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非認知能力を育む授業の作り方 〜4ステップで作る、生徒をマインドから変える授業〜

こんにちは!
今回はもと教員らしく「非認知能力を育む授業の作り方」について書いてみようと思います。

最近特に重要視されてきた非認知能力や21世紀型スキルですが、それらを日々の授業内に組み込んでいくとなると、どうやっていいのかわからず頭を悩ませてしまいますよね。

世界各地の学校を巡り、さまざまな先生方に教授法を聞いた上で、僕が考える「非認知能力」と「普段の授業」を掛け合わせた授業作りの方法をまとめてみました。
今後授業を組み立てる上で参考にしてもらえたら嬉しいです!!


🔶4つのステップ

早速ですが、非認知能力を育む授業を作る際は以下のステップを順番に進めていくとスムーズに授業を作ることができます。
1)育みたいもの①(コンピテンシー、スキル、教科の内容)
2)育みたいもの②(非認知能力、資質マインド)
3)授業スタイル(体験学習アクティブラーニングor教えない授業(生徒が自分で創作)or反転授業など)
4)ツール・場所(黒板ノート、タブレット、動画、ワークシート)

上記の4ステップでそれぞれ何を取り入れるかによって授業が決まっていきます。
そして取り入れる選択肢が増えれば増えるほど、授業に幅を持たせることができ、生徒へ効果的な授業を提供できます。
それではそれぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。

🔶1)育みたいもの①(コンピテンシー、スキル、教科の内容)

1番最初に決める内容はズバリ!単元や教科書のテーマです。
本来であれば(教育の最重要目的になるので)まず何の非認知能力を育むかを決めたいところですが、学校の先生方にとってまずは学習範囲を終わらせることが重要!!
なので1番最初に決めるべきは「何を教えなければいけないか」です。

英語の授業を例に挙げるならば、「過去形」「完了形」といった単元(文法項目)や「環境問題」「先端技術」といったトピック、「買い物」「旅行」といったシーンかも知れません。

次の試験範囲や学年・学校で実施している内容を決めます。(大体の場合はすでに決まっていると思われますが💦)

🔶2)育みたいもの②(非認知能力、資質マインド)

さて、ここでお待ちかね!非認知能力が入ってきます。

非認知能力は多岐にわたるので一概に「これ!」と言えないのですが、一例としてATCの21st Century Skillsをあげておきます。

https://resources.ats2020.eu/resource-details/LITR/ATC21s

思考の方法
・創造性とイノベーション
・クリティカルシンキング(批判的思考)、問題解決、意思決定
・学び方の学習、メタ認知(認知プロセスについての知識)

仕事の方法
・コミュニケーション
・コラボレーション

仕事のツール
・情報リテラシー
・ICTリテラシー

社会生活
・市民性(ローカルとグローバル)
・キャリア設計
・個人的、社会的責任(文化についての理解と適応)

もちろんこれらの非認知能力や資質のみが重要なのではありません。上記のものもさらに細分化したり、定義を変えれば様々な能力・資質に広がります。
21st Century Skillsとググるだけで色々な能力が出てきますので、そこから参考にしてみるのもいいと思います。

大事なのは一教員として、もしくは学年や学校というチームとして、子どもたちの何を伸ばしたいと考えているかです。
その視点に立ち、可能であれば1年や3年を通してどのような能力・資質を伸ばしたいかをいくつか選んでおくのが良いかと思います。
感覚的には、1年間で5つくらいに集中するのが良いかと思います。
多すぎると子どもたちは何を意識して良いのかわからなくなり、曖昧になってしまいます。
3年間で12個くらいでしょうか?(3つくらいは3年間を継続して意識させるのが良いかと考えています。)

その上で今回の授業で扱う単元やシーンではどの能力・スキルが伸ばせそうかを考えます。
ポイントはあれもこれも盛り込みすぎないことです。
1つか2つ、多くても3つでしょうか。可能であれば簡単にルーブリック表を作成して、生徒も先生も変化がわかりやすいようにしておけると良いですね。

その際は便利ツールとして、ぜひGoogleフォームをお使いください!!
参考記事↓

🔶3)授業スタイル

3)授業スタイルと2)育みたいもの②は結構密接に関わっているため、2→3というよりは2≒3といったイメージでほぼ同時に考えると良いかもしれません。
というのも、非認知能力や資質は授業スタイルによって育まれると言っても過言ではないからです。
(授業スタイルが長年『一斉授業』一択だったために日本ではかなり偏った非認知能力や資質が育まれてきたのかもですね〜)

ではどのような授業スタイルがあるのでしょうか?
オルタナティブスクールや教育系NPO・企業が行なっている教育活動も含めれば、授業スタイルというものは画一したものではなく多種多様です。
さらに現在も新しいスタイルがどんどん出てきています。
ですから、みなさんが実施しやすいもの、また効果的だと感じるものを選び手札として持っておくと良いかと思います。
ここでは最近の傾向からいくつかの授業スタイルを共有したいと思います。

A. 一斉授業
日本で一般的な授業スタイルで、教員1人に対して多数の生徒がおり、一方的な情報共有と少量のコミュニケーションによって成り立ちます。
メリットはなんと言っても多数の生徒に一斉に情報共有をすることができる点です。しかし情報が多く(もしくは複雑に)なればなるほど個々人で理解度にばらつきが出やすいです。
身に付けやすい非認知能力は「規律性」「理解力」「傾聴力」「日本での常識的な振る舞い」適切な環境であれば「質問力」などでしょうか。
黒板やプロジェクターなどのツールと相性がいいです。

B. 体験学習・アクティブラーニング
このスタイルの特徴は生徒が自身で情報や知識を再構築する点にあります。与えられた情報を無味無臭のまま海馬に突っ込むより、自身の体験を通して学ぶことで記憶への定着率が格段に上がります。
デメリットは教員1人に対してあまり多くの生徒を見れない点と、準備に時間がかかる点です。
身に付けやすい非認知能力は「協働性」「対話力」「想像力」「批判的思考力」「課題発見力」「問題解決力」などアクティビティによって多岐に渡ります。
相性のいいツールはワークシート、開けた空間でしょうか。子どもたちが自由に動き回れるスペースがあり、可動式の机椅子などがあるといいですね。

C. 教えない授業
これは山本崇雄先生が本を出したことによって広く一般化してきているスタイルで、生徒たちの活動を中心にした授業スタイルです。
教員側が活動内容を細かく決めないため、非認知能力や学習進度が
子どもによって変わってくることはありますが、子どもたちの「主体性」を育みやすいスタイルです。(授業を通して主体性を育むことができるスタイルは少ないのでかなりオススメです!!)
そのほか「問題解決力」「課題発見力」「批判的思考力」「想像力」「協働性」「対話力」「柔軟性」などより取り緑の能力を育むことができます。

D. 反転授業
これは授業前にプリントや動画を使ってインプット活動をしておき、授業中はインプットした内容をもとにアクティビティを行う授業スタイルです。
短い授業時間の中でインプットとアクティビティができるので、「いきなりアクティブラーニングはちょっと、、」という先生におすすめです。
宿題をしてこないと授業でアクティビティを楽しめないので、宿題を自主的に行わせるツールとしても良いかと。
身に付きやすい能力・資質はB. 体験学習・アクティブラーニングと同じです。(アクティビティによります。)

上記の他にもたくさんのスタイルがあります。
スタイルの幅を増やしていけば、育みたいものに合わせた最適な授業を作成できるようになります!!

🔶4)ツール・場所

最後のお話は、ツールについてです。
先生方のお話を聞いていると、実はここが1番の難所なのではないかと感じています。
ツールは授業スタイルの多様性や非認知能力の向上と密接に関わっています。

例えばチョーク&トークで行える授業スタイルは限られていますし、育める非認知能力も幅をだし難いです。
ここで、ICTを活用しパソコンやタブレットを使った授業を行えれば一気に幅が広がります!

「いやいや、ICTは施設もないし予算もないから難しいよ」という場合もあるかと思います。
その場合はもっと単純に模造紙、画用紙、スマホ、OHP(オーバーヘッドプロジェクタ)、体育館や体育倉庫にある器具、街を使ったフィールドワークなど、実は使えるツールは色々あります。

使い慣れていないと導入する時の心理的なハードルが高いかも知れませんが、先生も失敗しながら学んでいく姿勢は生徒に好影響を与えますし、何よりも新しい授業スタイルは生徒にとって楽しいものです。
色々と試してみてはいかがでしょう?

🔶まとめ

今回は非認知能力を育む授業の作り方について書いてみました。
総合の時間に探究学習が入り、いわゆる受験科目以外でも子どもたちの成長を促していくことが求められる今日この頃。
現場の先生方は忙殺される中で日々大変な思いかと思います。
この記事がそんな先生方の少しでも助けになれば嬉しいです。

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