『十二人の怒れる男』を観て
映画『十二人の怒れる男』をAmazonプライムビデオで鑑賞しました。
以前テレビで観たことがありましたが、内容はすっかり忘れていました。
シドニー・ルメット監督
ヘンリー・フォンダ主演
1957年 アメリカ映画
簡単なあらすじ
(少々ネタバレ)
陪審員の12 人の男たちが、
法廷から別室に移る。
被告人が有罪か無罪かを審議するために。
12人の俳優たちが迫真の密室劇を繰り広げる。
スラム街で育った18歳の不良少年が父親を刺殺した。
ありふれた事件だ。
目撃証言もあり、動機もある。
少年の主張するアリバイは曖昧なものだ。
有罪は揺るぎないものに思えた。
十二人の陪審員は年齢も職業もバラバラ。
議論を重ねるうちに、性格、考え方、背景にあるものが次第に浮き彫りになっていく。
裁判は少年に圧倒的に不利だが、ただ一人、陪審員8番の建築家(ヘンリー・フォンダ)だけが、偏見や先入観を捨てて、議論することを提案する。
早く評決を出して野球観戦に行きたい男がいる。
誰もが面倒なことを終わらせ、さっさと帰りたい。
しかし、全員一致で「ギルティ」の評決を下せば少年は電気椅子送りになる。
野球の開始時間までにはまだ時間がある。
1時間議論しようじゃないか、8番の男は提案する。
もし証言がウソだったら?
思い込みだったら?
別の可能性を考え、
一つずつ疑問を検証していくと、おかしな点が見えてくる。
一方的に決めつけることはできない。
次第に場の雰囲気は変わっていく。
雨が降り出した。
野球は中止だ。
議論は白熱する。
無罪に傾く男が一人、二人と増えていき……
役目を終え、男たちは部屋を出る。
ヘンリー・フォンダ扮する長身の建築家と80代の老人は互いに名乗り、握手を交わして爽やかに裁判所を後にする。
雨は上がっている。
清々しく感動的な結末。
余談
朝ドラ『虎に翼』
絶賛放映中ですが、こちらは日本初の女性弁護士、後に判事になった女性がモデル。
主人公は一貫して男女平等を叫び続ける。
『十二人の怒れる男たち』を見終わって、はて?と考える。
この映画の陪審員は全員男性。
今なら非常に不自然に感じられる。
そして昨日、たまたま読み終えたのが角田光代の『坂の途中の家』。
こちらは、ごく普通の主婦が補充裁判員に選ばれ、被告と自分の境遇を重ね合わせ…というサスペンスタッチの物語。
裁判員制度もテーマのひとつだが、妻と夫、母親と娘、嫁と姑、立場が違えば、ものの見方も言い分も真っ向から対立するというところが興味深かった。
何が真実かは藪の中。
たとえ家族でも、心が通い合わない虚しさを息苦しいほど感じた。
映画、テレビドラマ、本…
たまたまですが、テーマが裁判絡みのものばかりだったので、一緒くたにして書いてみました。