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【#006_タレントマネジメントシステムの活用と定着化に関する考察】


24年間のITエンジニア人生において、その半分以上がHRシステムの導入・運用となりました。特にタレントマネジメントシステムでは、企業の大小はありますが50社を超え導入や運用に関わってきました。

そんな中で、今でもよく聞くのが、「タレマネシステムを使いこなせていない」という話です。

という訳で、タレントマネジメントシステムの活用、定着化について私の考えをまとめてみました。

ちなみに、本投稿は特定のツールやベンダー様、企業様を批判するものではなく、日本の企業文化の傾向を踏まえた私の考えをまとめたものですので、その点ご承知おきください。

早速ですが、「なぜタレントマネジメントシステムの活用が上がらない、定着化しないのか?」ですが、私は下記3つの原因があると考えています。
 ①職務プロファイルありきではない/なかった
 ②マネージャーに育成配置権限(育成、評価・報酬、登用のすべて)がない
 ③きめ細かい日本の気配り文化→UIUXへの必要以上の拘り
タレントマネジメントとは、特に海外のツールは、①を前提とした、②の運用を効率的にすることが目的です。
なぜならば、海外では、②の運用を現場のマネージャーが手作業で運用していた、だからその運用をシステムでサポートする=タレントマネジメントシステムはマネージャーにとってありがたい存在だった、となります。
つまり、タレントマネジメントシステムとは、あきらかに現場マネージャーのサポートを第一の目的としたMSS(Manager Self-Service)ツールだと私は捉えています。

では、日本ではいかがでしょう?
①は2010年代後半からジョブ型を採用する企業もでてきていますが、圧倒的に②の運用、つまり育成、評価・報酬、登用の権限をマネージャに移譲する企業はまだ少ないのではないでしょうか(まだまだ仮説ですが)。
例えば、評価のフィードバックだけ見ても・・・
上司が部下に標語と報酬をフィードバックする企業もあれば、
上司は標語だけで部下が報酬をいくらもらっているかは知らないという企業も少なくありません。
つまり、評価はしても、報酬までは裁量がない、
これでは、②の運用を前提としたグローバルタレントマネジメントシステムが前提としている恩恵を受けられないのは当然です。
その時点で運用効率改善の効果は欧米と比較して何分の一になるのです。

タレントマネジメントシステムを導入する際、データドリブンで育成・配置したいので、という理由で検討され、ベンダーのデモでみるきれいなダッシュボードをみて、”そうそうこういう見える化したいんだよ”、と言って導入される企業も多いかと思います。
ただ、繰り返しとなり恐縮ですが・・・
そもそもタレマネシステムは、データの見える化して多角的に分析するよりもマネージャーのオペレーション効率をサポートするMSSツールなのです。

逆に、経営と人事に育成、評価・報酬、登用の裁量が一部でも残り、データの見える化であれば、わざわざタレントマネジメントシステムを導入して社員に負担をかける必要はなく、DWHとBIで十分なのです。
その方が、多様化するあらゆるデータを集約し、活用することができます。

私は、実はこの”DWH+BI”が、日本らしいソリューションだと考えています。
※なので、HRX Modelなるものを定義したのですが・・・詳しくはこちら

私が長くお付き合いさせて頂いているクラアントさんには、グローバル企業でありながら、こうした違和感を感じているせいか、グローバルタレントマネジメントシステムを導入について積極的ではない企業も少なくありません。

また、自ら学ぶ、スキルベースなど、従業員体験(Employee Experiece)の向上も注目され、MSSに加えて、ESS(Employee self Service)も重要になってきました。
つまり、この流れは企業と社員はパートナーであり、対等であるという風潮になってきていると捉えることもできます

というわけで・・・タレントマネジメントシステム導入は必須と考える必要はない(もちろん不要と言い切っているわけではない)ので、人と組織の両輪で成長を推進するには、企業様にMSSとESSのどちらにウェイトを置くかを整理すれば、自ずとそれに見合うソリューションを得られると考えています。

最後、多少強引は結論となっていますが、なにかご意見、コメントあればご遠慮なく。


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