10月のサンタクロース
栗。
花の87年生まれの中でも特に好きでも嫌いでもなく、35年間の合計で1分も栗のことなんて考えたこともなかった俺がびっくりしたのは2020年の11月。
今年は自分たちで奪りに行くぞと、ワンピースを目指すシャンクスさながらの心意気と絵に描いた栗泥棒の装備を抱えて、渋滞の圏央道へ向けてクルマを走らせた。何をもってして花なのかはまったくわからぬまま。
クルマのシートがその役目を終えた場所は、新潟県十日町市松之山。俺の田舎であり、控えめに言ってすべてである。
地元の名酒に赤らんだじいさんと歌い明かした翌日。地元のパン屋自慢のごくごく一般的なコッペパンを粉末溶け切らぬスーパー特売ブレンディのカフェオレで流し込み、朝靄立ち込める裏山にある一本の木目指して履き慣れない長靴を鳴らした。
さて、書くのは疲れた。
10分経った。
あとは写真でいい。
いつか見返したときも写真の方がわかりやすいだろう。
妻やじいさんの顔がすべてを物語っている。
載せられないのが惜しい。