ピス田助手と鋼鉄の花嫁 19
19. 誰が誰を待っているのか?
ついさっきまで行き先も決めていなかったのに、決めたそばからもう向こうでお待ちかねとはまた、ずいぶん気の回るお友達だ。誰だか知らないがろくな用件じゃないことくらい、わたしにもわかる。知り合いならこんなやりかたをしなくても直接訪ねてくればいい。よく晴れたうららかな午後のドライブを決めこんだ悠長な一行にはもちろん突拍子もない話で、「やァ、それはそれは!」と手放しでよろこべるはずもない。とっぷり暮れた夜の帳みたいな沈黙の後で、しかたなくわたしが口火