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2021.1.24 電車ごっこ
マグロの味を知らない。
無限のアレルギー体質だから。
「人生半分損してるね」と言われた回数も無限だ。
食べられる物が貴重だから、なんてことない食事も大喜び。
「わ!美味しい!食べてみて!めっちゃ良いでしょ!」と騒ぐ。
強要に近い主張だ。
最近のお気に入りは「煮山椒」である。
2016年に、地元の良さを高校生に伝える仕事を始めた。
「地元すごいよ!見てみて!めっちゃ良いでしょ!」と共感を強いる仕事だ。
学びや経験にアレルギーはないだろう。
あるとしたら、食わず嫌いが大半だ。
ならば、お母さん達を見習ってみよう。
子供の好き嫌いに立ち向かう精鋭揃いだ。
細かく刻んでみようか戦法。とにかく甘く煮る戦法。
厳しい戦いだが、子供の健康を願うなら、好き嫌いは少ない方がいい。
地元も一緒だろう。
せっかく生まれた地元なら誇らしく思えた方がいい。
将来、ふとした時に帰りたいと思える地元があった方がいい。
一口でも経験してくれたら…
私たちは厳しい戦いに「電車ごっこ戦法」で挑む。
「バスで地元の魅力を物見発見戦法」も手軽で楽しいと思う。
対する電車ごっこ戦法の強みは「仲間と道なき道を自らの足で進む達成感」だろう。
苦労も多いかもしれないが、自分では絶対に行かない道の先に、思いもよらぬ出会いがあるかもしれない。
休憩中の何気ない会話にココロオドルかもしれない。
途中乗車も歓迎だ。
乗車券は少しの好奇心。
「地元の魅力」という宝はありきたりかもしれない。
ただ、宝を目指して仲間と地元を冒険した経験はスペシャルだ。
地元にココロオドル。
そんな若者で溢れる街は最高だ。
最近は卒業生が言うらしい。
「地元すごいよ!遊びにきて!」と。
電車ごっこの路線が増えてきたようだ。
おわり。
(イラスト:新舘颯美)