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【絵本】『どんなかんじかなあ』


あらすじ

友達のまりちゃんは目がみえない。それで考えたんだ。
「みえない」って どんなかんじかなあって。

出版社からの内容紹介

“ひろくん”は、目の見えない“まりちゃん”のことを考えながら、「みえないってどんなかんじかなあ」と目をつぶる。

耳が聞こえない“さのくん”のことを考えながら、「きこえないってどんなかんじかなあ」と耳を塞ぐ。

目をつぶるといろいろな音が聞こえ、耳を塞ぐとたくさんのものが見えてきた。

そんな“ひろくん”は、というと…。

感想

図書館で、息子が「借りたい」と言って持ってきた絵本『どんなかんじかなあ』

読み進めていくと、あることに「はっ」と気づき、思わず涙してしまいました。

※物語の本質にかかわることなので、気づきの正体は書きません。是非絵本を読んでください。

私なら、障がいがある人や、社会的少数の立場の人に対して、理解があるフリをしながら特別な見方をしてしまうかもしれない。

人のできないことに対して、必要以上に気を遣ってしまうかもしれない。

でも“ひろくん”は、
人の「できないこと」だけに目を向けるのではなく、「できないからこそできること」を見つけた。

これって、相手の障がいの有無にかかわらず、自分とは違う他者と向き合う上で必要なことだと思う。

もちろん、他者を完全に理解することは難しい。
でも、相手の立場を想像して理解しようとすること、相手の良いところを見つけようとする姿勢は大事だと思うのです。

***

息子の園では、毎月聾学校との交流会があります。

いつも帰宅した息子に「今日何したの?」と尋ねるのですが、交流会の日も同じように尋ねたら

「水遊びした。お耳の機械(補聴器)が濡れたらいけないけん(プールで)足だけバシャバシャしたよ」

「(手話を見せてくれながら)『ともだち また会おう』ってこうやるんだって!」

そんな話を聞かせてくれました。

息子からの口から、聾学校のお友達について「耳が聞こえない」という話はまったく聞いたことがありません。

「他の学校のお友達が来てくれた」
「いつもと違う遊びをした」

そんな状況を楽しんでいるように見えます。

偏見の目を持つことなく、立場の違うお友達と一緒にできる遊びを楽しむ。これも一つの関わり方なんじゃないかな。

息子には、自分を大切にすることと、相手への思いやりの気持ちを持ってほしいと思っています。

この絵本が、自分とは違う他者について「どんなかんじかなあ」と想像してみることのきっかけになるといいなと思います。

書誌情報

『どんなかんじかなあ』
作:中山千夏
絵:和田誠
出版社:自由国民社
発行日:2005年

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