大人の階段
知ってしまったらもう元には戻れない。
子どものままでいたかった。。。
そんな忘れたくても忘れられない経験。
誰にでもありますよね?
それは
中学時代のこと。
松本清張の『黒い福音』を読んだときの思い出です。
なぜこんな本が学校の図書室に置いてあったのか。
抗議したいぐらいですが、
父の転勤先で、中1と中2の2年間だけ通った学校には本屋さん並みに
大人の本が何でもありました。
1970年代にNHKの銀河ドラマというドラマ枠がありました。
(後に銀河テレビ小説と改題)
簡単にいえば夜の連続テレビ小説です。
横溝正史の『八つ墓村』は
夜眠れなくなるほど怖かったです。
松本清張の『ゼロ焦点』も
大人のドラマでしたが
ドキドキしながら観ていました。
その後、映画『砂の器』を観てから
家の本棚にある『点と線』『張り込み』などを手に取って読むようになりました。
しかし、
『黒い福音』はあまりに
ブラック過ぎました。
実際にあった
スチュワーデス殺人事件を下敷きにしているのですが、国外逃亡(帰国)した容疑者はベルギー人の神父だったのです。
クリスチャンではないものの、
神様に仕える身である
神父様がまさか⁈
頭を鈍器で殴られたような衝撃。
嫌悪感でムカムカして
鬱状態になったと言っても
過言ではありません。
ま、それは一時的なもので、
同級生たちの無邪気な姿に
心の底から癒されました。
今でも客室乗務員は花形職業ですが、事件当時(昭和34年)はきっともっと女性の憧れの的だったのでしょう。
そんなスチュワーデスと神父様の
取り合わせというだけで
じゅうぶんセンセーショナルです。
このスチュワーデス事件に関しては
先日ご紹介しました
『刑事一代 平塚八兵衛の昭和事件史』 新潮文庫
にも詳しく載っています。
犯人と思われる人を取り逃してしまった昭和の伝説の刑事八兵衛さんの悔恨の記録。
興味のある方はご一読ください。