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「セルフマネジメント」としてのピアノを弾くこと


ドラッカーマネジメントはまず「自分から」

ここ数年、「マネジメントの発明者」ピーター・ドラッカーのマネジメント論について学んだり、それを日々の実践に生かすためのグループコーチングに参加したりしています。

そのうち、ドラッカー著書の読書会に参加し始めて驚いたのが、「まずはセルフマネジメントを学ぶことから始めましょう」と言われることです。「え、マネジメントといえば、組織における目標管理とか、人材育成とかじゃなくて!?」と思いましたが、ドラッカーは組織で成果を上げるために、自らをマネジメントすることの大切さを説いています。

そして確かに、日々の仕事や活動の中で実践しようとしてみると、目標や育成などに目を向ける前に、自分の持っているものをどう生かすかを考えることからスタートするというのは、なるほど理にかなっているなと感じます。

ジャズピアノを弾いて、自分で自分の機嫌を取る

さて、ドラッカーの言う「セルフマネジメント」とは、自分の強みを生かすことだったり、大切なことに集中するために時間を管理することだったりするわけですが、それに加えて、私がよく友人たちと話すのは、その前に自分の心身を整え良い状態にしておくことや、自分で自分の機嫌を取ることの大事さ。それがあってこその「セルフマネジメント」ではないか、ということです。

でも、これが簡単なようでなかなか難しい。人間だから、どうしても調子の波もあるし、精神的に落ち込むこともあります。そうすると、ドラッカーの言う「セルフマネジメント」、ひいては成果を上げるどころではなくなってしまう・・・自分をご機嫌に保つというのは、前提としてそれほど大事なことだなと思います。

そんな「自分で自分の機嫌を取る」こと。以前はあまり得意ではありませんでしたが、ピアノを始めてから上手になったような気がしています。ちょっと今集中できていないなという時、心がざわざわして落ち着かない時、疲れて気分転換したい時、いつでもピアノに向かえば、ご機嫌な自分に戻すことができます。

自分を整え、癒すことのできる不思議

最近は、主にジャズスタンダードの曲集をペラペラとめくって、思いついた曲を、好きなように好きなだけ、気ままに弾きます。その時に大事なことは「上手に弾かなきゃ」「練習しなきゃ」と思わないことと、頑張らずに楽しめる程度の難易度にしておくことです。

ジャズスタンダードは楽譜もシンプルで、メロディをそのまま弾いてもいいし、アレンジしてもいいし、コードをつけてもいいし、コードも一部省略したり、ベース音だけにしたりしてもいいし、バッキング(伴奏)だけやってもいいし、という具合に、その日の気分とスキルに合わせて選べるのが、自分には合っているようです。

そして楽譜を見ながら夢中で指を動かしているうちに、だんだん余計な思考やネガティブな感情が消え、音に没頭していきます。「こうやって音を重ねるのが好きだなー」とか、「ここはもうちょっとスムーズにいきたいな」とか、自分で自分を確認しつつ、一種の瞑想状態に入っているような感じもあります(心理学の専門家によれば、こういうのを動的瞑想と言うそうです)。

そうすると、なんだか気持ちも整ってきて、気分もスッキリ。またフレッシュな気持ちで、仕事やその日やることに戻っていけます。

もちろんセッションや発表の前はもっとちゃんと練習しますが、その他にいつでもピアノを弾けば自分の機嫌を取れるというのは、日々の生活、そして人生においてなかなかバカにならない効果や安心感があるように感じています。周りの人やお財布にも優しいですしね(^^)

そして、鍵盤を押さえることで音が出る不思議、自分が出す音に、まるでもうひとりの自分がいるように自分の心が共鳴し、癒される不思議さをいつも感じています。


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