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『残酷な神が支配する』~読書感想文#31
これ、18禁にならなかったんだろうか!?
1992年7月から2001年7月までの9年間『プチフラワー』に連載された萩尾望都の漫画を読んだ。
もともと、萩尾望都は『ポーの一族』や『半神』などを読んでいて好きだった。『プチフラワー』は10代後半向けの少女漫画雑誌だし、図書館にあったので息抜きのつもりで借りた。表紙からしてもBLだろうぐらいのつもりだった。
息抜きどころか、1巻で地獄に突き落とされる。
私はいったい何を見せられているんだろうか。これって10代の少女が読む本で間違いないんだよね?これが17巻も続くの?
誰も答えてくれないと分かっているのに何度も問うた。
これは、虐待の話だ。
萩尾望都は一体この本を書くのにどれだけ勉強したのだろうか。下手な専門書よりよほど虐待のメカニズムを理解していると思われるし、被害者、加害者、傍観者、それぞれの心理を克明に書いていく。
これは、虐待からの回復の話だ。
虐待から受けた傷自体がさらに本人を傷つけ続け、周りをも傷つけていく。一方の支援者は支援のつもりでも、それは二次被害を与え、さらなる虐待にもなりうる。
そんな中での回復がいかに難しく、時間がかかるものか。いや、たぶん一生続くのだ。それでも生きていく。
外国の話、寄宿学校の話、大富豪の話、BLの話、、、。
いろんな設定を使って、「あなたの話ではない」と守ってはいるが、実際にどれほどたやすく子どもが被害に遭うか、それがいかに執拗に繰り返されるか、それほどの被害を家族がいかにして見ないようにするかを克明に描く。
だから、それは「あなたの話」なのだ。
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