
これは『はみだしっ子』の10巻に収められている、短編です。
(今売られているものには含まれていないかもしれません)
やはり家族がテーマです。幼くして両親をなくした男の子、リロイが、厳格な祖母に引き取られ、弟と妹を守るために自分の心を殺し続けた挙句、人を殺してしまいます。ほんの18ページの短い話ですが、こんな方法でしか解放されることができなかったリロイを忘れることはできません。
家庭とは閉ざされた空間であり、外からはうかがい知ることができません。我が家が幸せで温かいから、隣の家も温かいとは限らないのです。
リロイが殺したのは祖母ではありませんが、日本における殺人の約半数が親族間殺人であることを考えると、この危険な家庭という場を、いかに安全に過ごすか、時には家出という形であっても逃げる勇気が必要なのではないかと思います。
とは言え、実際に家出をする前に、まずは、この『はみだしっ子』を読んでください。
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世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。