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日本少国民文庫 世界名作選(一)
我が家の本棚より
日本少国民文庫
『世界名作選』(一)
山本有三 編
新潮社
![](https://assets.st-note.com/img/1715591024286-jcl1zNS4Gc.jpg?width=1200)
こちらの本を購入した動機は、帯にもあるように、当時の皇后、美智子さまの子供時代の愛読書として話題になったこと。
(我が家にあるのは1998年発行の復刻版です)
そして何より、書店で現物を手にしたときの装丁のレトロ感と美しさ。
一目惚れし、家宝にしようと購入を決めました。
今日ご紹介するのは、この本の中の「母の話」の中の一節です。
アナトール・フランス 作
岸田國士 訳
以下は、「前がき」(p. 106〜107)より一部引用しながら要約したものです。
( )内はwikipediaを参考に加筆。
アナトール・フランスは本名をアナトール・チボーといい、1844 年にパリの商家(父は書店主)に生まれ、少年時代から沢山の書物に親しみ、やがてフランスでも屈指の文学者、名文家となりました。
(1921年にはノーベル文学賞を受賞しています)
「母の話」は、追憶風の小説 『ピエール・ノジエール』の中の一章です。
アナトール・フランスは、非常に物しりですが、わざわざむずかしいことをいわない。なんでもないことをいっているようで、よく読んでみると、なかなか誰にでもいえないことをいっている。ちょっと皮肉なところがありますが、優しい微笑をたたえた皮肉で、世の中の不正や醜さに、それとなく鋭い鉾先を向けています。
「母の話」は、ものの数分で読めます。
教訓を含んだお話なのですが、押しつけがましくなく、何とも清々しい気持ちになりました。
この手の話は、今の子どもたちには古くさく、しっくりこないのでしょうか。
孫がもう少し成長したら、どんな反応を示すか、是非試してみたいと思います。
学校から帰って来ると、エムリーヌ・カペルさんは、いいお点をいただいたということをお母さんにお話ししました。それから、その後でこういいましたーー
「いいお点って、なんの役に立つの、ねえ、お母さん?」
「いいお点っていうものはね、なんの役にも立たないんですよ。」と、エムリーヌのお母さんはお答えになりました。「それだからかえって、いただいて自慢になるのです。そのうちに、あなたもわかってきますよ。いちばん尊い御褒美っていうのは、名誉にだけなって、別に得にはならないような御褒美です。」
(ルビは一部省略)
この「学校」というお話は、エムリーヌさんのお母さんの、この言葉で締めくくられます。
人はとかく、目的とか効果とか見返りとかを求めがち。
何のために勉強するの?
勉強って将来役に立つの?
そんな疑問がいっぱいで、結局勉強に身が入らなかったわたしですが、長年の疑問が氷解したような気がします。
※「日本少國民文庫」(全十六巻)は、山本有三のもとで日本の少年少女のために企画され、昭和10年から12年にかけて刊行された。