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『「介護時間」の光景』(144)「あたたかさ」。2.14.

  はじめまして、私は、臨床心理士/公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。

  いつも読んでくださっている方は、ありがとうございます。

   よろしかったら、「2006年2月14日」から読んでいただければ、これまでの内容との、繰り返しを避けられるかと思います。

「介護時間」の光景

 この『「介護時間」の光景』シリーズは、介護をしていた時間に、どんなことを考えたのか?どんなものを見ていたのか?を、お伝えしていこうと思っています。

 仕事もやめ、母の入院する病院に通い、家に帰ってきてからは、妻と一緒に義母の介護を続けている時には、将来のことは、1年先のことさえ考えられなくなり、ただ、毎日の、目の前のことだけを見るようになっていました。そのためか、周囲の違和感や小さな変化にかなり敏感だったような気がします。

2006年の頃

 2000年から病院に入院してもらい、3年が経つころには、母の症状も安定してきて、病院に通って、家に帰ってからは、義母の介護をする毎日が続いていましたが、少し私の気持ちも落ち着いていました。

 ただ、2004年に母はガンになってしまい、手術をし、一時期は回復したのですが、2005年には再発してしまい、すでにそれ以上の治療もできない状況になりました。

 2006年頃には、外出や外泊、旅行などに、母の体調をみながら、なるべく出かけるようになりました。とにかく可能な限り、少しでも楽しい時間を送れれば、という気持ちだったので、毎日のように病院に通っていました。あと、どれだけの時間があるのか分からないので、ずっと焦りがあったと思います。

 今回も、古い話で申し訳ないのですが、前半は、17年前の2006年2月14日のことです。
 後半は、今日のこと(2023年2月14日)を書いています。


(※ この『「介護時間」の光景』シリーズでは、特に前半部分の過去の文章は、その時のメモと、その時の気持ちが書かれています。希望も出口も見えない状況で書いているので、実際に介護をされている方が読まれた場合には、気持ちが滅入ってしまう可能性もありますので、ご注意くだされば幸いです)


2006年2月14日

「いろいろと買い物をした。

 チョコレート売り場は、混んでいた。

 いつもより、少し遅めに病院に着いた。

 母親にも、チョコを買って行った。

 夕食30分で、終わる。

 おかずは、4分の1を残した。

 午後7時に病院を出る」。


あたたかさ

 真冬なのに、夜になっても気温が10度を越えていると、病院を出る前の天気予報で知っていた。
 外に出た瞬間に、あったかいにおいがした。

 自分でも、何の香りや匂いであったかい、と思ったのか分からなかったけど、でも、確かに、「あったかいにおいがした」と感じたのは、たぶん、実際に、暖かさがはっきりと体で感じるほどだったせいだろう、と歩きながら思った。

                         (2006年2月14日)


 2006年はなんとか乗り切り、2007年の2月にも旅行に行けたのだけど、その年の5月に、母は病院で亡くなった。

 義母の在宅介護は続いていたが、臨床心理学の勉強を始め、2010年に大学院に入学し、2014年には臨床心理士の資格を取得し、その年に、介護者相談も始めることができた。

 2018年12月には、義母が103歳で亡くなり、19年間の介護生活も突然終わった。昼夜逆転のリズムが少し修正できた頃、コロナ禍になった。

2023年2月14日

 今日は、バレンタインデーだった。

 起きたら、こたつの上に、チョコレートのお菓子と、メッセージカードがあった。

 カードは手作りで、手描きのメッセージと、小さいイラストもあって、妻からの言葉も、とてもうれしかった。

 ありがたい。

カラス

 今日は、可燃ごみの日で、収集所が家の前なので、ごみ当番でない時も、妻は気になるようだった。

 窓から外を見ていたので、理由を聞いたら、なんだか今日はカラスがいて、狙っているような気がするので、と返ってきた。

 それも、今日は収集時刻が少し遅めで、午前11時過ぎなので、余計に気になるらしく、私も、外へ出たとき空を見たら、カラスが少し遠くの木の上にとまっているのが見えた。

 確か、鳥の視力は想像以上に優れている、というのを、どこかで読んだ気がしたので、そちらをじっと見ていたら、どこかへ飛んで行った。

 そのあと、しばらく経ってから、また道路に出たら、ごみ収集所の、割とすぐ上の電線にとまっていた。

 追い払いたかったので、何かを強く投げつけるように、右腕を振ったら、カラスは、そこからは飛んで、次は、近くのマンションの一番上にとまった。

 まだカラスは、そんなに遠くない。

 そこへ向けて、また何も持っていないけれど、何かをぶつけるつもりで、右腕を強めに振った。

 カラスは、今度は、もっと遠くへ飛んでいって、その途中で、もう一羽と合流し、さらに遠くへ飛び去っていくのを見届けて、家に戻った。

 さらにしばらく経ってから、無事に収集車は来て、妻は、そのあとを整えに外へ行った。

通信販売

 寒い時に、妻が気軽に着られるスソが長めの暖かいコートがあるといいと思って、妻と相談の上、購入をしようとした。

  この時期になると、値段が下がっていても、あちこち売り切れだったので、初めて使うメーカーのサイトを利用して、注文していた。

   ただ、銀行振り込みを利用しようとしているのに、その後、振込先などの連絡が来ないまま、1週間が経ったので、再度、問い合わせをしたら、その返信が、なんだか怪しく、そのために、そのメーカーに確認をしたら、注文自体を確認できていない、というメールをもらった。

  これは、詐欺ではないだろうか。

 そう思って、キャンセルのメールを一応送り、今回、この注文のために新しく登録したマーケットも退会した。

 なんだか怖さもあったが、サイトから普通に注文したはずだったのに、いつの間に、違う場所に入ってしまったのか、わからなかった。自分が未熟なのだろうけど、だまされそうになったことで、気持ちが落ち込む。

 それは、自己嫌悪や恥ずかしさもあり、妙な疲労感も増しているので、もし、本当にだまし取られる、といったことになったら、実質的な被害だけでなく、どれだけの気持ちのダメージを受けるのだろうと思う。

 そういえば、先週は、訪問詐欺のような若い男性がきて、最初は、分からなかったことも思い出した。

 夕方になり、だんだん暗くなってきた。




(他にも、いろいろと介護のことを書いています↓。よろしかったら、読んでいただければ、うれしいです)。




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越智誠  臨床心理士/公認心理師  『家族介護者支援note』
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