見出し画像

知っているだけで得する作業興奮という最強のスキル。

集中することで短期で劇的に能力を伸ばすことができ、それが自分の掲げる目標に向かうための近道である。筋力、体力のように一つのパラメーターじみた判断基準にされ、集中力がない者はやる気がないとされ、自分自身でもそう思い込み、集中力がないことで物事がうまくいかず、自分にはやる気がないのだという自覚を強める。という悪循環に陥ったりする。

しかしなにかに集中するということは大切だ、というのは一般論だが果たして本当にそうだろうか。

そもそも集中とは時間を忘れてひとつの物事に没頭することだが、それはもちろんコスパが悪いこともある、思考の精密さがだんだん失われる、といったようなデメリットもあるだろう。

続けることが大事とされる分野ではことさら止めないことを説く。つまり集中力に頼らない、時間をかけてゆっくりと形作っていくようなものなのではないか、と考えてみると少しだけこの集中力に関する神話にヒビを入れることができる。

おもに語学や投資においては、時間を忘れて没頭することよりも時間をかけて慣れることのほうが重要になる。ひとは忘れる生き物であり、その忘却の波が押し寄せる間隔は想像より短い。

極限まで集中して反復し、この忘却の波を短時間で泳ぎきってしまえれば言うことはないのだろうが、モチベーションというものはそう甘いものでもない。モチベーションを燃料に作業を続けているといずれどこかで行き詰まる。

『作業興奮』という言葉がある。

誰しも何かしなくてはいけないと頭ではわかっていても作業を先延ばしにし続ける、という経験を持っているものだ。しかしそういうものほどいざ手をつけてみるといとも簡単に集中でき、なにかに背中を押されているかのように捗っていく。

となるとこの『集中しなくちゃ』という思考こそがもっとも集中から己を遠ざけるものだと言うことができる。意識を集中させるから手が動くのではなく、手を動かすから意識が集中するのだ。

このことを知っているだけで、最初はどんなに億劫で退屈なだけの作業も『とりあえず手をつけみるか』と考えられるようになる。集中力が決して必要なものではないのだと知ること自体が大切なのだ。

船で海を渡る最良の方法はオールを漕ぐことであり、決して波に揺られながら船の上で漕ぎ方を考えることではない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?