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カスタマーサクセスの立ち上げから4年間のこと
※この記事の内容は執筆当時のもので、一部旧社名などが残っている箇所がございます。あらかじめご了承ください。
GWで少し時間があったので、これまで私がカスタマーサクセスとして取り組んできたことについて、ざっと時系列に4年分まとめてみました。
ノウハウを公開ってよりは、背景にどんなことがあったか、どんなマインドで作ってきたか、といった内容が中心になっています。
だいぶ長くなってしまいましたが、いち企業のカスタマーサクセス組織の成り立ちや、背景にあるエピソードなどに興味がある人は、読んでいただけると幸いです(感想なんかもツイートいただけると心から喜びます)。
筆者補足情報:
Mtame株式会社2013年 新卒入社
カスタマーサクセス歴4年。立ち上げ〜責任者まで。
2年弱、他部署を転々とするが今期から再びカスタマーサクセス設計などに従事中。今回の記事はその過程で起こった出来事の話。
自社の紹介と商材の特性
最初に少しだけ自己紹介させてください!このあたりの前提がないとなかなか内容も入ってこないと思うので。。興味ないって人は次の見出しまでスクロールしてください。
私が働くMtame株式会社は、デジタルマーケティング支援を行なっています。主なサービスがWeb制作(自社CMS:BlueMonkey)とMAツール(自社MA:BowNow)、そして広告の運用などなどです。
その中でも、私がメインでカスタマーサクセスを行なっていたのがWeb制作でして、弊社でWebサイトを構築したお客様が成果を出せるように、運用のフォローを行なっていました。
基本的にはお客様のゴールに向けた活用の提案、ノウハウ提供、具体的な運用のアドバイスなどを、訪問で行なっていく活動です。
また、せっかくなのでCMS(Web制作)という商材の特性をお話しします。弊社は自社でCMSを開発・提供しており、保守費用をいただきながらセキュリティやバージョンアップまでを行なっています。
その保守費用の中に操作面の技術サポートやカスタマーサクセス等の支援が含まれており、わかりやすく言えば無料で運用後のフォローも行なっています。(2020年3月時点)
Webサイトの特性として、一度制作したらそう簡単にはリニューアルはしないので、比較的チャーンレートは低く抑えられています。なので、チャーンが出ない前提で、いかにアップセルやクロスセルを生むかがカスタマーサクセスの1つの指標になります。
ただ、当然一番大事にしているのはカスタマーのサクセスなので、「サービスの特性上うまくいっていたら追加投資が生まれるはずなので、追加がもらえないのは提案や運用のフォローがよくないからだ」という思想の元、活動をしてきました。
これは卵が先かニワトリが先かの話になることもあるのですが、少なくともCMSを入れてWebの運用に前向きであればMAツールや広告を使ってより成果を生むための活動が必要になる場合が多いだろう、といった理屈です。
このような体制で長年活動してきて、現在さらなる変革をしているところなのですが、これまでも色々な、本当に色々なことがあったので棚卸し的に経緯をまとめてみたいと思います。
前身となる部署について
弊社で本格的にカスタマーサクセス的な動きを始めたのは2014年のことですが、それまでも前身となる、”無料訪問コンサル”というものは存在していました。
ただ、どちらかというとサポートに近い動きで、訪問してクライアントの悩み事に対してサポートしたり、その時々の課題に対してスポットで提案をする、程度のものでした。
指標もあくまでサポートの延長だったので、体系的にカスタマーのサクセスを追うというよりは、個人の活動に委ねているところが強く、「成果がでているかどうか」というよりも、「自立して運用できているか」がゴールになっていました。この辺りはカスタマーサクセスとも似ているようで、全く動きが異なります。
また、例えば「問い合わせが増えた」というお客様の声があっても、あくまでリニューアルの成果だったりして、ちゃんと科学的に、体系だって提案をしていたかというと、怪しかったな...というのが正直なところです。
もちろん、メンバーはみな頑張っていました。顧客に寄り添うという意味では、かなり高水準のサービス提供ができていたと思います。しかしながら、数字への意識やスケールという視点では、カスタマーサポートの範疇を抜けられていなかったのかな?と今では思います。
カスタマーサクセスとしてジョイン
そんなある日、当時社会人2年目だった私が送り込まれ、カスタマーサクセスとしての新たな活動が始まります。
追うのは顧客の成果とコンサルサービスの受注数という、シンプルかつこれまでのサポートの延長ではなかなか考えられないものでした。
ちなみに、私は新規の営業出身だったので、受注を追うことに対してはあまり抵抗はありませんでした。ただ、顧客の成果を追っていくという、まだ社内で体系だってノウハウがない分野に関しては本当に試行錯誤の毎日でした。
訪問から帰るたびに、「今日はお客様の役に立ったのか?」「本当にその提案が成果に繋がるのか?」と問われ続け、自問自答する日々。
誰に教えてもらうこともできなかったので、自分で本を読み、提案書を1から作り、1ヶ月に50件も60件も提案を持っていきました。これまでの長い社会人生活の中でも一番わかりやすく成長した自覚があります。
こうして、Mtameのカスタマーサクセスが本格的に立ち上がっていきました。(当時はまだサポートグループという部署名でしたが。)
ギブ&ギブが大切だと気づく
最初のうちはとにかく「ギブ」を意識していました。
しかし、カスタマーサクセスでありながら受注数値も追っていた私は、心のどこかで「受注したい」という気持ちが出ていたのかもしれません。そのせいか、当初は全く数字がつきませんでした。
当時はそれなりに根を詰めて働いており、基本的に起きている時間は仕事、睡眠時間も今よりは少なかったですし、土日もずっとインプットとアウトプットをしていました。
それでも数字がつかなかったので、私はどんどん焦りを感じていき、自分の活動に対して懐疑的になります。
もはやうまくいくイメージが全く浮かなくなっていた私は、正直なところ、お客様先に訪問をするのが嫌になっていました。全然理想に近くイメージがわかない、、役に立っているのかもわからない、、人間は意義を見出せなくなると、途端に腰が重くなるのだと、実感することとなります。
そんなある日、とある出来事がきっかけで吹っ切れた私は、
「もう自分の数字なんていいから、ありったけギブすることだけを考えて現場に行こう、受注できなくても死ぬわけでもないんだから。当たって砕けろだ。」
そんな気持ちで、相手の役に立つことだけを考えて現場に向かったのです。
結果、2件訪問して、どちらもコンサルの受注につながりました。しかも、こちらから強く提案して受注したのではなく、自然とその流れになっていったのです。
そのとき、私の中で気づいたことがあります。やはり心のどこかで、受注したいという気持ちが前に出ていたんだなと、それではダメなんだなと、そう感じました。
大袈裟ではなく、マインドが変わると声色も変わるし、気持ちも相手に伝わります。なんならオーラに近いものすら見えるようになります。
そのことを身を以て知った私は、これまで回ってきたお客様も含め、気持ちを新たに訪問するようにしました。この時はとにかくギブ&ギブの精神です。
そうすると、少し前は訪問するのも億劫だった私が、提案したくて仕方ない、そんなバブルモードに入ります。この時の心境を改めて振り返ると、数字が云々よりも、誰かの役に立っている感がシンプルに嬉しかったのだと思います。
「受注はもちろん嬉しいもの、でもそれは役に立った結果としてもらえるのだ。」
そのことを理解してからは、まるで新たなエンジンを搭載したかのように、前向きに突き進んでいくことになります。
仕組みづくりと人員拡大
軌道に乗り始めてからは、少しずつ人も増えていきました。恵まれたことに、メンバーのほとんどが同期という非常にやりやすい環境で活動をすることになります。
カスタマーサクセスは社長直下の部署である時期が長く、マネージャーもいない中、一般社員の同期たちと和気あいあいと働いていました。
真面目で一生懸命な同期が多かったので、時には重めの指標が課された時も、あまり泣き言を言わずにみんなで施策を考えたりもしていました。(本当に無理な時もあったけど)
そんな中、独自の指標や仕組みもできていき、ポテンシャルやステータスごとの管理を導入します。部署名がABM(アカウントベースドマーケティング)という名前になったのもこの頃でした。
そして、自分と同じじゃない人間でもちゃんと成果を出せるように、諸々の整備もしていかねばと強く感じるようにもなりました。
そもそも、起きてる時間はずっと仕事のこと考えているような人間と同じような働き方をしたい人なんてそう多くはいません。そのため、人が増えてくると再現性のある仕組みやマニュアル作りも必要で、いかに生産性をあげていくかを考えていました。
ちなみにこの時(2015年くらい)に作った基盤は自分がCSを離れたあとまで長く残っていたので、頑張ってよかったのかな?と今では思います。
仕組みに関しては昨年、以下のnoteにざっくりとまとめました。ざっくり。
また、以下のnoteに書いてある現場の話も、この頃社内資料としてまとめたものです。
複合提案できる商材の増加
当初から常にカスタマーのサクセスを追っていたのですが、追加で提案できるものがコンサルサービスだけでは、どうしても提案できる顧客が限られてしまいます。そもそもROIの面で、いきなり月額20万や30万円がそもそも割りに合わない業態も存在しました。
そんな中で、少額の広告の運用代行や、無料から使えるMAツールなどのサービスを開始し、よりクライアントのニーズに合わせたフォローができるようになります。
それまでは、広告を試して見たいけどいきなり多くの予算は取れない、というクライアントも多く、むしろ、それがわかっていたのでこちらも積極的に提案できないところがありました。
ですが、少額から始められるサービスの充実化すれば、ニーズに合わせた適切な提案や、ミニマムスタートからテストマーケティングをしていくようなフォローが可能です。想定通り、より多くのお客様に、段階的な提案ができるようになりました。
正直、少額広告の運用代行などは、それ自体でいえばほぼ利益はなく、場合によっては赤字です。
ただ、最終的にはカスタマーをサクセスさせることができれば、LTVで見た時に必ずリターンもありますし、お客様としてもそうやってリスクを小さく始めたい方が多かったので、どんどん提案していきました。
こうして、1社に対して複数商材を導入してもらい、よりエンゲージメントを高めていける体制が整っていきます。お客様の満足を追い、チャーンを下げつつも、ある程度売り上げも作れるという理想形に、少しずつ近づけることができました。
この辺りは、試行錯誤しなからも結果につなげることができたところです。
新卒が配属されるようになる
ある程度人数も増えてからは、新卒も配属されるようになってきました。
会社にもよるとは思うのですが、個人的には、カスタマーサクセスは「顧客の成功」というビジネスにおいて非常に重要なマインドが身につくので、新卒で配属されるとキャリア的にも良い場所だな、と感じています。
この辺りは以下のnoteにまとめさせていただきました。
ただ、それまではかなりOJT中心に進めていたので、ちゃんと教育ができる守備面のマニュアル(CRMとか計上とか、見積もりの作り方)を用意していなかったのは反省点です。
そもそも、それまでは3年目とかの人間が部署に編入してくることがほとんどだったので、知っているのが当たり前の話でした。多分、フラストレーションを与えてしまっただろうなと思います。。
そんなこんなで、2年くらいマネージャーをやってから、私は一度カスタマーサクセスを離れることになります。
あれから、別商材(MAツール)でもカスタマーサクセス部隊に立ち上がったり、色々と変化もあったけれど、こうしてある程度形にして来れたのはよかったなと考えています。
大変だったこと
そこそこ順風満帆な感じで書いてきましたが、もちろん大変なことも山のようにありました。部署立ち上げや仕組みづくりがそんな簡単に実現できるわけがありません。
例えばこちらが提案してもなかなかお客様の心に刺さらなかったり、刺さっていても手を動かしてもらえなかったりもします。
また、成果が出ているのに、なぜか追加の提案が刺さらないなんてこともありました。そういう場合は大抵、決裁者まで報告が上がっていなかったりします。じゃあそうならないように、いかに経営層を巻き込んでいくか、なども考えたりしました。
指標についても、どこに重きをおけば組織がうまくワークするか、めちゃくちゃ考えました。
理想と現実の狭間を行ったり来たりしながら、現場のオペレーションから仕組みづくりまで、数えきれないほどの壁を乗り越えて出来上がったのが弊社のカスタマーサクセスです。
CSをやっててよかったこと
もちろん、カスタマーサクセスをやっていてよかったこともたくさんあります。
1番はやはり、たくさんのお客さんの成功に貢献できたこと。そして、お客様のサクセスから、自社への追加投資をもらうという経験がたくさんできたことです。
ちゃんとギブをしていれば、全てとは言わなくても、リターンはあります。初めからテイクをしすぎてはいけない、ということを、これでもか、というほど学びました。
また、自己犠牲的になるのもよくない、ということも学びました。結局のところ、いくらお客様をサクセスさせたいと願っていても、自社がサービス改善に投資をできなかったら、最高のサービスを提供することはできません。共倒れになってしまうだけです。
だから、お客様からも正しく投資をしてもらいながら、最高の提案をしていくバランスが大切だと思っています。
その辺りはセールスにも通づるなと思い、以下のnoteにもまとめたのでよろしければ合わせて参考にしてください。
これからやりたいこと
以上のように、カスタマーサクセスとしてのキャリアを歩んできたわけですが、ちょいと2年弱ほど他部署に浮気して、今年からはまたカスタマーサクセスの設計に携わっております。
今後は、離れている間に学んだことや、様々な視点を取り入れて、カスタマーエクスペリエンスを最大化していくような動きができたらと思っています。
ここまで書いてきた通り、これまで一貫してカスタマーのサクセスを追求してきました。もちろんうまくいかなかったことや、不備もあったりもして、全部が全部きれいに運べたわけではありません。
むしろ、泥臭いところとか、もっとよくできたな、、と思うところだらけ。
とはいえ、周りの仲間にも支えられながらなんとかこれまでやってこれました。おそらく、カスタマーのサクセスを追う文化は昔から根付いていて、そこがMtameとして強みなのだろうなと、今となっては思います。
だから次のステージでは、よりその思想や考えを世に広めていき、1社でも多くサクセスの支援ができるよう、頑張っていきたい所存でございます。
みんなでサクセスを追いたい
「カスタマーサクセスは、カスタマーサクセスの部署だけが追うわけではない。全社的に追うものだ。」
昔からずっと考えていました。
最近はカスタマーサクセス界隈の常識にもなってきたので、非常に社内でも推進しやすくなったと考えています。
これからも変わらずカスタマーサクセスのサクセスを追えるような文化を、全社的に作っていきたいと思います。
そして、現在は積極採用強化中みたいなので、カスタマーサクセスに限らずMtameに興味があるよ、って方はぜひトライしてみてください!
偉そうに書いてきましたが、まだまだ未熟なところや、整備が行き届いていないところばかりです。一緒にカスタマーをサクセスさせる組織を作っていきましょう。
長々と失礼いたしました。
少しでも、読者の方の参考になるような話ができていたら幸いです!
今後ともよろしくお願いいたします。
小木曽
~追伸~
2021年4月、弊社からついにCSツールがリリースされました!私は直接はかかわっていないのですが、弊社のCSへの想いが込められた良いツールに育っていくはずなので、ぜひお気軽にお試しください!無料から使えます!!