「家族介護者支援について、改めて考える」⑱「相談」へのハードルを下げること。
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私は、臨床心理士/公認心理師の越智誠(おちまこと)と申します。
家族介護者の支援について、改めて考える
この「家族介護者の支援について、改めて考える」では、家族介護者へ必要と思われる、主に、個別で心理的な支援について、いろいろと書いてきました。
ただ、当然ですが、「家族介護者支援」ということを考えた時に、そこには、様々な幅の広い要素や、今まで少しは知っていたつもりだったことに関して、実は、とても考えが足りないことに気がつかされることもあります。
今回は、ある本を読んで、改めて、考えたことがありました。
相談窓口の利用率
私は、臨床心理士の資格を取得してから10年目を迎えます。公認心理師は、5年目になります。
私が働いている場所は、「介護者相談」など限られていますが、基本的には、相談窓口や、クリニックや、スクールカウンセラーとして働いているとしても、心理士(師)は、そういった場所で、面接や相談に訪れる人を待っているのが基本姿勢で、こちらからセールスのように伺う、といったことは行わない仕事ではあると思います。(いろいろな考え方もあるかと思いますが)。
ただ、例えば、相談窓口などを設置しても、その利用率が、それほど高くないことは、ずっと気になっていました。
この調査でも、では、どうすればいいか?という点にも触れています。
相談窓口がどのような場所なのか?きちんと秘密を守れるか?何より、相談窓口の存在を知ってもらえるような告知が十分なのか?
そうした基本的なことが、まず出来ているかどうか。が大事なのだろうとは思いました。
調査
内閣府男女共同参画局の調査でも、こうした結果が出ています。
これ自体の変化、つまりは「ひとりで抱え込む」ことを変化させることを考えるとすれば、おそらくは相談窓口を増やしたりするだけではなく、もっと広く価値観などの再検討が必要かもしれませんが、現時点での課題も、もちろんあります。
こうしたことについては、自分自身も含めて、どうすれば、もっと多くの人が、困った時に、「相談機関」を、少なくとも思い浮かべてもらえるかどうか。を考えていくというのは、実際の相談の質を上げることと共に、大事なことだと思います。
望まない孤独
まず相談をしてもらうには、どうしたらいいのか。そのことを、改めて考えさせられた書籍がありました。
例えば、著者自身が、子どもの頃、「児童訪問援助事業」を利用しようとして、それが「1件」しか使われていないのを知ります。
すでに自分も支援の専門家の一人なので、無責任に言えなませんが、相談窓口を設置するだけでは足りないのは、切実に必要な人ほど強く感じるのだと思いました。
相談をする際には、こうした社会全体の価値観や環境のことも視野に入れる必要があるのは本当ですし、こうした指摘はとても的確だと思います。そして、そうした著者が、さらに言及しているのは、やはり責任を感じることでもありました。
私自身は、スクールカウンセラーの経験はありませんが、もちろん知り合いの臨床心理士や公認心理師には、今もスクールカウンセラーとして働いている人たちもいますし、そうした方々が、週に1度の勤務形態の中で、様々な困難な状況もありながら、ベストを尽くしているのは知っています。それで、確実に、子どもたちの心理的なサポートにも、つながっているとも思っています。
それでも、スクールカウンセラーが学校に存在するのが自然な世代が、大人になった時に、聞いたことがあります。子どものころ、スクールカウンセラーがいるのは知っていた。だけど、相談すること自体が恥ずかしくて、そして、その相談室のような場所は、学校の隅にあって、そこに行くのを見られること自体も嫌なので、行かなかった。そんな話を聞くと、スクールカウンセラーを配置すると共に、もっとやるべきことはあるのだと、改めて思います。
相談のしやすい社会にすることと、例えば、それぞれの場所で、相談へのハードルを下げていくことを、どうしていくか?は、常に考えていかなくてはいけないと思います。
同時に、スクールカウンセラーがどのようにあるべきか?も、心理士(師)の一人として、とても微力で、直接関わっていないので偽善的かもと思いながら、責任も感じます。
介護者相談
私自身が家族介護者のとき、介護をする側にも、個別で心理的なサポートが必要と考え、それで、臨床心理士の資格を取りました。(のちに公認心理師の資格も取得しました)。
同時に、幸いにも、首都圏の某区で、「介護者相談」を始めることができました。その相談の中で、介護者の心理的なサポートが少しでもできるようにと思い、考え、自身の力も少しでも伸ばそうとして、相談業務に関わってきて、10年目になります。
当初は、その相談のハードルを少しでも下げるために、「匿名相談でも可」という文言も、チラシに入れていただいたりもしました。
とてもささやかですが、少しでも支援の実践はしてきたとは思うのですが、「介護者相談」の仕事を始めた時に、同時に目標にしていた、他の行政区でも「介護者相談」の窓口を開いてもらうために、社会に向けて「介護者相談」の必要性も伝えることも、さらに、ささやかですが、おこなってきました。
もちろん、自分だけが、そのようなことを試みているわけでもないのでしょうが、基本的には、自分の力が、あまりにも無力なために、「介護者相談」の窓口は、この10年では、ほとんど増えていません。(ちなみに、地域包括支援センターなどで行われている「介護相談」は、主に要介護者が、適切な介護サービスを受ける目的のためだと考えられますので、介護者の心理に焦点を当てた「介護者相談」とは、時に重なるとしても、かなり違う相談だと思われます)。
このnoteも、「介護」への理解を広めることと、主に家族介護者への個別で心理的なサポートである「介護者相談」の必要性を少しでも理解してもらうために、続けています。
それでも、現在の「介護者相談」を、どうすれば、もっと利用者にとって、利用しやすくなるのか?さらには、どのようなことをすれば、「介護者相談」の必要性を理解してもらい、実際に相談窓口を開設してもらえるのか?といったことは、もっと考えていく必要があると、改めて思いました。
(他にも、介護のことをいろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。
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